見出し画像

欲しいものある?たぶんあるんじゃない?

君ってさ欲しいものある?そう言われたのは先日の出来事

この前地元に帰省した際に友人と飲みに行った。一軒目に焼肉屋に行き二軒目に飲み屋が集まった横丁を訪れた。カウンターに座り自家製のから揚げやらたこわさを頼み酒が進む進む。美味いなあとか言ってたら小中の幼馴染と偶然会ったり、隣で飲んでいた少しマブい女の人が友人と同じ高校だったりと話が盛り上がった。
 
やっぱ地元って狭い空間だなあとビールを煽りつつしみじみ思っていた。だいぶ出来上がったころに夫婦で飲みに来た人と話した。その人は30年だかぶりに地元に帰ってきたという話を聞いた。ようこそ帰ってきてくださいました。この土地へ。

 今まで多くの飲み会をしたけれど初対面の人たちと飲みの場で話すということは稀である。居酒屋といえば、お客さんはお客さん同士でどうぞご勝手にやってくださいといった店が多い。この日に限っては店員さんも含め全員が会話に参加していたので不思議だったなぁと今となっては思う。
 
 会計を済ませ俺はトイレに用事があるんだとか言って友人を置いていく。小便器に立ち用を足していたら30代かそこらのサラリーマン風な男が隣に立ち同じく用を足し始める。

 「君ってさぁ社会人?」隣の男から話しかけられた。酔いが回っていて気分が良かったので、あー新卒ですねぇ今関東方面で研修受けてますと返しついでに会社名も聞かれたので言った。

「じゃあさ、今何か欲しいものとかあんの?」と男は言う。欲しいものと自分の中で一瞬疑問がわく、欲しいもの…欲しいもの…。返答に困ったので彼女が欲しいですかねぇとか言ったら「違うだろ?」と言われる。違うと言われましても…。その後なぜかそのお兄さんと肩を組みながらトイレを出て外で待っていた友人と合流。

 その人の話を聞くとどうやら大手不動産勤務をしているらしかった。職場に新卒の子が入ってきたそうで新卒の社員にどうやって接したら良いだろうと新卒であろう私たちを捕まえて話をしたという。「新卒の君たちってさ、お金ないじゃん、女の子と遊びたいならもっとお金貰って遊んだほうがいいじゃん」確かにその通りだがお金なくても彼女は欲しいと心の中では思っていたが言わないでおいた。その後奥さんがやってきてその不動産勤務だとかいう男を連れて向こうに行ってしまった。なんなんだったろうねとか友人と話して友人の母が運転する車に乗って帰路に就く

 GWが明け仕事が始まった。仕事といっても研修なのである程度考え事をする時間があった。実はあの日欲しいものがあるか聞かれた時から自分の中で今自分が本当に欲しいものってなんだろうなということを考えていた。あの時彼女が欲しいといったが本当に欲しいのかって言われるとそうではなかった。

 今の自分は何が欲しいんだろうか書き出してみた。まずはお金。労働の対価としてお金を貰っている。貰ってはいるものの何が欲しいかって言われるとパッと思いつかない。毎日最低限の飯が食べられればいいと思っているのでそれ以上のものが思いつかない。本も多少買えるし服も少しは欲しいとは思っているけれどたいした金額ではない。煙草も吸えればいいがこれもたかがしれてる。はっきり言って欲しいものなんていう部類ではない。

 改めて考えてみるとお金があればたいていの物は買えるだろうし欲しいとまではいかなくても手に入ってしまう。そう考えたら誰かが与えてくれる物やサービスで心の底から満たされることなんてないのではないか。そう考えたら悲しくなってきた。なんで自分は生きているんだろ。食っていくため。とりあえず生きながらえるため。死なないようにするため。

 今自分に欲しいものといえば時間。大学生活のような本を読んで酒を呑んで文章を書いて自分の過去であったり将来のこと周りにいる人に対して思索にふけって考えていたい。働き始めて考える時間が格段に減っている。忙しさで自らの思考を抑える。このまま働いて何も考えられない大人になったら嫌だな。そういう憎たらしさを込め今の自分にとっては精神について考える自由な時間が欲しいのかもしれないなぁと少ない脳みそを使って答えといってもわからないものを導き出すのでした。

 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?