ゲーム実況のあるべき姿について考える
※この記事の前のタイトルについて、不快感を覚える可能性があると感じたため、タイトルを変更しましたが、Xの画像リンクでは変更されていないようです。不快に思われた方、申し訳ありません。
みなさんこんにちは。ダンボボです。
この件については正直あまり記事を書きたくなかったのですが、自分の中でどうしてもモヤモヤが取れないので、書かせてもらいます。
自己満足です。お気持ちです。それでもよいという方のみお読みください。
この記事を書くきっかけについて
最近、Xでとあるノベルゲーム作者さんのポストが話題になっています。
その方は、実況を禁止として発売したばかりのゲームを、発売初日にとある配信者さんに数種類のエンディングまで配信されてしまったそうです。
しかも、その配信者さんは「クソゲーソムリエ」を自称し、このゲームを「クソゲー」として認定しています。
配信者さん本人は「そもそも実況禁止であることを知らなかった」「実況禁止だから消してと言われたら消していた」「それはそれとして内容はつまらなかった」とポストし、まさに火に油を注ぐ状態になっています。
「どうして規約を守れないんだろう?」と疑問に思ったため、この記事を書くことにしました。
ゲーム実況と著作権
このセクションでは、ゲーム実況と著作権について書きます。なお、私は法律の専門家ではありません。その点ご了承いただきお読みください。
参考資料:著作権法
(第〇条)と書いてあるのは、リンク先の法律の条文番号です。
著作権の中にはさまざまな権利がありますが、ゲーム実況に関係するのは第22条の「上映権」と第23条の「公衆送信権」になると思います。
ライブ配信が上映で、動画配信が公衆送信権にあたりそうです。
これらの権利は著作者が専有している権利であるため、他人が著作者の許可なくゲーム実況動画を配信することは本来は違法となります。
著作権法にも二次的著作物についての規定があり、元の著作物の権利を持つ人に許可を取っていれば(第3条)、二次的著作物の作者の方も同様の著作権を持つことが可能と定められてはいます。
しかし、個人で制作している方ならまだしも、大企業が作っているゲームだといちいち許可を出すというわけにはいきません。
そのために配信ガイドラインを公開し、それを守って配信すれば製作者は著作権侵害を主張しないよ、ということになっています。
つまり、少し嫌な言い方をすると、ゲーム実況をしている方はゲームを作っている人たちに特定のルールを守ることで「法律違反を見逃してもらっている」というわけです。
実際のガイドラインを見てみる
では、その「配信ガイドライン」はどうなっているのでしょうか。
ガイドラインが難しければ、配信することのハードルは上がってしまいますよね。
任天堂
ゲーム実況をする方なら一度は見たであろう、任天堂のガイドラインです。
このガイドラインをすごく簡単にまとめると、任天堂が著作権をもつゲームであれば「動画や静止画をSNSに共有すること」「指定するシステムにより収益を得ること」が許可されています。禁止事項も常識的に考えればわかることばかりで、それをしなければ訴えられないということになります。
例のゲームはどうだったのか
最初に触れたゲームのSteamのストアページを見てみました。
配信についての説明の部分は、ゲーム説明のところの「続きを読む」を押さないと見られないようになっていました。
「この日からは配信OK」「権利表記をすること」というようなことが書かれており、特段理解に苦しむことはありませんでした。
「(『続きを読む』を押さずに買ってしまったので、配信規約を読んでいなかったので)知らなかった」という言い訳はできるかもしれませんが、ゲーム配信者を名乗る以上、著作権については知っておくべきでしょう。
知らなかったとしても法律違反をしたことには変わりはないので、訴えられても仕方のないことです。
もし本当に知らなかったとしても、謝罪した後のポストで「内容はつまらなかった」というような内容のことを言うのは、誠心誠意の謝罪として認められるのは難しいと思います。
ガイドラインがない場合は?
配信のガイドラインがあるゲームも増えてきています。「全部OK」「この部分以外はOK」「完全NG」「収益化しなければOK」などなど、いろいろありますが、中にはガイドラインが定められていないゲームもあります。
ここまでの話を踏まえればすぐにわかることだとは思いますが、ガイドラインがない場合、「訴えられないライン」が定められていないことになります。すなわち、そのゲームのゲーム実況をしたら、どんなものでも制作者さんが確実に訴えることができるわけです。
したがって、ガイドラインが定められていないゲームを実況したい場合、制作者さんに何らかの方法で連絡を取り、許可をもらうというのが一番いい方法になります。
「実況ガイドラインがないゲームは実況しない」(もしくは制作者さんに聞く)
全ゲーム実況者さんが心に留めておいてくれることを祈ります。
今後このようなことが起きないようにできること
ゲーム制作者
配信ガイドラインを設定しましょう。
そして、それを「すべての人が見られて、すぐ見つけられるページ」に書いてください。
1か所だけではなく、複数の箇所に書くとよりいいです。
「ずっと書いてあるじゃん…」と嫌がられるくらいがちょうどいいと思います。
今回のように、ストアページに書いていたのに知らなかったという人もいます。
ゲームの中に「配信ガイドラインはこちら」というボタンを設置するのもいいと思います。
配信禁止エリアがある場合、そこでポップアップを出すというのもいいと思います。
ゲーム実況者
どんなゲームでも、必ず配信ガイドラインを確認しましょう。
人によってはXのポストでだけ載せているということもあります。
ガイドラインを確認することは難しいことではありません。面倒と思うかもしれませんが、それをしないと訴えられてしまう可能性があります。
ガイドラインがどうしても見当たらないけど実況したい、という場合は制作者さんに連絡を取りましょう。
「実況ガイドラインがないゲームは実況しない」
「ガイドラインがわからないなら制作者さんに直接聞く」
いかなるゲームでもこれを意識して、実況動画や実況配信をしてもらえると嬉しいです。
おまけ:著作権は「親告罪」?
著作権侵害は親告罪だから、訴えられなければ侵害ではないという考えを持っている方が一定数いるようなので、ついでにそれについても説明させてください。
確かに、著作権法の第112条には、著作者は著作権を侵害する人について侵害の停止を請求すると定められているので、「訴えなければ何もない」という意見も間違いではありません。
ですが、著作者はいつでも訴えることができます。訴えられたら負ける確率は極めて高いでしょう。
「訴えられなければ大丈夫」と思って投稿した動画だけで、10年以下の懲役や1000万円以下の罰金が科せられてしまう可能性がいつでも付きまとっています。
親告罪だから大丈夫という考えは否定しませんが、常に訴えられるリスクがあるということだけは覚えておくことをおすすめします。
おわりに
ここまで2800字以上の長文をお読みいただき、ありがとうございます。
この記事を通して少しでもガイドラインをしっかり確認しようと思ってくれる人が増えれば、これほどうれしいことはありません。
ガイドラインを守って配信することは基本的に難しいことではありません。
みなさんも、マナーを守って、楽しくゲームの文化を楽しんでいきましょう。
それではまた次の記事でお会いしましょう。
ありがとうございました。
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