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〈ダーナ・インタビュー〉人生もまた旅、暮らしながら旅を続ける理由。|ケイタ

 じわぁっと汗が滲む額に熱気の抜けた風が涼しい夏の夕暮れ。福島県西会津町からDana Village インターンのナツミがお届けします。

 先週はDana Villageに新しいボランティアメンバーが加わり、少しずつ空気が循環して暮らしがまた回っていくのを感じています。人と人とが出会い、波打ち際のように話が行き交う。お互いの色が混ざり合う時間を皆で過ごすことで、色とりどりの感情を経験できて好きな空間だと思いました。

 今回のお話相手は、先月農業ボランティアとして2週間の滞在を終えたケイタさん。ここにたどり着くまでの心の揺れ、そして丁寧にすくい上げてきた決断。彼の生き様から写し出される内側から変容することで増す優しさをお届けします。


一番右:ケイタさん

ケイタさん / 農業ボランティア
36歳、職業は "暮らしを旅する治療家"
旅、音楽鑑賞、サッカー、美味しいものを食べることが好き。
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自分の気持ちに気づくことから始まる旅

ーケイタさんがDana Villageに来たきっかけを教えてください。
エコビレッジを運営している人たちが集まってやっているオンラインのトークイベントに美農里さん(Dana Village代表)が参加されていて、そこでDana Villageのことを知りました。僕は「健康」を生業としてきたのと、インドのオーロヴィルという所に以前から興味があって。Dana Villageも「健康」をテーマとしたエコビレッジだったので、面白そうだなと思って来ました。

ー「健康」というキーワードが出て来ましたが、普段お仕事は何をされているんですか?
今はメインでは旅をしています。あとはオンラインでコーチングをしていて、具体的には『7つの習慣』という自己啓発本のファシリテーターが一つ。そして「感情セラピー」といって、自分の中の愛や本音に気づいて潜在意識から変わっていくサポートをしています。旅先でご縁があった方やオンラインでからだのケア、整体セッションをしています。

ー「感情セラピー」、初めて聞きました。私も自分に対して感情が意味するところって、忘れかけることが多いなと思うんですよね。
そうだね、あと気づけないとかね。自分が反省とか罪悪感とか、私だめだったとかネガティブになりがちだと思うんですよ。そうじゃなくて自分の感情として怒りとか悲しみとか出るとは思うんだけど、そういう怒りとか悲しみという感情を出すことで自分を守ってくれているんだよね。

ー怒りや悲しみの感情が湧くこと自体は悪いことじゃなくて、その感情たちさえも受け止めるという感じ?
反省して自己否定するんじゃなくて、自分の中にある暖かさに気づいて、実は自分を守ってくれているんじゃないかとか自己愛に気付く。そうすると自分の根っこにある自分に対する想いとか傷とかが見えてきたりするんだよね。

頭ではわかっているんだけど、また同じことをしてしまうことってよくあると思うんです。それって潜在意識で染み付いているからで、思考でどうにかするんじゃなくて、潜在意識から変容していきましょうというサポートになります。

ー今の時代、結構求めている方もいらっしゃるでしょうね。
そうですね。

ー理学療法士のご経験もあるケイタさんが、自分の身体と向き合うヨガを教えてくださったこともありましたね。あの時間は自分の身体を安心させる大切さを思い出すいい機会になりました。ここまで「健康」ということで身体と心のお話が出ていますが、ケイタさん自身が自分の身体や心と向き合うことになった原体験はありますか?
職業的に僕は理学療法士というリハビリの仕事をしていて、身体の専門家だったのが始まりで。理学療法士になったきっかけは、昔からサッカーをしていて、怪我をした時に整体の先生に診てもらったことがあったんです。

そして高校生までおねしょをしていたんですけど、整体に行ったらそれも治ったんですよ。だから色々あったんですけど、おねしょが治ったことがすごく救われて。ずっと怪我したり、身体のことで結構悩んできたから、自分も先生として整体ができたらいいなと思い始めました。

ケイタさんのヨガをみんなで体験

ー心のことについて考え始めたきっかけは?
もともとすごく自分が嫌いで、劣等感の塊みたいなところがありました。高校生までおねしょをしていたことや、怪我をしてやりたかったサッカーが高校で全然できなくて。自分はやりたいのに「怪我してサボれていいな」という仲間の声が、当時の自分には結構響いたりしました。あとは背がめちゃくちゃ低くて、顔も幼な顔だったから、友達は何気なく言うんだけど、それも僕には色んなものが重なりあって、なんで僕は同級生より劣っているんだろうと思っていました。

だから自分が嫌いという思いばかりあって。整体師の道に進もうと思ったのも、自分が悩みが解決したという経験から「できることがある」と思った部分ももちろんあったけど、自分はすごく不足しているから、誰からも認められるツールとして職業人として立派になろうと考えていたんだと思います。

(不足している部分を埋めるためという)そういう要素が大きかったということに振り返りながら気づいたんです。専門学校に行ってからは、自己啓発本を読んだり、海外を旅したりして、とにかく人に否定されない、完璧な自分になろうと考えていたと思います。

ーそう気づいた時からケイタさんの行動が変化していったんですね。
高校出てからはひたすら不足した自分の穴埋めみたいでね。どんな状況でも何も言われない自分であるために、読書とか、旅とか、職業人としての知識と技術とか。本質的には自分という存在が大嫌いだったという青年期があって、それをずっと引きずって過ごしてきました。


自分だけじゃない。ともに暮らすことに行き着いて

ーここまでは自分自身のために頑張ってきたお話が中心でしたが、ケイタさんはエコビレッジやコミュニティ運営に興味を持っていると以前にお話されていましたよね。自分だけじゃなく、周りを巻き込んでいくという外への働きかけに目が向いたのは、なにか気持ちの変化があったのですか?
自立の道を極めようとしていたんだけど、自分のためにやるのってつまんないというか、苦しいんですよ。ひたすらストイックに頑張って、どこかで息切れして、いろんなものに八つ当たりしたくなったり。そうしながらもセミナー行ったり、たくさん積み重ねはしてきたんですけど、積み重なっていく中でだんだんと自立を越えていったというか。自分はもういいかなみたいな。

ー自分に対してはやるとこまでやったぞという感じでしょうか。
もちろん終わりはないんだけど、自分のために生きてもつまんないなって思いました。知識ベースのセミナーではなくて、人との一体感とか繋がりを感じられるような実践的なセミナーに参加してみた中で、やっぱりそれは自分一人では味わえない世界というか。そこからみんなで一緒に作ったりとか、そういう暮らしをしたいという想いが積み重なっていきました。

以前から独立意識が強かったから、整体の道に進んだ時もいずれ整体師として独立したいと考えていて、去年出張ベースの整体とコーチングで起業したんですよ。ただ結局お金がなくなったら生活できないとか、ここまでやってきて失敗したらどうしようとか、そういう虚しさというか苦しさというか。仕事ばかりに力を入れて生きるというのがやりきれない自分がいたんですよね。

そんなときにWWOOFを知りました。それまでも自然が好きで、たまに田舎へ旅行したりしていたけど、WWOOFは旅とはまた違って、土に触れたり、みんなで暮らしたり、自然や人とともに生きる暮らしができて、やっぱりこれだなと思いました。

ーケイタさんの中でなにか合致するものがあったのでしょうか。
生業も生業でいろいろとやってきたから大事だけど、みんなで丁寧に暮らしていく、そういう暮らしをど真ん中に置きたいなって思ったから、去年は二週間ごとにWWOOFを繰り返しました。

そして今年の1月頃に沖縄のイベントに行って、なんで俺こんなに幸せなのに、またビジネスをやろうとする自分に戻っていくんだろうって。そんなの別にやらなくていいよって思ったんですよね。その時はもう頑張るとか、無理してとかじゃなくて、自分がビジネスに戻る理由がなかった。

行きたいところに行って会いたい人に会う。そうしているうちに不思議なことばかり起こるし、想像もできないような喜びが広がっていく。だから、そうしない理由がなくなりました。それで3月に自分の家を引き払って、4月からコミュニティとか農的な暮らしをテーマに旅をしています。

農作業の合間に食べたお弁当

ーケイタさん自身が常に自分の本音と丁寧に向き合ってきたからこそ、納得感を持って今を生きているように感じられます。そんなケイタさんはDana Villageから何を持って帰りますか?
1つ目はここでの農作業の内容自体は正直特別難しいものはなくて、単調な作業が多かったんだけどね。なによりもDana Villageに集まった人たちで家族みたいに生業も暮らしも自分でできることを活かし合いながら、淡々と暮らしていくという単調だけど濃い”普通の暮らし”を深める。それが自分にとってよかった、と気づけました。

もう1つは子どもから学ぶことが多いなと思いましたね。結構大人のものさしでコントロールとかしつけをしがちだけど、子どもの時に「どんな自分でも大丈夫」とか「自分を見てほしい」という感情が満たされて、甘えられるという経験がすごく大事だなと思って。

僕も長男だから、長女のアルナちゃんを見ていて、彼女には「自分を見て」という感情があって、弟にママを取られるんじゃないかとか、自分は孤独になるんじゃないかという恐怖があるんだろうなと感じられました。(自分に当てはめて考えたりしながら)子どもにとって一つ一つの関わりって都度大きく影響するから、受け入れて、甘えられる時間になったらいいなと思いながら過ごしていました。

ーケイタさんにとって、大人も子どもも一緒に”普通の暮らし”を送ることの良さを再認識できたDana Villageでの滞在だったんですね。またここから次へ旅立たれるそうで、今後の様子も気になるところです。
これから一週間は地元で同じビジョンを持つ仲間たちと会ったり、地元の田んぼを手伝ったりして、一週間後には相模原にある廃材エコヴィレッジゆるゆるへ行ってきます!

ーこれまでの歩んできた道から、Dana Villageを通してまたひとつ考えが深まった今。ケイタさんの物語の続きが楽しみです。お話いただきありがとうございました!


 Dana Villageで暮らしていると、ここを訪れる様々な人が、自分がどう生きてきたのか自然と口を開くことがあります。その物語を聞くたびに、どの人も平坦な道ばかり歩んできたわけではないと知るのです。

 目の前に広がる自然が、あまりにも堂々と地球の一部としてただそこにあり続けてくれるから、私たちも自分をありのまま受け止めることを忘れずにいられる。ケイタさんのお話を伺いながら、平坦でない道をゆく時こそふと顔を上げて、自分と自分が繋がるあらゆるものへの”気づき”を拾う一呼吸の余裕を大切にしたいと思いました。

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『本来の自分らしさを取り戻そう』
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