Aの魔法陣「375,000 GOBLINs ATTACK」感想&振り返り
2021年1月8日に行われた芝村裕吏さんGMによるAの魔法陣ver6、サプリメント「オールドスクールファンタジー」「マドリアワールド(サンプル世界)」のセッションの感想と振り返りです。
GM育成卓への参加表明と甘い目論見
Aの魔法陣のGM育成のためのセッションという名目で参加者の募集があったのは、2021年1月6日だった。
もともとPLよりGMのほうが好きなこともあり、ゲームデザイナー本人のマスタリングを体験できる絶好の機会ということで、すぐに参加の申し込みをさせていただいた。
Aマホはv3のころから遊んでいたが、芝村さんGMのセッションに参加した経験はない。ログだけはたくさん読んでいたので、いつか体験してみたいという思いもあった。
また、GM育成だし、そこまで難易度の高くないオーソドックスな感じの回し方になるのではないかという、甘い目論見もあった。
そんな目論見は、当日、大河を埋め尽くした37万5000匹のゴブリンと共にあっけなく打ち砕かれることになる。
事前検討:心配事とプレイ方針
TRPGはルールに則って課題をクリアするというゲーム的側面と、シナリオ進行を通して仲間とともに物語を編み上げるという即興劇的側面とが混在する。
特にAの魔法陣は、設定の空白や前提変換、再帰成功判定などの独特のルール群が、ドラマティックな伏線回収や見ている人を驚かせる発想などを生み出しやすく、読み応えのある物語を自然と作り上げるシステムとなっている。
この即興劇的側面からゲームを考えた時、一番怖かったのが「意図せず認識のずれたプレイになって、プレイをぶち壊す」だった。特に白河さん以外の方とは、初めてのゲームプレイだったので大変緊張していた。
※先に補足すると実際は、慣れている人たちは変なボールを投げてしまってもうまいことキャッチして返してくれるし、初めて同士のキャッチボールならボールが変なところ転がっても楽しいので私が心配性だっただけです。これからやろうと思っている人は気軽に参加してください!
丁度そのころ、JAMさん、雅戌さん、海法さんたちがAマホについて解説をしていてこれが大変参考になった。
これをもとに、プレイ方針としては以下の5つを心がけた。
1.行動意図がわかりやすいように声を出す(テキストセッションなので、文字で出す、リアクションとる)
2.停滞しないよう積極的に質疑やロールを入れる(ゲーム進行の邪魔にならない程度に)
3.突拍子もない案も場に上げて思考の枠を広げやすくする(これは常に仕事でもゲームでも心がけてるやつ)
4.ほかの人の行動の意図をくみ取る。
5.大きく喜ぶ、称える。
1.7ヘルダムド様ショック
さて、状況がきな臭くなってくるのが1月7日だ。
公開された漁師のデータの中に、爆裂大自在神〈ヘルダムド〉なる明らかに異質なデータが現れる。
その前まで、「魚は代用肉扱い、生産が安定せず、漁師は一段下に見られている」みたいな話だったのに、爆裂魔法で根こそぎ魚を取っている描写になっている。
大体こういう違和感あるものがでると、裏で何かが進行しているというのが無名世界観のお約束。界隈がざわつく。
※なお、私は「やっほー爆裂!たーのしー!すげー!」ってなって意気揚々と爆裂教徒キャラを作って「やめといたほうが…」と止められています。こういうとこだぞ自分。
幸いプレイヤーチームは、玄霧さんが相談用DMグループを作ってくれていたので、事前に認識をすり合わせできる土壌があった。
何が起きているかを探るには、金曜日のゲームが一番早い。
仮想敵を爆裂教徒とし、爆裂対策メタのビルドで偵察してみようという方向で話はまとまった。
私のキャラクターは、攪乱ドワーフ土精霊の工兵ビルド。
というJAMさんの解説どおり、爆裂教徒対策でどんな行動宣言や魔法の使い方ができるのか、どんな前提変換を提案できるかをストックしておくため、工兵や爆発物処理、塹壕について調べまくる。
現代戦の塹壕だとテックレベルが違うので、627年に初めて塹壕戦で騎馬部隊を打ち破った世界最初の工兵サルマーン・アル=ファーリスィーとかを調べたり、戦国時代の長篠の合戦や黒鍬組について調べたりした。
他にも、新規成功要素登録や、成功要素の成長で迷わないように事前に成長ツリーを作ったりと着々と準備を進めていた。
ゲーム開始:キャラ作成で固まる。
そして、いよいよ当日本番。
爆裂教団を探るゲームで、難易度はナイトメア(ノービスからエースまでの5段階中3番目。真ん中なのに悪夢)
キャラ作成を15分でという指示がGMから出る
(ふっふっふ、我々はすでに爆裂メタキャラを作ってるんですよ…!)
と、どや顔でキャラ貼ろうとしてJAMさんが一言。
原点の質問はどうしましょ?
原点の質問:あなたが最初に使い方を教わった道具はなあに?
(そうだった…!原点の質問があった!え?道具?道具がそのまま成功要素になるの…??ナイフもってるキャラだからナイフか???)
と早速混乱する。ゲームが進行すれば落ち着いていくのだが、ゲームの入りというのは難しい。
先行してキャラを投下してくださったJAMさんが「原点の質問→ナイフ→器用な手先」としていて、意図を理解。
「点検ハンマー→観察力がある」として事なきを得た。
こんなふうに少し予定が狂うと結構バタつくのが私の弱点だなあというのはこの先のゲームでも実感することになる。
第1シーンA:共通の悪夢と大河組
ゲーム本編は、全員が同じ夢を見るところからスタート。
河でキノコ雲があがり、老人が満足して死に、その1000倍が死ぬというものだ。
それぞれリアクションをするが、今見ると慣れているプレイヤーはすでにこの時点で、信仰対象の価値を稼ぐためのロールを入れている。
本来であれば私も大地の精霊の価値を稼ぐ系ロールを準備しとくべきであったが、思いついてもいないのでここら辺、プレイング能力の差が出ている。
最初の課題は、
代表判定:ブランゼルの街で日常的な午前中を過ごす。難易3(半日)
*協力可能
水の精霊信徒と魚の神信徒の二人が、河を見に行くことに。もともと目的であった爆裂教徒の偵察にスムーズにつながる流れを作っている。
私は、
(あれ、ついていったほうがいい?いや、でもなーわからん!)
となっており、ここら辺、プレイング能力の差が(ry
また、この時に白河さんが
自分も待機かな。他のダダムやホドとは合流しておきます。
と待機組と合流しておくという流れを作ってくれたおかげで待機組で知り合いロールをしておくことができ、これが後の前提変換の布石になっている。
TRPGで結構あるあるだと思う「PC同士は最初から知り合いなの?問題」だが、Aマホの場合は、協力判定(統制判定)という力を合わせるための判定が必要になってくることが多い。
そのため、基本的に知り合い設定を通しておいたほうが有利な場面が多いと思われる。
この間に大河組の2人は、判定無しで大量の情報と信仰価値を獲得している。
第1シーンB:4人組の協力判定と荷運び
残る4人の課題は、荷運びで生活費を稼ぐ。
代表判定:ブランゼルの街でなんとか生活費を稼ぐ。難易3(半日)
*協力可能
課題:煮運びを手伝う。難易2 (半日)
4人で協力判定をすれば、今後の再帰成功判定に使えそうということで挑戦する流れができた。
OK。では協力判定だ。 四人で協力する(統制判定)難易4
この時点では全員パワー2の成功要素1つしか持っていない。
4回試行してダイス目がすべて2以下の確率は1.23%なので、ほぼ失敗する。
なんとか前提変換で難易度を減らす必要があった。
※以下で計算。ちなみに難易度3で約10%、2で約40%、1だと約80%
ここで、私から以下の前提変換提案を出しているが、抽出条件がわかっていないということが見て取れる。(抽出条件=協力に関するものをGMは求めており、PLの私は荷運びに関するものをだしている)
Q:【観察力がある:パワー2】があるので、軽そうな荷物をこっそり教えて楽をさせるようにする、また疲れてそうなら声をかけてフォローするとした場合前提変換で難易度さがりますか?
A:下がるけど、協力判定には関係ないかも。
そこで方向修正して、「全員顔見知りで普段からよくコミュニケーションをとっている」という前提変換を出して難易度は2に低下する。
まだ40%。もう1削りたい。
ここで雅戌さんが、値千金のロールを入れる。
「えー、えーと、ダダム。お前は何が得意なのだ」
という流れから、ほかの3人の得意分野を聞き出し、「よく話し合う」という設定ができたことで難易度は1まで低下する。
ここのロールがすごいのは2つあり、1つは前提変換に至る流れの最初の一歩を作ったこと。これは何より勇気がいる。率先して蹴りだしてくれたおかげで、ほかの三人も乗ることができた。
もう1つは、エルフらしい振る舞いとの両立という難しいロールをしていることだ。エルフの祖霊はエルフらしい振る舞いをすることに価値を与える。
・どうすれば御利益を得られるのか
エルフらしく振る舞うのだ。完璧なエルフ語で喋り、感情は表に出さす、優雅な振る舞いと嫌味を忘れてはならぬ。
つまり、場をガンガン仕切り、引っ張っていくようなリーダーシップをとるロールは向いていない。それでも、ここは協力がうまくいく流れを作らねばならないという難しい場面だったが、偉そうに話を聞き、「私はもちろん、美しい。」というエルフらしい振る舞いをと、協力がうまくいく流れを両立させた。
なお、この時点では私はその意図に気が付けていないので、ここら辺にもプレイング能力の差が(ry
結果、協力判定(統制判定)をクリアし、肉体系の協力行動ができるようになる。この肉体系の協力行動を前提変換として、荷運びもクリア。第1ターンを無事終えることができた。
そして、この荷運びで培った協力行動こそが、のちの奇跡を生むことになる。
閑話補足:協力判定のジャンル
協力判定について改めて振り返ってみると、GMから下記のような裁定が出ている。
協力判定については一時要素はあまり推奨しないけどねえ
荷物運び”だけ”の協力判定なら通すんだけど
もう少し便利に使いたいんじゃないかなあ
皆が出しているのが肉体系なんで、今回の統制判定は肉体、仲でも筋肉系で行われているものとします。
この裁定から読み取れるのは2つ。
① 協力判定(統制判定)をクリアするための成功要素によって、統制判定が効くジャンルが変わる。(今回は肉体、筋肉系)
② 協力判定(統制判定)は、できる限り応用が利くものにしたほうがいい。(今回は「荷運びだけ」という限定状況ではなく「肉体を使った協力行動」というより広いジャンルで今回の判定を再帰できたと思われる)
GMの裁量にも大きく影響されると思うが、これはGM側でもPL側でもプレイングの参考になる。
第2シーン:爆裂大自在神の辻説法と、4人組の推理
カメラは大河組の2人に移る。爆裂教徒の老人が辻説法をしており、それを子どもたちが興奮して聞いている場面だ。
このあたりになると、ある程度落ち着いてきて発言もポンポンと出るようになっている。
ゲームの邪魔にならない程度に、出てきた情報にリアクションを入れるのは、認識合わせにとても役立った。
大河組は、子どもと老人とどっちから情報をとるかで老人側を選択。老人の尾行に成功する。
老人を追った。老人は廃墟に行って祈りを捧げている。
夕日が老人の背中を照らしている。
それが邪悪なようにはどうにも見えなかった。
ここはGM側からの、爆裂教徒は敵側ではないというサインとして半分受け取る(そうは言っても、事前に危なそうと思っていた先入観が残っていたこともあり判断は保留している)
今度は4人組が酒場にも入れず道端で魚をバリバリ食べながら夢の話をする様子にシーンが切り替わる。(稼ぎは良くなかったのだ)
課題は以下の通り。
課題:最近の荷運びを考えて、推理する 難易3 (3分)
夢と荷運びの情報から、何が起きているのかを推理するべくロールと質疑をしていく。
行動宣言役を雅戌さんが買って出てくれたので、ここはほかの3人で質疑をしたり、行動宣言につながりそうな要素を増やしていくところだが、雅戌さんが質疑も同時進行でこなしてくれており、今思うと負担が偏ってしまっている。
そろそろPCたちは眠くなってきたが行動宣言は?
なければ気持ちよく寝る
という巻きも入ってしまっているので、あまりうまくフォローができていなかった。反省。
またこの時点で残り時間は1時間15分程度。前半に時間を使いすぎた感がある。
第3ターン:ゴブリン327,000 vs 眼鏡の老人1withプレイヤーズ6
シーンは時間ごと遡り、大河組の2人が爆裂教徒の老人に気づかれ、対話が始まる。
質疑やロールに合わせて、メガネや本、名前などの情報から相手の立場や知的レベルなどの情報をメタ的に探っていく。
メガネや本はある程度裕福である可能性を示しているし、この世界は英語由来は異世界由来というルールがあるので名前は大きな手掛かりになる。
老人の名前は、オフロットさん。絶妙に英語っぽく、かといって英語じゃないとも限らないラインの名前だ。
どぅん
突如として効果音が入る。
意味深な言葉とともに河に向かう老人。
そして、視線の先には、とんでもない数のゴブリンが現れる。
川岸には三二万七〇〇〇ほどのゴブリンが整然と並んで河川舟艇を並べはじめている。
もはや隠すつもりもないのか松明が見渡す限りともっているぞ
メガネを取り外し、もはや爆裂寸前の老人を大河組の二人がすぐに動いて抑える。
ここで4人組も、音を聞いてやってくる設定を通して合流。6人パーティ全員が初めてそろい、最初にぶつかる課題は以下の通り。
課題:ゴブリンの軍勢327000を前に戦う勇気を保つ。 難易1000
失敗すると逃げ出します。(このゲーム終了です)
ちなみに成功すると
課題:ゴブリンの軍勢327000と戦う 難易327000というナイトメアにふさわしい数字が待っている
まさかの難易度1000。さらに成功したら難易度327,000。難易度ナイトメアにふさわしいのかはわからないが、悪夢には間違いない。
ただ、こういう時はGM側としてもPL側としても「ノーアイデアで突っ込んだら死」という意識で統一されている。
手持ちの成功要素いくつあったら足りるかなー、この成功要素通るかなーという考えに脳のリソースが割かれることはない。
時間もかけられないはずなので、皆とにかく前提変換に向けて質疑を出す。
その中で月の魔法がクリティカルヒット。
Qm:取得している魔法および信仰対象に、月の魔法(精霊)があります。こちら、狂気、神秘的光という特徴がありますが、これによって心をマヒさせる効果が得られた理しますか?
Am:得られる
というか。魔法使えば自動成功しそう。
今回のオールドスクールファンタジーは、確定4ヒットを出せる魔法はもともと強いが、前提変換からの自動成功を生み出すのが非常に強い。
とはいえ、そのためには「自分の魔法の特性や設定」と「それをどう使えば状況を変えられるか」が必要になる。
魔法にしろ統制判定にしろ、すでにある材料で現状を打破する方法を見つけ出す、というのがAの魔法陣の難しいところであり最高に楽しいポイントだ。
月の魔法で心をマヒさせた6人は、数にして46714倍のゴブリンの群れに立ち向かうことになる。モウコワクナイ。
第4シーン:問題・見渡す限りのゴブリン船団とどう戦うか(配点32万7千点)
では改めて
課題:ゴブリンの軍勢327000と戦う 難易327000というナイトメアにふさわしい数字が待っている
めでたく心をマヒさせた我々は、ゴブリンの軍勢に立ち向かうことになる。
当然327000ヒットなんて出せるはずもないので、ここも前提変換でクリアを目指すことになる。
前提変換を狙うには、情報がいる。Aの魔法陣は、設定の空白をプレイヤーの提案により埋められるという独自のルールがあるが、都合のいいものがなんでも通るわけでもない。
自然な設定を通す、あるいは前提変換の案をかんがえるためにも状況をどんどん確定させなければいけない。そう、質疑だ。
矢継ぎ早に飛ぶプレイヤーからのQによって、情報が集まってくる。
・帆船でなく手漕ぎ船
・船は鉄でできてる(※テックレベルがおかしい)
・過去の戦いで学習しており接岸部分が弱点にならないようにしている。(接岸点は400隻くらいの幅がある)
・大河の水深は9m
・漕ぎ手は1隻につき12匹
・通信役として1隻に1人、脳が肥大化したゴブリンがいる
・通信統括役のゴブリンは見えない。隠していると思われる。
・通信統括役のゴブリンは遠隔指揮できるのでだいぶ後ろにいる
土壁で障害物案、漕ぎ手の片側を攻撃する案、水流で転覆させる案などがでるが、いずれも大きく難易度は削れない。
とはいえ、この「その案では大きく難易度は削れない」ということ自体が情報としての価値がある。
怖いのは止まってしまうことだ。数を撃ってリアクションから正解に近づいていく。
GMからの残り5分の声がでる。
玄霧さんがこの時点でとり得るオプションを3つまとめてくれた。
プラン1:街に被害出ないくらいに抑えて爆発ぶち込んでもらう+我々でその被害を拡大させる
プラン2:指揮官(たぶん統括の脳ゴブリン?)をとりにいく
プラン3:何らかの方法で連携を乱して各個撃破
時間が迫るプレッシャーの中では、情報を綺麗にまとめ、少数の選択肢として提示してもらえるのはとても助かる。
なお、この時に私はオフロットさんを射出して敵中枢を爆撃する「オフロットさんICBM作戦」を立案したが、当然のように「それだ!」とはならなかった。
Qd:だいぶ後ろだということが分かったので、土壁をカタパルトのように射出させて後方にオフロットさんを投射し、敵の指揮中枢を破壊することはできますか?
Ad:オフロットが射出に耐えて生きてたらな
※これはあれですよ、ぶっ飛んだアイデアをあえて出すことで思考の制限壊しつつ、面白みのある質疑で場の心理的緊張を緩和し、さらに間を持たせるという一挙3得を狙った高度なプレイングですよ!ホントダヨ!!デモマネシナクテイイヨ!
この時点で「プラン2:指揮官(たぶん統括の脳ゴブリン?)をとりにいく」が優勢。
まずは指揮官を狙うため、オフロットさんを連れて対岸へ渡ることになる。
JAMさんが魚変化で怪魚に変身。全員で移動した。
やっぱり魔法は強い。
第5シーン:ミッション・オフロットさんを運び込め!
無事に対岸に渡った一行。次なるミッションは、オフロットさんの移送だ。
課題:オフロットを砲撃点まで安全に移動させる。
難易30 (20分) 制限時間40分
今見ると、単位時間は20分なので、2回判定できる。この時は見落としていて、とにかく30クリアするという意識になっている。ここら辺の視野狭窄は致命的なので、気を付けたい。
Qk14:砲撃点までの距離は算出できていますか?
Ak14 およそ4km
この玄霧さんの質疑も示唆に富んでいて、今思えばこの回答が出るということはオフロットさんは敵の位置を知っていた(けど一人だったから砲撃点まで移動できず、次善の策として町側で爆発しようとしていた)と推察できる。
ここら辺の視野狭窄は致命的なので(ry
冒険者なので対岸にも地の利があるということで、何とか難易度は15まで減るものの、ここで打ち手に詰まる。
安全な移動のためには相手に見つからず、時間内に到着しなければならない。
隠蔽魔法があれば有効だが、隠蔽魔法が使える雅戌さんのキャラはすでに魔法価値を使い果たしている(月光砲でプレイヤー一行の心をマヒさせている)
それでもあきらめないのが、Aマホプレイヤー。
Qm:ここまで、エルフらしく頑張ってきましたが、月の神は追放者に信仰の価値を認めてくれないでしょうか?
ここはエルフらしい振る舞いを成立させるためにロールを積み重ねているからこそ、説得力が出る。
例えば私がその場で、大地の精霊にお祈りしますでは価値が稼げるか微妙だったと思われる。
判定としては、ゴブリンの大軍勢に立ち向かうこと自体が狂気の宴と判定され、月からの価値40を得ることになった。
隠蔽魔法で8ヒットを稼ぎ、残りは7ヒットというところで、またも打ち手に詰まる。
陽動はデスボランティアになってしまいそう、穴掘りで移動もできず、夜なので高いところから見とおすも通らない。
オフロット:「やはりこの場で使うしかないか……」
とあきらめかけたところに、ぱんくすさんのクリティカルな提案がさく裂する。
荷運び組は、一回荷運びで成功してますのですそれを理由に、オフロットさんを運ぶことに対して難易を減らせませんか。協調的な意味です。
Aの魔法陣ver6のルールには以下の記述がある。
・再帰成功判定
同じケースと見做される成功判定では、判定を省略して同じ結果とすることができる。
・協力判定
複数人が協力して判定にあたることができ、この時成功要素を持ち寄って判定を行う事ができる。
この行為は統制判定の対象になる。事前に訓練をしていないと実力を出し切れない、というわけだ。
また、解説書にはこう書いてある
統制判定はプレイヤーにも有用で、統制判定を用いて前例を作り、再帰成功判定の材料にできます。
4人組は荷運びの課題の際に協力判定(統制判定)をクリアしている。同じように「何かを運ぶ」という同じケースにあたり、判定を省略することができる。
また、大河組が老人の後をつけたときに一時成功要素として、老人がゆっくり動いている(足が萎えている)ことを挙げている。これも荷運びの要領で運ぶのであれば、足の萎えた老人に歩いてもらうという前提が変わり、難易度はより下がるはずだ。
結果、難易度15-隠蔽魔法8-荷運び再帰7でこの課題をクリアすることができた。
第6シーン:オフロットさんを死なせない
無事に砲撃点に到着。
一安心するのもつかの間、オフロットさんが急激に死亡フラグを積み増していく。
オフロット:「礼を言うべきだな。急いで逃げなさい」
この時点で、私は「わーい、オフロットさん届けたぞーやっちまえー!ウェルカムハッピーエンド!」くらいの気持ちだったので大いに焦る。
このあたりの気の抜きっぷりと状況判断ミスは致命的なので(ry
やばいやばいと慌てて土壁で爆発方向コントロールできるか聞くも、パワー不足。
オフロット:「わしの右手が光っておるぞ。異界の神よ。ただ感謝を」
え、これ絶対死ぬ流れじゃん!
土壁だけでは足りない。これ以上打つ手なしとあきらめかけたその時、
Qk20土壁に水壁を合わせてもオフロットさんは死んでしまいますか?
Q:オフロットさんを含め、他のメンバーに耐熱魔法をかける事はできますか?
玄霧さんとぱんくすさんの同時提案が通る。(個人的にはここが一番熱かった)
土壁(対光防御)+水壁(放射線防御)+耐熱(熱風防御)で爆裂魔法の反動を防御。オフロットさんも含めた7人はからくも一命を取り留めた。
その後、空に穴が開き異界の神が降臨しそうになるも、爆裂大自在神の加護をうけたJAMさんの爆裂魔法の一撃により撃退。(反動は再起判定で成功!)
光が異界の神を退散させ、無事にセッションは大団円を迎えたのだった。
振り返り:今後のプレイングに向けて
さてここで、本ゲーム全体を振り返って今後のプレイングに向けた教訓としたい。プレイヤーとして得た教訓は以下の3つだ。
※もっと上手くなりたいなっていうのと、私がこういうの考えるの好きなだけです。ここまでやらなきゃAの魔法陣はできないとかではないです。これからやろうと思っている人は気軽に参加してください!
① 積極的に伏線を張るように動く
Aの魔法陣では、難易度が大きくなるほど前提変換が重要になる。
今回通った前提変換は、以下の4種類に大別できる。
①魔法による前提変換(月の魔法で心をマヒさせたり隠蔽したり)
②戦術による前提変換(正面から戦うのではなく渡河して敵中枢にオフロットさんを送り込むように変換)
③設定による前提変換(冒険者だから対岸にも地の利がある等)
④伏線による前提変換(荷運びによる再帰成功判定が目立つが、前半でも知り合いロールが伏線になって協力判定の難易度を削れている)
このうち、①と②はその場でのアイデアとひらめきの部分が大きい一方で、③と④は先の展開に備えた事前の仕込み部分が大きい。
特に④の伏線は、ゲームが始まってストーリーラインが見えてから仕込むことができる。
すべてが回収できるわけではないが、前半で伏線を張っておくことは後半のピンチを救う切り札になり得るので、今後は積極的に伏線になりそうな動きをしていきたい。
② ロールとゲーム攻略の両立
今回、上手いプレイヤー陣と自分のプレイングを見て、大きな差があったのが目的意識のあるロールの比率だ。
魔法の存在があって利用するようなゲームでは、各プレイヤー一つはコネクションをもっておいたほうがいい。(ないと強さにかなりの差ができてしまう)
と、ルールブックにあるようにAの魔法陣ver6では魔法が強い。
ベテランプレイヤー陣は、スタート直後から魔法を使うための価値を獲得する動きを積極的に行っている。
一方で、私はその場を楽しく盛り上げられたらいいなというくらいのロールの意識でやっていた。
楽しいロールと、ゲーム攻略のためのロールの重なり合う部分を意識して動けるようになりたい。
③ 知識量を増やす
アイデアやひらめきは、掛け合わせによって生まれることが多い。掛け合わせるためには知識という原材料が必要なのだが、上手いプレイヤーやGMは原材料を大量にストックしている。
私はあまり知識量がないので、前半に書いたように、今回は工兵や塹壕について調べてみた。が、付け焼刃なのもあって全く活かせていない。
327000のゴブリンが渡河してくるとなっても、そもそも上陸阻止戦の想定もしていなかったので、手元にアイデアに生かせる材料もレシピもなかった。
知識量が多ければ、お約束を元にしたGMからのサインも受け取りやすい。
例えば、今回は「メガネキャラがメガネ外したら死ぬ」というお約束サインを出している。
が、このサイン、全然受け取れてなかったので「え?死ぬ流れ???」とバタバタしている。
映画、小説、アニメなどはゲームプレイの参考にできるものが多い。そして、そういう視点で見るのもまた新しい発見があって楽しいことだと思っている。
まとめ:感想とこれからやってみたい方へ
ここまでうだうだと1万文字以上書いてきたが、今回のゲームを一言でいえば「大変楽しかった!」となる。
この文章は、自分がもっと上手くなるためにどうしたらいいかなという視点で書いているので反省が多くなってしまっているが、ゲーム自体はプレイヤー同士、そしてGMからの手厚いフォローもあって「なんとかなるさ!」と大船に乗った気で楽しむことができた。
また、実際にやってみることで、どういう時に認識がずれるのか、どういう時に場が停滞するのか、時間管理や緩急の付け方、場が想定外の方向に転がったときの修正の仕方など今後GMをやる上でも大変参考になった。
Aの魔法陣は、TRPGの中でも変わった部類に入るだろう。
最小限にまとめられたコンパクトなルール、伏線と回収を自然に生み出すシステム、無茶な環境や機動にも対応できる汎用性が、曲芸飛行のような他に類を見ない物語を産む。
「あんな曲芸飛行できない、怖い!」という方もいるかもしれないが、最初から自力でインメルマンターンを決める必要はない。
GMも他プレイヤーもサポートしてくれるので、一度飛んでみて楽しさを体感してみてほしい。(安全に飛んでると思ってたらなんかすごい機動してたみたいなのもAマホではよくあります)
何しろルールは少ないので、飛ぶことはすぐにできる。飛んでみて、楽しかったらもっと曲芸飛行をしたくなる。ほかの人の飛行をみて、自分もあんな風に飛んでみたいと思う。
Aの魔法陣は、私にとってそんな魅力があるゲームだ。
※追記:GMやりますので、興味のある人はDMでもなんでもいいのでご連絡ください!
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