偏愛〜私と音楽〜

2024年5月におけるWebライターラボ企画のテーマは「偏愛」。

音楽における私の偏愛対象は作曲家 梶浦由記さんだ。多くの人にとってあまり馴染みはないだろうが、アニメやゲームのBGMを数多く手掛けている。直近ではTBSの「日曜劇場 ANTI HERO アンチヒーロー」に作曲担当として名を連ねた。

私はかれこれ20年以上、 梶浦由記さんの曲ばかり聞いて育ってきた。これほどまでに私の琴線に触れる理由は、「過度な甘美さがないから」だ。梶浦さんの曲は一般的なポップスよりも低い音階で奏でられており、全体を通して哀愁が漂う。

まずは試しに聴いていただくのが分かりやすいだろう。

Historia:opening theme

慣れないうちは、不思議な曲に感じるかもしれない。

梶浦さんの楽曲では、アルトからソプラノまでの3〜4名が歌い手として参加する。歌詞のほとんどは意味を持たない造語で構成されており、どのように解釈すべきかの正解はない。よって、楽曲からどのようなメッセージを受け取るかは聴く者に委ねられているのだ。

「作曲家 梶浦由記」という共通項

さて、「梶浦さんの曲を聞いて育ってきた」と言ったものの、私は長らく梶浦さんの曲だと認識して聴いていたわけではなかった。言い換えると、だいぶ後になってから「私がずっと聴いていた曲は梶浦さんのものだったのか」と気づいたのだ。具体的には、以下の経緯をたどっている。

小学生の時:文化放送の深夜ラジオで流れる曲を聴いていた(←作曲者が梶浦さん)
中学生の時:石川智晶さんという歌手に熱中する(←昔、梶浦さんとユニットを組んでいた人物)
社会人の時:Kalafinaという歌手に熱中する(←プロデューサーが梶浦さん)

このように私の音楽遍歴ではそれぞれ別の歌手を応援してきたと思っていたのだが、実は 「作曲家 梶浦由記」という共通項が存在したのだ。社会人として過ごしていたある日、ふとこの事実を発見した。言い訳をすると小学生の頃はまだ携帯さえ持っていなかった時期で、ラジオで流れる音楽の作曲家など知る由もなかった。

このような過程を経て、私の聴く音楽は「作曲家 梶浦由記」一色になって現在に至っている。

憂いの感情が語りかけるもの

最後に、次の2曲を提示しよう。どちらも梶浦さんの世界観をよく表現したものだ。

アレルヤ〜piano ver.〜

everlasting song ((LIVE))

ここに、J-POPのような「夢は絶対叶う」だとか「未来には希望が満ち溢れている」といった甘美なメッセージはない。艶やかなコーラスはどこか儚げで、憂いを帯びている。決して大衆受けする歌とは言えないだろう。

「創作物なのだから、底抜けに明るくあるべきだ」と考える人もいるかもしれない。ただ私にとっては、この憂いの感情が心を惹きつける。

梶浦さんの曲はCDとして数多くリリースされているものの、やはりその魅力を余すことなく体感するにはコンサートが一番だろう。なお私は2024年5月に1回参加し、6月にも2回の予定が入っている(数年前は同じツアーを5回見るなど奇行に走っていたが、最近は少し大人しくしている)。

Discord名:ダンパー長野 dampernagano

#Webライターラボ2405コラム企画

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