富士葵 1st フルアルバム ”有機的パレットシンドローム”を聴いて

 このアルバムの最後のASMRを除いた10曲、前後対象に並んでるような気がする。1曲めの"始まりの音"と10曲目の"ユメー>キミ"、これは歌劇団ならだれでも知っているある意味セットのような代表曲で今あらためて感想を書くまでもないので割愛する。2曲目の"My Only Gradation"はパワフルなロックで最高にかっこいい曲でこれからの富士葵自身の未来について熱く語っているのに対し、9曲目は"君のミライ"-Fightでの純粋なキミへの応援ソング。5曲目の"イタリアンレストラン"、これは素直に聴けば歌の主人公はこれほど応援の必要としている者はいない状態で、それに対し6曲目は最強の応援ソング”エールアンドエール”だ。5曲目についてはまた別の欄で話したい。4曲目の"Let it snow"、これは冬の曲で3曲目の登場人物2人がこの曲の登場人物と考えると3曲目の延長線にある歌ではないかと思う。対比となる7曲目”オーバーライン”は女子野球マンガ『花鈴のマウンド』のCMソングだが、変わることチャレンジすることへの応援と決意にあふれている。

 一番興味深かったのは3曲目のまだ希望に名前はないと新曲のKieR←Nだ。4曲目が3曲目の延長線といったからには3曲目は何という事を話さなければならないがこれには少しリスクがある。これを読んだらボクは歌劇団とは言えないといわれるかもしれないし、富士葵ちゃんや魔界の人から嫌われるかもしれないし、当然歌劇団の中には嫌な思いをする人もいると思うのでどうしても読みたいと思う人以外はこれ以上読まないでください。ここでおわかれです。正直読まれるのもかなり恥ずかしい。 

 ここからは単なるボクの妄想です。 

 そもそもこのアルバムに富士葵の思いがどのくらいしめているのか、全部なのかどうか、ボクはノーだと思う。Vtuberには魂と呼ばれる存在があるが、このアルバムには富士葵の思いを表現した曲と魂の思いを表現した曲が混在すると思う。つまり、残りの3曲目、4曲目と8曲目は魂の曲なのではないかと。話は2ndシングルにさかのぼるが、"まだ希望に名前はない”は2ndシングルで発表されたオリジナル曲で、その3曲目のカプリングは”夏の日の1993"だ。この時ボクはすごく違和感を覚えた。"夏の日の1993"は富士葵17歳が生まれる10年くらい前の歌で、リバイバルだとしてもまだ幼児のころの純粋なラブソング。主人公は男性で普通に思ってた女の子の夏の姿にまぶしいほどの魅力を発見して恋に陥るという曲だ。あえてこれを選んだ理由がわからなかった。そして"まだ希望に名前はない”は懐かしい曲調で決して今風のラブソングじゃなくて"夏の日の1993"との関連付けをしたくなる曲調だ。内容は付き合っていた二人がそれぞれ新しい道に虹や希望というものを見つけた瞬間の曲でその希望は名前もなくとてもあいまいな物だ。そのあいまいさは、富士葵がユメー>キミをリリースした後の現在の希望や目標を語るにはあまりにもあいまいすぎると思った。だから主人公のボクは男性で"夏の日の1993”の男性と同一人物、そしてその相手のキミが富士葵の魂なのではないかと思った。つまり”まだ希望に名前はない”は魂が富士葵の道を見つけた瞬間、富士葵として生きていこうと思った瞬間を男性の側から表現した曲なのではないかと。曲中にでてくる”Just One Day”にあたる日はリリースが生誕祭の後ということで生誕祭ではないか考えることもできるのが、ボクは魂が富士葵という虹をみつけた日なんだと思う。

 その”まだ希望に名前はない”の後に続く4曲目"Let it snow"、8曲目と同じ切ないバラードだが明らかに歌い方が違いその歌い方から主人公は男性だと思われる。そして2曲目、3曲目に登場する男性が富士葵がデビューしてから2年ほど経たころの心情を歌ったような気がする。8曲目”KieR←N"はその4曲目および3曲目への今の富士葵の魂の返歌であるともいえる。4曲目は純粋に単独の曲だとしてもおかしくないのであくまで想像だ。

 ”まだ希望に名前はない”、"Let it snow"の対比となる8曲目”KieR←N"は題名はMacのバックスペースキーでRを消してNにしていて”キエナイ”と呼ぶのだそうだ。この曲は主人公の女性が今でも相手の男性を想っている気持ちに変わりはないけどそれでも今は自分の道を生きようという強い意志を表現した曲で、この女性が富士葵の魂で相手の男性は魂が富士葵になる時に道を別った”まだ希望に名前はない”にも登場する人ではないかと思うのだ。つまり自己の想いも相手の想いもそういったリアルの世界を犠牲にして、富士葵のままを生きようという決意の曲であって、もし"あの日"に戻ろうとしたらその瞬間に富士葵が消滅してしまうと言っている。歌詞にでてくる”あの日”とは”まだ希望に名前はない”の”Just One Day”にちがいない。題名を暗号のようにしたのは、”キエナイ”想いは富士葵ではなく魂の彼への想いだからはっきりと”キエナイ”とは題名にできなかったにちがいない。そんな辛い思いをして今富士葵はみんなを応援する応援団長として生きようとしてくれている、そう考えたとたん涙があふれてきて止まらなくなった。声をあげて泣いた。どこまでも応援団員を続けたいと思った。ボクはこんなことを書いて歌劇団全員を敵にまわしても歌劇団をくびになっても富士葵が富士葵でいるかぎり応援しつづける。そしてどこかに身を潜めている魂も陰ながら心の中で応援しつづけようと思う。

はい、以上、妄想でした。ということで 

このアルバムのボクのイチ押しの曲はこの"KieR←N"です。

【追記】 昨日ここまで書いてツィッターに公表したところ何人かの方が見てくださったようでありがとうございます。その中のおひとりの歌劇団の方からありがたいことにメッセージでその方のご考察を教えてもらえました。その方からお許しを得たのでご紹介させていただきます。”「まだ希望に名前はない」の僕と君を魂と富士葵に置き換えて当てはめると胸にストンと落ちました。”とのことでした。なるほどとガテンが行きました。私の考えだとリアルに男女の話になってるんですが、これなら富士葵と魂本人、バーチャルとリアルの二つの人格の葛藤というとても美しいストーリーになるじゃないですか。いかにも富士葵らしい気がします。感動もさらに増す気がします。これを念頭に入れてもう一度全部聴き返してみようと思います。


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