スーパーゴールデンルーキー、君の名は

2021年のヤングジョッキーズシリーズは、ファイナルステージで2勝を挙げた佐賀所属・飛田愛斗騎手に戴冠となった。新人勝利記録を塗り替え、前評判も高かった「愛の戦士」は、その実力が間違いないことを鮮烈に証明してみせた。

大井と中山ではそれぞれ2戦目で測ったような差し切り勝ち。小さな佐賀コースと違い、広いコース長い直線に戸惑いもあったようだが、すぐに対応してくるあたり、「さすが」と思わせる騎乗だった。これこそ飛田騎手の真骨頂で、馬場読みの力と馬の能力を可能な限り引き出すペース配分に仕掛けのタイミング、これらがぴったり噛み合わさったときに、とてつもないパフォーマンスを見せるのであるが、それを大一番で発揮する強心臓もまた、勝利に必要な能力の一つであろう。

さて、飛田騎手について「天才」と称されることが多いが、個人的には「天才」と呼ぶことには抵抗がある。彼は持って生まれたセンスだけで騎乗しているわけではない。テコンドーで鍛えた体幹と野球で身に着けた俯瞰力、そして馬を愛し信じる心と日々の不断の努力が彼を作っているはずだ。まあ、努力できることも天才の条件の一つだと言ってしまえば、そうなのであるが。。。

それから、彼が騎手を志したタイミングも絶妙で、2000年代からの地方競馬冬の時代、佐賀でもご多分に漏れず若手騎手が育たない、というか「育てられない」ことが長く続いて、何人ものジョッキーが様々な事情で去っていったが、ここ数年は売り上げも上向き、出水騎手、金山騎手ら若い人を「まとも」に置いておける状況になったことが、飛田騎手のデビューにつながったと考えている。

今日1月3日から、2022年の佐賀競馬がスタートする。飛田騎手は200勝も目前。今年どれだけの勝ち星を挙げていくだろうか。そしてファイナル中山第2戦後に「七夕を抜けば優勝だと思ったが、その先に飛田がいた。」と悔しさをにじませた金沢・魚住騎手は佐賀で期間限定騎乗。「同期」の二人は、どんな戦いを見せてくれるだろうか。

≪おまけ≫
飛田くんの戦績を眺めていて、ちょっと興味深かったこと。

初騎乗 2020/10/3 4R キュウシュウダンジ
初馬券内(3着) 2020/10/3 11R エーティーキンセイ
初連対 2020/10/11 11R ナンゴクエアーギル
初重賞騎乗(九州ジュニアチャンピオン) 2020/10/18 6R キンナラキー
初勝利 2020/10/18 7R アメジストヴェイグ
初重賞勝利(たんぽぽ賞) 2021/2/25 6R イロエンピツ

これらの共通点、「上がり最速」。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?