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DeNA雑に支配下選手解説【武田陸玖】 #3

 こんにちは。だけんさんです。
 思ったよりパート2の方も見てもらって嬉しい限りです。反応もらえると励みになるので、今回もよろしくお願いします(╹◡╹)

(前回のnoteはこちらから)

 今回も贔屓球団に入団した新人選手をざつーに解説するシリーズなので興味のある方は読んでください。

 第三回は武田陸玖選手です。

 ではどうぞ。

ざつ解説

 投げては最速149km/h左腕・打っては高校日本代表で4番打者も務めた高校通算本塁打31発の強打の左打者。所謂“二刀流”のプレイヤー。
 体格自体は174cm/77kgと大きくは無いが身体能力・身体操作能力が非常に高く、投球・打撃の際の右肩と左肩を入れ替える“キレ”が非常に鋭い。全身の筋瞬発力の高さはNPBに混ぜても平均水準以上のモノを持っているだろう。
 
 まず投手評価。
 垂れの小さいシュートライズ系の直球。内外の投げ分けはしっかり出来ており制球力はプロ2軍でも破綻した成績を残さない程度には程良く纏まっている印象。スライダーも膨らみが小さいながらも縦の変化量はしっかり出ていて、チェンジアップは所謂“来ない系”ではあるが、右打者への外角の制球が安定しているため直球狙いの打者から面白いように打ち損じが取れる。
 フォーム面ではやや出所が分かりやすそうに見えるので、もう少し身体の近くを腕が通るようになれば。といったところ。
 打者の時は野生味溢れる印象だが、マウンドにいる時は非常に落ち着いており、三振を取ってもさも当然。というように飄々と歩いて帰っていたり。打者の狙いを読む感性や嗅覚に優れているという中学時代のコーチ談があったりと、身体能力任せでは無いクレバーな一面も感じさせる。
 タイプ的にはオリックスの宮城に近い印象で、小柄ながら最速150キロ近い出力・優れた直球の質を持ちながら、球のキレ、制球も高く纏めている。なんだかプロで二刀流というのもあながち否定出来ない投手になる可能性があるのでは?

 続いて野手評価だが、天才的なバッティングとスカウトから高い評価を受けているのはこちら。
 投手なので肩は当然強い。脚も速く、代表戦でも軽快に捌いたセカンドゴロを内野安打にして見せた。30m走のタイムでは阪神近本に近いタイムが出ているとか(なお信憑性には注意)。
 守備位置は投手以外では、中堅手兼一塁手。左投げなので内野他ポジションは難しそうに思う。いちおう余談ではあるが矯正された左投げらしく元々右投げらしい。中学時代は右投げでショートを守った事もあったとか。めちゃめちゃな身体操作能力に驚くが、右投げ再転向とかはまあ考えないでも良さそうだ。
 
 スカウトに評価されるバッティングだが、フルスイングながらも内角・外角ともにボールの内側にバットを通す事が出来るバットコントロールは、高校生レベルを逸脱している。内角低めのファールにしかならないようなコースを右手一本でライトに引っ張ったり、流して打った打球も内側から強く叩けるので想像以上にボールが伸びる。
 パワーツールに関しても、吉田正尚のように瞬発力を活かしたフルスイングを見せるため、身体の大きさに似つかわしくない打球速度のボールが外野にかっ飛んでいく。
 また左投げ左打ちのお陰か、右投げ左打ちの打者だと伸びづらいレフト方向への打球がかなり伸びる。U18では木製バットで低めのボールを流してレフトの頭を超える打球も。あまり細身の高校生では見ないような光景じゃないだろうか。
 ”強打が自慢“・”足肩ツールも兼備“・”外野手“という事でドラフト1位の度会と似てる部分も多いが、シンプルに打球を強く飛ばす能力に関しては将来的に武田の方に分が有りそうに感じている。

 フォームの面では前述のようにバットを身体に近いところからしっかり通せていて頭の上下動も小さく出来ている。
 身体の開きを抑えるためなのか足をややホームベース側に踏み込んでおり、そのせいで肩が投手側に入るため、少しバットが出にくそうな印象を受けた。高校レベルだとスイングの速さで解決しているが、プロの速球帯への適応のために調整する必要なんかは出てくるかも。
 左足は右足にしっかり寄れているので腰を回す動きは問題無さそうに思う。
 色々言ったが高校生レベルならこれだけ出来ればレベル高すぎ!と思う。例年の2軍の球速帯であればさほど労せずして適応していくのでは無いだろうか。

 数字で見ると、投手としては地方大会中心ながらイニング以上の奪三振を取れている点は好印象。与四球は可もなく不可もなく。突出した成績を残せていない点は気になるが、2年3年と防御率自体は1点台、被打率も.250以下と安定感のあるピッチングをしていることは伺える。
 圧巻なのは打者成績、1年生から通年で4割を下回る事がなく、3年では28打数ながら打率.536のハイアベレージを残し、15安打のうちの10つが長打という爆発力を見せながら、それでいて三振は0という驚異的な数字を叩き出している。
 打率やOPS、四球といった成績と違い、長打力と三振に関係する数字は打者の本質的な能力を示す可能性が高い。カテゴリーが変わり相手関係は大幅にレベルアップするが、NPB2軍相手でも上手く環境と噛み合えば高卒新人ながらも良い成績を期待出来そうだ。

 本人が二刀流志望を表明した事もあり、実際に二刀流が出来るのかという話になるが、
 「素質を見れば十分に可能なポテンシャルはある」
 一方で、「現実的にセリーグでは実現不可能ではないか」というのが個人的な推論。

 大谷翔平に端を発した投手と野手の“二刀流”は、彼クラスのスペックを持ってしても「先発として規則的なローテションを刻む合間にDH(指名打者)として打席に立つ」というもの。
 DH制の無いセリーグで二刀流を敢行するには先発の間の登板間隔に守備に着かなくてはならないが、身体へ掛かる負担は予想が出来ない。
 例えば中10ローテやら色々と負担軽減を考える事もできるが、結局総合的な利得が片方専念に劣ってしまっては元も子もないので合理性に欠ける。
 保守的なセリーグでDHが導入されるのは何年掛かるか分からないし、やっぱりちょっと現実味を感じない。
 幸い2軍ではDHもあるので、「投手・野手どちらも可能性を探ってみて、より最大化出来る方を何処かのタイミングで選択する」というのが落とし所だろう。
 ちなみにスカウトのコメント通り、野手専念に分があるようには見える。

 編成面とのマッチングとしては、ドラフト前までは外野手の最年少が勝又(23歳)という陣容で、育成の為に集中して打席を与えたい対象が少なくなっていた。そのため武田の獲得は歓迎出来るものだが、今回のドラフトで武田の他に度会(ドラ1)・井上(ドラ6)と外野手を獲得している都合、後者2人のスタート次第ではファームの外野が渋滞する可能性も。
 2軍では(1軍でもだが)中堅手候補が少ないので、武田が中堅手を一定のクオリティで守れるならば上記の点もさほど問題ないが、全員が両翼だと今後も桑原の後継者候補に外野手を獲得せざるをえなくなり、更なる大渋滞を呼ぶといったのが最悪のシナリオ。度会・井上ともに内野手としてのオプションがある選手を獲得しているので、編成側もそうした懸念に憂慮はしているのだろうという事は見てとれるのだが。
 ちょっとこればかりは蓋を開けてみない事には分からないですなあ。

まとめ

・投手野手ともに質の高い二刀流プレイヤー。
・投手としては切れ味鋭くクレバーなオリックス宮城タイプ。
・野手としては俊足強肩・レッドソックス吉田正尚のようなフルスイング。
・現実的には何処かで野手専念になるか。
・中堅手が守れれば良いが、両翼だと外野が今後も渋滞するかも。

 野手出場時は右投げで肩を休める三刀流…やりませぬか(╹◡╹)?

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