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検査レポートの書き方

さて、7月になりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか?

今回は僕が個人的に思う所見の書き方をお伝えします。この考え方は、多分今後変わらないと思うので、参考にしてください。

まず、重要なことは相手に伝わるレポートを書くことです。恋文と一緒で、伝わんないと意味ないですからね。

↓↓ わかりやすいと思って、イラスト書いたんですが、逆に分かりにくいですね、笑。

前提として大切なことは3点です。
1.  文章が理論的で簡潔であること。
2. 
感度が高い所見と特異度が高い所見を区別して考えていること。
3. 
診断の根拠が提示されていること。

「胆嚢内に10mmのASを伴うSEがあって…」って書くよりかは「胆嚢内に10mmの結石があって…」と書く方が分かりやすいですし、この程度のものならばダイレクトに書いたほうがわかりやすいでしょう。

さて、問題は複雑な所見の場合ですよね。

おそらく、検査終了時には自分なりの超音波診断があるでしょうから、例えば、「大腸癌による閉塞性腸閉塞」を想定してみましょう。

有症状でしょうから、一番言いたいことは、「腸閉塞」が起こっていることですよね?なので、腸閉塞の根拠を書きます。
腸閉塞一般論として、例えば…
 ・大腸 and/or 小腸の拡張を認め、腸閉塞を疑う。
 ・腸管の壁肥厚や菲薄化など虚血性変化を疑う所見はない。
   あれば絞扼性の可能性が高い。
 ・腸管内容の沈殿はなく、蠕動は減弱化しているが確認可能。
           沈殿してれば絞扼性の可能性が高い。
 ・腸間膜の浮腫はない。
   あれば絞扼性の可能性が高い。
 ・closed loopはない。
   あれば絞扼性の可能性が高い。
このあたりを書いてあげれば、first stepとして「(単純性or絞扼性)腸閉塞」をお知らせすることができるのです。
ポイントは「単純性 or 絞扼性」の鑑別で、これを各所見の感度と特異度を考えながら、絞り込んでいくことが大切です。

で、second stepは「閉塞機転」が何か、です。例えば、大腸癌による閉塞性腸閉塞なら、次のようになります。
 ・拡張した腸管を追跡すると、限局した壁肥厚を認める。
 ・限局した壁肥厚は層構造が消失している。
ここのポイントは「癌 or 非癌」の鑑別で、これも各所見の感度と特異度を考えながら、絞り込んでいきましょう。例えば、慢性炎症による狭窄の場合もありますので、基礎疾患を加味しながら層構造をよく見て鑑別していくのが良さそうですね。

以上の所見から、「大腸癌による閉塞性腸閉塞を疑います」との超音波診断になります。

特異度100%の所見があれば、鑑別疾患などは記載不要でしょうが、実際は悩むことが多々あります。そんな場合は、最後に鑑別疾患も挙げておくと伝わりやすいと思います。

という感じで、ゴールを意識して逆算して所見を書いていけば、結果として良いレポートになっていくのではないかと思います。

最後に、臨床所見と自分のレポートに乖離がないかもチェックできればいいですね✨思い込みに要注意です😊





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