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6mm超えたら全部虫垂炎でヨシ! .... なのか? 

こんにちは。なんで、9月なのにこんなに暑いんだろうね?今日は正常虫垂が描出できてからのお話をしたいと思います。

腫大とは?

「腫大=腫脹。炎症などが原因で、からだの組織や器官の一部がはれ上がること。また、細胞の容積が増大した状態。」と大辞泉には書いています。つまり腫大には病的なニュアンスがありますので、虫垂炎が疑われる場合は腫大なのでしょうし、そうではない場合に腫大と書くとニュアンスで誤解を生みそうです。

なぜ腫れるのか?

虫垂「炎」という名前のとおり、虫垂が炎症を起こすには原因があります。リンパ濾胞の過形成や糞石が大部分を占めており、あとは異物、クローン病、腫瘍などが続きます。このような原因で虫垂の閉塞をきたし、続発する細菌感染が惹起されるのです。人体では"流れ"が遮られると、良くないことが起こるんですね〜。

イラストの解説

虫垂は拡張しているけど虫垂炎とは言えない

「径」はどこからを異常とするか?

  虫垂を見つけた時にどう評価していくかですが、まずは、径を測ると思います。まずは"このラインを超えたら異常"とする線引きをします。これをカットオフ値といいます。
 虫垂径の場合はこれを6mmとしています。6mmというのは多くの論文[doi: 10.1148/radiology.213.2.r99nv44341]で採用されていますし、経験的にも良いラインだと思っています。

 問題は6mm以上あるけど正常な場合です。例えば、正規分布している検査値のカットオフ値を決めようとなったときにも、2SD(標準偏差)で約95%がそれに含まれるわけですが、両端の数%は外れることになります。虫垂径の場合、問題となるのは正常高値の場合で、6mmを超える正常(非病的腫大)とは何を指すのでしょうか?

6mmを超える正常虫垂

結論から申し上げますと、「ただ虫垂内に腸液(便汁)が溜まっているだけ」の時です。虫垂は細長い筒状の袋のようなものなので、当然袋の中に水が貯まるだけでも拡張するので6mm超えます。稀ではありますが、もっと拡張がひどい場合は、粘液嚢腫も考える必要があります。

無症候性なら特に悩まないのですが、難しいのが症状から初期の虫垂炎が否定できない場合です。いわゆるカタル性虫垂炎の場合です。壁の浮腫や周囲脂肪織肥厚が多少なりともあれば虫垂炎でいいのですが、カタル性の場合、そういった所見が見られない場合があります。これに対してどう対応するかですが、個人的には「翌日follow」をおすすめしています。非侵襲的なのが超音波検査のいいところですし、翌日なら炎症が顕在化している場合が多いと思います。

病的でない拡張に対しては、僕は次のように記載することが多いです。「虫垂は最大径7.8mmと軽度の拡張を認めますが、拡張の主体は腸液貯留です。明らかな壁肥厚や周囲脂肪織肥厚を認めず、現時点では虫垂炎は否定的です。」一例です。上記の通り、圧痛がある場合は悩ましいんですよね。なので、followをお願いしたりします。

まとめ

「径6mm以上で、浮腫性壁肥厚や周囲脂肪織肥厚がある場合」は虫垂炎と診断できますが、「径6mm以上でも、浮腫性壁肥厚や周囲脂肪織肥厚がない場合は正常虫垂の場合がある(必ずしも虫垂炎とは言えない)」という感じです。繰り返しできるのがエコーの良いところなので、悩ましい場合は再検どうでしょう?


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