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上部消化管の見方をおさらいする

お久しぶりです。2023年最初は上部消化管の見方です。もともとTwitterに投稿していたのですが、せっかく作ったので、アーカイブのつもりでnoteに残しています。

まずは固定点を確実に描出できるようにしましょう。

胃と十二指腸を見るくらいだったら、プローブは思ってる以上に動かさなくていいです。イラストでは胃がベタッと広がってますが、実際は背側から腹側方向に立ってるイメージですね。なので、そんなにプローブを動かす必要がないわけです。

大切なのは固定点

闇雲にみても迷子になるだけなので、まずはスタートとゴールを決めてあげます。それが固定点という場所で、誰でも大体同じ位置にあります。上部消化管を見る場合、食道胃接合部十二指腸が固定されているので、ここをまずはしっかり同定できるようになりましょう。

食道胃接合部:肝左葉と腹部大動脈の間にある管腔物を探しましょう。
十二指腸:いつも膵頭部みてる時に実はぐるりと膵頭部を取り囲んで存在してまっす。

まずは自信を持って、この2点が描出できるようになることが大事です。

心窩部縦走査します

実際のスキャンですが、何事も最低2方向から見てあげるのが良いと思います。縦・横どっちからでもいいんですが、縦の方が食道胃接合部が分かり安いと思うので、縦からがいいと思います。
では、実際どう走査するかはこちら↓↓

縦走査の見方

こんな感じで① → ② → ③ → ④ と進んでいきます。
①のビューで食道胃接合部が十分綺麗に見えていたら息どめする必要はないと思います。見えてなければ、深吸気で尾側に臓器を引っ張り出します。
プローブは一筆書きするようにすーっと動かしてくださいね。プローブの動きだけに着目すると、食道胃接合部が中心とすれば、まずは②の方向つまり①から患者さんの左側にスライドあるいは扇動走査して、今度は逆方向にプローブを振って①を通り過ぎ③、④と右方向に振っていきます。振り子のようなイメージですね。この縦走査では、終わりの十二指腸は球部付近まで見えればいいかと思います。続けて、十二指腸の走行に沿ってそのまま短軸で3rd potionまで追えれば、なお良しです。

そのまま心窩部でプローブを横におきます(横走査)

上の続きなので、プローブは十二指腸から幽門部付近にあるはずです。今度は横走査で見ていくのですが、もう1回食道胃接合部に戻ってもよし、このまま十二指腸から逆走して食道胃接合部に戻るのもよしです。慣れてくると後者になりがちです。

横走査の見方

横走査の方が胃の全容がつかみやすいので、こっちがメインになるかな。ここのポイントも一筆書きの要領ですーっと動かすのがポイントです。イラスト内に書いているんですが、ここで気がつくんですよね。

「いや、ほとんど胃見えてなくね?」

はい、多分条件が良くない限り結構見えないですね。仰臥位では。なんでかというと、胃の中に空気があるからです。また困ったことに一番見たいところが隠れるんだよなあ。。

胃角部は絶対に右側臥位で

胃角部は右側臥位で。大事なことなのでもう一度言いますよ。胃角部は右側臥位で見てください。

なんで右側臥位にせないかんのか?

理由はイラストの通りです。胃が伸展するので、自分のガスから免れやすくなります。ガスも移動しますしね。
胃潰瘍 →  右側臥位
十二指腸潰瘍 → 左側臥位
この辺りはトレードオフの関係になりますので、仰臥位で何を狙うか決めてから側臥位にしていくのが良いと思います。胃癌なら、仰臥位→右側臥位にしますね。

ステージ(舞台)を想像してください。仰臥位ではステージ中央に前庭部がいます。十二指腸は向かって左側の袖に、胃角部は右側の袖にいます。彼らは自分では動けないのですが、どうやったら両袖の彼らをステージの中心に持ってくることができるでしょうか?

答えはステージを傾けることですね。ステージを傾けることで、両袖の彼らはステージの真ん中に来ることができるのです(しかも命綱ついてるので、傾けても大きくは変わらない)。

というわけで、上部消化管はこんな感じで見るわけですね。いつも言ってますが、健常人での練習は出しやすい人を使いましょう。出しやすい人で確実に出せるようになってから、徐々に出しにくい人で慣れていきましょう。

最後は恒例の伝わりにくい例えで終わりました。

(あれ、最近なんかの講演でパワプロのミートと強振の分かりにくい例え話をしたような気がする…)

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