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下部消化管(大腸)を攻める 前編

こんばんわ。今回は主に大腸の見方を解説してきます。長くなって見にくくなると思うので前編と後編に分けていきますね。

ポイント

☆ 系統的にみる (口側から肛門側に追いかける)

☆ 固定点から固定点へ

☆ 慣れたらコンベックスでスクリーニング可能だか、基本的には高周波コンベックスorリニア推奨

☆ 正常が一番分かりにくい。異常になれば向こうから主張してくる。

とこんな感じで、消化管全般に言えることです。通常のコンベックスでは層構造を認識するのは容易ではないので、この場合はガス像を追うイメージです。最初はリニアで丁寧に、層構造や腸管の輪郭を意識しながら見ていくのがおすすめです。練習は痩せた若い方が良いと思います。
それでは見ていきましょう。

大腸全体の見方

① 上行結腸を同定する。そして、盲腸に向かう。

右側腹部にプローブを横向きに置く。最外側・最背側にある動かないガス像を同定する。上行結腸はガスや内容物が多い場合が多いですね。

上行結腸を短軸で同定したら、そのままプローブを足側にすーっとスライドしていきます。プローブの向きは変えていないので、大腸は短軸に写っているはずです。すると、画面の右側から小腸が入り込んでくるポイントに行きつくと思います(いくつかバリエーションあり)。ここがバウヒン弁で、いわゆる回盲部付近です。

この辺りで大腸と小腸の区別に悩むかもしれません。わかりやすい鑑別のポイントは"蠕動の有無"だと思います。じーっと見ているとクネーっと動くのが小腸です。大腸は滅多に蠕動を見ることはありません。

バウヒン弁を過ぎると、盲腸に入ります。そのまま引き続き足側に下ろしていくと、ガス像が途切れますので、そこが盲腸の終わりです。人によっては、腸腰筋超えて骨盤腔内まで途切れない人もいますので、丁寧に追っかけてください(後述しますが、こういう人が虫垂出せない人の代表です)。大腸が腸腰筋を越えるか超えないかは重要です。

② 上行結腸を上行し、肝弯曲にむかう

盲腸まで到達したら、虫垂を見るのですが、ここでは割愛しますね(次回)。ずっと短軸で見ているので大腸は輪切りのままなんですが、上行結腸を追っていくと、プローブの向きを変えていないにも関わらず、輪切りで切れないポイントに到達します。気がつけばハウストラが描出され、長軸っぽくなっているはずです。ここが肝弯曲部です。

③ 横行結腸を同定する

原則、大腸は輪切りで追っかけていきます。肝弯曲からプローブを90°回して縦に置くことからはじめます。丁寧に追っていけばいいのですが、横行結腸は固定されておらず、走行にバリエーションが豊富です。若い方などは、臍の下まで下垂していることもあります(この場合、横行結腸がS状結腸や下行結腸とかなり近くなるので、間違えやすい)。

どうしても肝弯曲から横行結腸が迷子になる場合もあります。その場合、心窩部に縦にプローブを置きます。そして、縦のまま足側にプローブをスーッと下ろしていくと、動かないガス像が出てくると思いますので、それが横行結腸です。この見つけ方とした場合、肝弯曲に戻ることも忘れずに(③'-1)。

前半のまとめ

消化管エコーがとっつきにくい大きな原因は、管腔臓器であることだと思います。しかも中にエコーの天敵である空気が入っているので尚更です。肝臓のようにある程度の大きさを持った充実臓器は見やすいんですけどね。

正常の消化管エコーが難しいと思える原因
1.  壁が薄いので同定しにくい
2.  ガスがあるので分かりにくい

正常においては概ねこんな感じで分かりにくいのですが、正常と異常を対比しましょう。

1.  正常:壁が薄いので同定しにくい
 → 異常:壁が厚くなるので同定しやすい
2. 正常:ガスがあるので分かりにくい
 → 異常:腫れた腸管壁によって内腔のガスが排除される。炎症により腸管外の脂肪織が肥厚すると、ある程度の'塊'になるので、病変部周囲から腸管が排除される。

というように、異常があるほうが分かりやすくなってきます。ですので、健常人で練習する時はなかなか手応えがないと思いますが、ここで挫けるともったいないです。しっかり正常の薄い壁の感じを覚えて、大腸を正確に追えるようにしてくださいね😊

後編に続く。


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