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【ライブレポート】nayutaの新たな旅立ち<nayuta Birthday Live「青の旅立ち -Blue Departure-」>

2023年9月24日飛行船シアターにて、nayuta Birthday Live「青の旅立ち -Blue Departure-」が開催された。ライブは昼夜の2公演行われ、昼公演にはゲストに優莉(Guest Vocal)、夜公演にはゲストに優莉(Guest Vocal) SperioNz (Piano) 藤屋(Acoustic Guitar) 岩嵜壮志(Violin) 村上海人(Percussion)が出演した(敬称略)。本記事では夜公演の様子を中心にレポートしていく。

2023年7月31日に勤めていた会社を退職し、フリーランスとなったnayutaの門出とも言える誕生日記念ライブを祝うために、全国からなゆふぁんず(nayutaのファンの総称)が集結した。会場の飛行船シアターにはなゆふぁんず有志によるフラワースタンドが飾られていた。

2023年5月からオリジナル楽曲3か月連続リリースに加え、ライブの表題曲「Blue Departure」を携えて開催されたのが、本公演nayuta Birthday Live「青の旅立ち -Blue Departure-」だ。昨年開催された「nayuta 15th Anniversary & Birthday Live 青の結び目 -Blue Knots-」から、さらに進化したnayutaのライブに、否が応でも期待が膨らむ。

夜公演も昼公演と同じく「Blue Knots」から始まる。1年前のバースデーライブの表題曲を1曲目に持ってくる、にくい演出だ。そしてライブが始まってまず目を奪われたのが、飛行船シアターのウリの270度に広がるプロジェクションマッピングだ。ステージ上のnayutaとバンドメンバーを中心にMVと幾何学的なVJが展開される。現地ライブだからこそできる歌、演奏、映像演出による総合芸術が圧倒的な情報量で迫ってきた。

最初の曲を歌い終え、会場からの声援やペンライトによる応援の一体感をnayutaが称賛する。去年のバースデーライブを振り返りつつ、今年は結ぶ目からつながるライブにするためと、1曲目に「Blue Knots」を選んだ意図を語った。ライブのキービジュアルと同じ白い衣装をお披露目すると、会場から「かわいー!」という声があがる。今日演奏を担当してくれるバンドメンバーを紹介しつつ、去年と同じメンバーでまた集まれたことをnayutaは喜んでいた。

続いて「蒼のキャンバス」「風が吹いたら」「赤い瞳と青い唄」と続けて3曲を披露。それぞれの曲で蒼、緑、赤とライティングが切り替わり、その光を浴びたnayutaの純白の衣装がキャンバスのように曲ごとのイメージカラーに変わる。ライティングにより衣装の白を蒼(緑・赤)のキャンバスに見立てる演出には脱帽するしかない。ライティングに呼応するように、会場のなゆふぁんず達のペンライトの色も阿吽の呼吸で切り替わっていく。

nayutaが「昼公演も来た人?」と会場に質問すると、かなりの数の手が上がっていた。夜公演は昼公演と違うセットリストであること、次はアコースティックならではの曲と言って歌うのは「時薬」。感情を込めて歌うバラードはnayutaの真骨頂だろう。「雪凪」「垂直の青の果て」と続き、有機的なアコースティックサウンドに乗せて響く、nayutaの澄んだボーカルがとても心地好かった。感情を乗せた伸びやかな歌声は、シンガーとしての新たな境地を感じさせ、既存の曲も新鮮に感じられた。

ここでnayutaがゲストボーカルの優莉を呼び込み一緒に「二人合わせてNaYuriです!」と芸人っぽい挨拶をする。二人で歌うのは当然NaYuriの「Bright Twin Magic」と「アイニー」。NaYuriの歌声のハモリも、赤と青のペンライトのウェーブも美しい。先ほどまでの情感的な空気とは対照的なポップで軽快な空気が会場を満たす。その発信源となった優莉は、歌うことへのときめきが、その歌声と全身からナチュラルに溢れていて、とてもフレッシュな魅力を放っていた。

nayuta「そういえばNaYuriの曲は2曲しかありませんよね?」優莉「ということで新曲を作ってきました!」と嬉しいサプライズ。秋のM3にリリースされるNaYuriの新曲「君と廻る」を初お披露目するとのこと。歌う前に「ラーラーラー」や「おーおー」と会場のコールアンドレスポンスの練習をして万全の態勢で新曲に臨むNaYuri。コールアンドレスポンスが楽しいライブ映えする新曲で秋のリリースが楽しみだ。

優莉はnayutaの衣装の上着を持って退場。上着に隠されていた右胸の青いリボンや腕のレース部分があらわになる。nayutaがお水を飲んでいる間にSperioNzの靴下の色チェックがあり青ということが判明した。

再びnayutaのソロパートになり「ハルハコブネ」「ユキニカ」と2023年5月から3カ月連続リリースした新曲を披露。「ハルハコブネ」の直接的な陰鬱な言語表現ではなく単語の羅列とnayutaのどこか淡々とした歌声で描かれる音風景は、nayutaの歌いながら目を閉じたり光に手を伸ばす所作もあいまって、じんわりと心に染み込んでくる。「ユキニカ」の悲恋のバラードには、nayutaのクリスタルボイスがよく映える。玲瓏なピアノのメロディとラスサビのドラマティックな盛り上がりに、映画のクライマックスのような感情の波が押し寄せてきた。

昼公演は次に「Vacancy」を歌ったが、夜公演はセットリストが異なり「追想の先へ」を歌った。「Vacancy」のダークで退廃的な世界観も格好良くて好きだが、「追想の先へ」の曲「これが私の行く道 真っ白な地図描く」や「一歩踏み出すのが 怖くてしかたなかったけど」という歌詞が、2020年にリリースされた曲と思えないほど「新しい旅立ち」をテーマにした本公演に沿っていた。

再びnayutaが水を飲む間、昨年のライブで村上のファンができていたという話で、ひと笑いが起こる。そして「私事ですが」と前置きして、改めてnayutaが会社員を辞めたことを報告する。「社畜じゃなくても好きでいてくれますか?」との問いには会場全体から「大好きー!」と返事があった。次の曲は、そんなnayutaのことが大好きなみんなと一緒に歌いたい一曲「ずっと、ふたり」。「らららー」とnayutaとなゆふぁんずのシンガロングが暖かく会場に響き渡る。最後のnayutaの「ありがとう」というつぶやきが、思わず零れた本音のようで印象に残った。

アンコール前最後の曲は「結い結われ」。なゆふぁんずをはじめ、今日一緒に歌い演奏してくれたゲストメンバー、ライブの運営をしてくれたスタッフ、nayutaに関わってくれたすべての人との縁が結ばれて今がある。この曲を聴くとnayutaがファンと一緒に成長していくことのできるアーティストなのだと実感するのだ。

一旦出演者全員がステージからはける。間髪入れずに会場から湧き上がる「アンコール!アンコール!」という声。しばらく後、ライブTシャツを身に着けたnayutaとバンドメンバーが再登場。歌うのはもちろん本ライブの表題曲「Blue Departure」。会社員を辞め新たな門出を迎えた彼女への祝福のような曲だ。晴れやかでありながら、そこはかとなく感傷を感じさせる歌声と音色の調和は、まさに「青」の体現と言っていい。

nayutaが「新しいことはいつだって始められる」と「Blue Departure」に込められた想いを語り、本ライブのグッズ紹介と、改めてゲストボーカルの優莉の呼び込みが行われる。ステージに上がる優莉の手にあったのは9月27日に誕生日を迎えるnayutaへのサプライズ花束であった。花束を受け取ったnayutaはお返しと言わんばかりに、9月20日に誕生日を迎えた優莉へサプライズ花束を渡す。お互いにサプライズを仕込んでいたという、NaYuriの仲の良さがよくわかる光景だった。

記念撮影を行いアンコール2曲目、本当に最後の曲は、もはや定番になったと言っても良い「こうやって、いつまでも」だ。「またねまたね」とステージと観客席が一緒に歌い、手をウェーブさせる光景は、これで終わりではないと、きっとまたこうして集まれる機会があると信じるには十分な熱量があった。

nayutaとゲスト5人全員で観客に向かい「ありがとうございました」とお礼を述べ、ゲストを一人ずつnayutaが見送る。一人残ったnayutaが、今日の声出しやペンライトなどの、なゆふぁんずの応援がとても暖かかったことへの感謝を述べる。そして今後も音楽活動を頑張ると宣言して「これからもよろしくお願いします。今日は素敵な旅立ちにしてくれてありがとう、また会いましょう」と締めの言葉を述べると、会場からは万感の拍手と歓声がいつまでも鳴り響いていた。

昼公演と夜公演の両方を見て感じた一番の違いは、昼公演はオケライブ、夜公演はアコースティック生演奏でのライブということだろう。もちろんどちらが勝っているという話ではなく、昼夜それぞれのコンセプトは明確だった。昼公演では演奏が難しいが世界観重視の曲を、夜公演ではアコースティックが映えるバラードや感情を乗せる曲をセットリストに組み込んでいた。どちらの公演を見ても、違った魅力を感じられる、満足度の高いライブだった。

新しい旅立ちを迎えたnayutaは今後も新しい挑戦をし続けるだろう。音楽活動に専念できるようになった彼女が、どんな新しい音楽表現を魅せてくれるのか、今から楽しみで仕方ない。本公演のようなアーティストの大きな節目のライブに立ち会えたことは、心から誇らしいと思えた。

昼公演セットリスト
1.Blue Knots
2.蒼のキャンバス
3.風が吹いたら
4.赤い瞳と青い唄
5.Imaginary Arcadia
6.Aorist
7.白日より淡く
8.Bright Twin Magic/NaYuri
9.アイニー/NaYuri
10.君と廻る(新曲)/NaYuri
11.ハルハコブネ
12.ユキニカ
13.Vacancy
14.ずっと、ふたり
15.結い結われ
EN1.Blue Departure
EN2.こうやって、いつまでも

夜公演セットリスト
1.Blue Knots
2.蒼のキャンバス
3.風が吹いたら
4.赤い瞳と青い唄
5.時薬
6.雪凪
7.垂直の青の果て
8.Bright Twin Magic/NaYuri
9.アイニー/NaYuri
10.君と廻る(新曲)/NaYuri
11.ハルハコブネ
12.ユキニカ
13.追想の先へ
14.ずっと、ふたり
15.結い結われ
EN1.Blue Departure
EN2.こうやって、いつまでも


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