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マーケターのミッションを考える

お世話になっております、SALESCOREの古山です。

今回は普段業務においてどのようにマーケティングのミッションを捉え遂行をしているのかまとめていこうと思います。

あくまでどのようにミッションを捉えるか、どのような思考をしているかという抽象レイヤーでのまとめにはなりますがご容赦ください。


この記事は 「BtoB事業開発アドベントカレンダー」 の17日目の記事です!

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マーケティングをどう捉えるか

私は常に、マーケティングは「購買し続けられる仕組みを作り企業成長させることである」と考えています。非常にシンプルでありながら、常に壮大なミッションであると捉えています。

売れ続ける仕組みを作るのではなく、「購買し続けられる」仕組みを作るということ。

購買し続けられる仕組みの一端を担うことではなく、「全体をデザインする」ということ。購買される一過性のキャンペーンを作るのではなく、「仕組みを作る」ということ。これら3点に答えるように思考をするのが非常にやりがいに感じます。

業務内容レベルに落とすと、SaaS業界のマーケティングが本来担うべきものは、プロダクトマーケティング(価値定義、伝達、最大化)や、顧客接点以後スループット改善、顧客接点数増加などが挙げられるべきであると思っています。

一方で、いわゆるマーケティング担当の方が実際に遂行している役割は広告運用やセミナー企画、展示会登壇など商談作りだけであるように思えます。

ここで言いたいのはThe Modelであるがゆえに、分断が起きていますよね?ということではなく事業全体としてどのように価値を作り届けたいのかデザインする人が不在ですよね?ということです。

偉大な事業を伸ばしたマーケターの先人はこぞってプロモーションだけではなく、価値定義からコミットされているように思います。

“森岡氏は、 USJの核となる戦略コンセプトを、「映画のテーマパーク」から「世界最高のエンターテイメント」へと転換する大改革を決断した。”(中略)

“まず着手したのは、最重要ターゲットである低年齢の子供とその家族を取り込むための、新エリア「ユニバーサル・ワンダーランド」の建設である。”(中略)

“改革の手応えをつかんだ森岡氏は、以前から問題視していた入場料の見直しに着手した。”

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本来マーケティングとはどうあるべきかという視点で考えていくのであれば、誰にとっての価値をどう定義し、どのように伝達するかという問に答える役割をマーケターが担っていくべきなのではないかと考えています。このジョブを簡単にラベリングするのであれば事業開発やPMMと呼んで良いと思います。
前提となる価値定義や価値伝達方法を策定するという機能を持っている組織かどうかで事業成長難易度が大きく変わると私は信じています。

またこのようなマーケティングに対する理解を前提に、業務遂行をするには「問題設定解決力」が最重要とされるコンピテンシーであると思います。この力が有ることで企業成長の将来像を見据えつつ、届いていないGAPを認識し、埋めるためのアクションができ、購買され続ける事業づくりに繋がります。

マーケターの方とお話をする中でも問題設定解決力が高いひとが非常に多い印象がありますし、社内においてのそのような思考が得意なメンバーにはマーケティングについてディスカッションをする機会を設けながら思考力の幅や深さを上げてもらっています。

つまり、マーケティングのあるべき姿、組織として成長するための価値定義の重要さ、コンピテンシーの近接性から考えてもマーケターが事業開発の役割を担うべきだと思います。

イシューがなにか2つでわける

非常にシンプルで既にPMFをしているマーケットへGTMを進めていくことと、新たな市場へPMFをさせ続けることで購買され続ける仕組みはできると思います。(もちろん”仕組み”と表現しているため、細かい業務フローを整備することだけではなくリーダー層の採用や育成、新たなマーケット探索など比較的言語化しにくい領域も”仕組み”にしていくことが最終ゴールなため実際はかなり複雑であると思います)

PMFはプロダクトだけではなくコミュニケーション(=価値の伝達)も含めてPMFです。PMFには終わりがなく特定のセグメントにはPMFしていても、特定のセグメントにはPMFしていないことがずっと続きます。まだまだ価値がフィットしていないセグメントに対しても伝え方を変えればフィットするような事象が多数存在します。セールスがカスタマイズして提案書を作ることで刺さるのと同じ原理だと思います。

価値探索、価値定義、価値実装、価値伝達という流れで新たな製品は市場に出ていくと思います。このプロセスにおける価値定義や価値伝達は確実にマーケティング思考を使いながら行われます。

PMF(Product-Market Fit)の実現と新たな市場へのPMFの拡大は、私が見るマーケティングの重要な側面です。PMFは製品だけでなく、コミュニケーション、すなわち価値の伝達も含むと私は考えています。価値探索から価値定義、価値実装、価値伝達に至るプロセスは、私が考えるマーケティングの核心です。

価値と対価を比較し、課題を明らかにする

PMFは、顧客が継続して支払いたいと思う価値を創出することです。

価値約束(≒提供価値)と対価のバランスは、顧客満足度と事業の持続可能性に大きく影響します。
価値約束(≒提供価値)が対価を上回る場合は、価格設定の見直しが必要であり、逆に価値約束(≒提供価値)が対価を下回る場合は、価値の増加や期待値の調整が求められます。
個人的には、期待値をどこに調整しているかがかなり重要なポイントであると認識しながら日々業務を遂行しています。

一言で価値が言い表せない「何でもできる」サービスが世の中にはたくさんあると思いま。す(悪い意味ではなく)「何でもできる」という主張は、実際には「何もできない」ことを意味することも中にはあります。価値の定義が錯綜すると、開発リソースが分散し、結果として製品の価値向上が難しくなります。したがって、明確で具体的な価値提案が必要です。

番外編として、製品価値が対価を超える場合もありますが、これは通常、製品価値が顧客に十分に伝えられていないことが問題です。製品の実際の価値を顧客にしっかりと伝えることが重要になります。目玉の機能でも利用方法やシチュエーションが顧客に伝わっておらず、活用されてないケースも存在します。

抽象課題と解決策、具体課題と解決策を思考する

マーケティングの最も重要な部分は、「誰のどのような課題を解決するか」という問いです。

顧客の課題と解決策のマッチング、具体的なレイヤーでの課題の整理が重要です。このときに誇大表現をしていないかは正しく視点として保つ必要があります。

例えば、「営業生産性向上の全ての課題が解決できる」という誇大表現は、セールスの難易度を高め(すべてを解決するので本来フィットしていない顧客への提案機会の増加や個別カスタマイズするべき提案の増加を招きます)、価値の錯綜を招きます。

具体レイヤーの整理をせずに抽象レイヤーでの整理のみしてしまうと誇大表現になる可能性が高くなります。価値を大きく見せようとしたくなったり大手企業の決算説明資料に書いてあるような戦略にアラインできるような製品であるかのように大きく見せようとすると誇大表現になってしまいがちです。重要なのは抽象課題と抽象解決策ではなく、具体的な業務レベルの課題と具体的な業務レベルの解決策を正しく整理することです。

私は、誰のどのような課題を何で解決するかについて、常に説明レベルを高め続けることが必要だと感じています。

私が目指す顧客解像度の水準

顧客解像度を上げることで、サービスがどのような課題を解決しているかが明確になります。また、いまどのマーケットの課題を解決できていてどのマーケットの課題を解決できていないかがわかるのでアクセルを踏むべきタイミングが分かるようになります。これをわからずに大量採用などをしてしまうと後々苦労することになると考えています。

これには、顧客のジョブやフィーチャーを業務フローレベルで理解することが含まれます。

BtoBソフトウェアは業務課題を解決するものなので、業務フローが細かくわかっているかがKSFです。業務の一部が遂行できない製品であると片手落ちのソフトウェアになってきます。

セグメンテーションは、自社製品の理解(売れている・売れていない/定着している・定着していない)、競合製品の理解(自社製品の独自性の理解)、マーケットの理解(同一性や近質性の理解)の3つの観点から行うべきです。

自身の中で特に心がけていることですが、コミュニケーションを簡易にする目的以外で従業員がXX名以上や業界がXX業界であるのようなセグメンテーションはしないようにしています。基本的には同一の課題を持っていて価値を感じる人々の集まりがマーケットなので、セグメンテーションは課題ベースで行うのが当然だと思います。一方で同一業界においては同じ外敵圧力を受けるケースもあるので業界カットで見ても解が同じになることは存在します。

GTMなのか?PMFなのか?

GTM(Go-To-Market)の問題は、実はPMFの問題であることも多いです。例えば、営業生産性が低い場合、受注率の向上や単価の向上、受注件数の増加に焦点を当てる前に、PMFが適切に行われているかを疑うべきです。どのような製品でも、PMFをしていないマーケットは必ず存在します。私は常に、誰のどのような課題を解決するのかを考え続け、本質的な課題にたどり着くようにしています。


*プロダクトを疑う人が少ないんです。プロダクトが良くない、良いPMFをしていない、という疑問をなかなか持てない。よくあることです。これはシリコンバレーに「ゾンビ企業」と呼ばれる会社が多い理由です。ゾンビ企業とは、ひと握りのお客さまはいても、成長スピードが鈍い会社のことです。たいていの場合、プロダクトを売ったのは創業者で、そこから加速しないのです。*

*そして、単にPMFしていないだけなのに、セールスの問題だと考えてしまう。セールス側がうまく実行していても売れないことがあるなら、問題はセールスにはない確率が高いのです。アーリーアダプターではない、マジョリティと呼ばれるお客さまに初めてプロダクトを売ることは、ある種のキャズムを越える瞬間です。それはとても難しく、そこでやっと本当にマーケットやビジネスが存在し、本当にプロダクトが求められているのかが分かるのです。*

ARR1,000億円「Snowflake」CEOの経営論──すべてを異次元成長へ導くプロ経営者・Frank Slootmanに聞く「https://blog.allstarsaas.com/posts/snowflake-frankslootman」

まとめ

マーケティングは「購買し続けられる仕組みを作り企業成長させることである」と考えています。この過程では、価値の創造と伝達、顧客との関係構築が中核をなします。組織が成長し、市場での地位を確立するためには、マーケティングの思考が不可欠です。「価値を定義し、伝達する役割を担うマーケター」は、事業の成功において重要な要素となります。

企業が市場での成功を収めるためには、製品だけでなく、その製品がどのように顧客の課題を解決し、価値を提供するかを理解することが重要です。PMFを達成し、新しい市場を開拓することは、企業の持続的な成長に不可欠なプロセスであり、これを達成するためには、マーケティングの深い理解と実践が必要だと捉えています。

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