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マンガSaaS「コミチ」が目指すもの 第一回:「あえてWEB」の利点

はじめに

 ほとんどの皆さん、はじめまして。コミチ代表のマンディこと萬田です。
 今回から何度かにわたって、これからのWEBとマンガはどうなっていくのか、そのなかでコミチがなにを考え、マンガ業界にどうやって貢献しようとしているのか──そして、それらがクリエイター・編集者・出版社・読者それぞれに、具体的にどんな利益をもたらすのか……の連載をはじめます!

 第1回目の今回は、アプリ全盛時代において、まだ一部の人しか気づいてないアプリの限界と、WEBの可能性についてです。

 とはいえ、そもそも「コミチってなに?」「マンガSaaSって?」という方が多いかと思います。また、「Web3」(WEBにおける新時代と思ってください)や「NFT」(ビットコインのようにブロックチェーンを使った技術です)といった、まだ充分に理解が進んでいないキーワードにも触れることになります。これらのキーワードについては次回お話ししますね。

 さて、専門的なトピックついてお話しする前に、初回となる今回は、まず弊社が展開する同名のサービス「コミチ」の特徴について、お話ししたいと思います。
 みなさんが得られるであろう利益も、その過程で見えてくることかと思います。
 それでは、よろしくお願いいたします!

「コミチ」はWEBで漫画が読めるサービス

 さきほど、「コミチはマンガSaaS」です、という風に申し上げましたが、手っ取り早く説明しますと、「WEBでマンガが読めるサービス」です。
 「なんだ、そんなのいっぱいあるじゃん」と思われた方も多いでしょう。その通り、WEBでマンガが読めるサービス(サイト)は沢山あります。
 でも、「コミチ」には他のサービスとは異なる点がいくつかあります。これについては、おいおい触れることにしましょう。
 さしあたっては、「AmazonやSpotifyが音楽でやっているようなサービスのウェブマンガ版をやろうとしている」というくらいにとらえておいていただければと思います。

どうして「コミチ」はアプリじゃないの?

 もうひとつ、「なんでWEBなの? アプリじゃないの?」と思われた方もいらっしゃるかと思います。
 確かに、いまはマンガアプリ全盛といっても過言ではないくらい、たくさんのアプリがありますし、これからも新たなアプリが登場するでしょう。
 しかし、「コミチ」はあえてWEBなのです。
 その理由のひとつに、アプリでは多くの漫画が、その描写によって配信できない──という問題があります。
 日本の漫画には、本当に多彩なジャンルがあり、作品によって描写もさまざまです。バトルやお色気といった要素が、作品のテーマと深く関わっている場合も多いですよね。
 でも、それらがアプリでは統一的な基準によってすべて弾かれて、配信できなくなってしまいます。出版社さんがマンガアプリを開発する際に、この点はよく問題になるようです。
 だったら、出版社でない「コミチ」がその問題点を解消できるサービスを提供すればいい──そんなわけで、「コミチ」は「あえてWEB」という選択肢をとったのです。

アプリの限界と、雑誌機能の奪還

 現在の日本の漫画業界は好調で、中でもマンガアプリの存在感が非常に大きく、沢山のプラットフォームや出版社がマンガアプリを出しています。
 そのため逆に、熾烈なアプリユーザー獲得競争が長年続いた結果、現在はユーザー獲得の広告費が急騰し、新たなにアプリを始めたり、既存のアプリでも、有力アプリとユーザー獲得を争うには、月間数億円の広告費を投下し続けなければならないなど、競争に参加するためのコストが莫大になっています。
 その点Webは、アプリをダウンロードしなくてもSNSや検索などからすぐにユーザーと接することができ、いわば公共空間にマンガ雑誌を置いて、いつでも手に取ってもらえるような形です。多くの人がスマホを持って、気軽にWeb漫画を読むようになり、昔の雑誌でみんなが気軽に立ち読みをしていたような空間が、改めてできています。
 ただし、Webをしっかり運用するには、マーケティング設計や、数字をしっかり取り、それを活かして改善策を実行するなど、沢山の運用ノウハウがあります。ヤンマガWebなどコミチが関わっているところでは、月間200万人が訪れるなど、新たな作品を読者に伝える、紙の雑誌に代わる機能を手に入れているところもあります

本記事にアプリの限界などマンガ業界の課題について詳しく書かれています。

WEBのいい点は他にもある

 WEBでやる利点は他にもあります。
 それは、アプリに比べて開発・運用コストが段違いに安いことです。
 現在、出版社独自のアプリがあったりしますが、大手出版社はともかく、自社でのアプリ開発がコスト的に難しいというところも多いでしょう。
 頑張って資金を投下しても、先ほど述べたように配信できない作品が出てくるとしたら、非常にもったいないことです。
 そうすると、アプリでの配信ではなく、「ストアで電子書籍を売る」という路線を選択する出版社さんも出てきますよね。
 ただ、自社の電子書籍ストアで読んでもらうのは困難で、結局は電子取次を介して他社さんのストアで販売する……という、利益が少なく、データを取りにくい流通を選ばざるを得なくなってしまいます。データを取れないというのは、マンガ雑誌がアンケートを手放すことに等しいです。

「コミチ」についての整理

 初回からずいぶんいろんなお話を詰め込んでしまいました。
ここまでのポイントを整理してみましょう。

 1 「コミチ」はあえてWEB
 2 アプリの限界と、Web上での雑誌機能
 3 WEBなら弾かれる作品がない
 4 開発・運用のコストが安い
 5 データを取って分析することができる

 「コミチ」は独立系のサービスですから、出版社の垣根は関係ありません(また、商業作品でなくとも掲載できます)。
 さらに、アプリや電子書籍流通とは違って、アクセス情報をしっかりと取れますから、データを分析して更なる販売に活用することも可能です。
 どうでしょう、「コミチ」のよい点が、見えてきたでしょうか?

おわりに

 今回は、「コミチ」がなぜアプリでなくWEBなのか、WEBでやることでどういった利点があるのかについて、まずは入り口の部分をお話しさせていただきました。
 次回では、「Web3」「NFT」といったインターネットや出版業界の現在、そして近未来を予測しつつ、「コミチ」の方法論が、そのなかでどういった効果を発揮していくのか、出版社・クリエイターとともに未来を共創していく方法論について、お話できればと思います。

 ここまでお読みくださいましてありがとうございました。よろしければスキ&シェアをお願いいたします!


 ちなみ、前回はこんな記事も書いています。


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