寝落ち用 寝言のような音声作品

語り手は3錠の薬を飲む。
1つ目の薬を飲んで、一つお話をする。
1時間後に2つ目の薬を飲んで、また一つお話をする。
更に1時間後にに3つ目の薬を飲んで、また一つ、お話をする.......彼が眠りに就くまでの間。
薬を飲むごとに、時間を経るごとに彼は微睡み、話は体をなさなくなっていく.......まるで眠りに落ちて夢を見るかの如く。

まだ起きてる?ふふ.......良かった.......
僕.......寝れなくて.......
君も?
ふふ.......僕達、気が合うね.......
少し、お話しようよ.......
そうだね.......
薬が効くまでの間.......
僕のお話、聴いてくれる?

それはね、遠い遠い、海の国のお話.......
深海.......真っ暗で、光も届かないほどの、深淵.......
そこに、ある少年が住んでいました。
少年の背中にはヒレがあって.......
足の代わりに尾びれがある。そう、彼はまるで人魚のよう。
けれども、深淵に住む彼には知識などないから.......
自分が何者なのかも分からず。
ただ、食べられそうな魚を見つけては捉えて食べる毎日。
そんな彼にも不幸か幸いか知能はあり、自分は何者なのか、ここは何処なのか.......言葉のない頭の中で日々考えておりました。

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