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俺のそば

俺が住む福井県嶺北地方はそば屋が多い。福井市を中心とした福井地区と、越前市・鯖江市を含む丹南地区は特に多い気がする。そんなそば処で生まれ育った俺だが、子どもの頃はそばが大嫌いだった。
丹南地区越前市にある粟田部という町は、わずか3400人ほどの人口でそば屋が7軒ほどある。そのどれもが二八そばか十割そばを出している。そのせいで子供の俺には全く旨いと感じなかったのだ。なんか黒くて太いそばは、消しゴムのような食感(もちろん消しゴムを食べたことはないが)で、しかも辛み大根を混ぜたおろしをかけ出汁をぶっかけて食べるスタイルは、俺にはとても不味かった。

それでも次第に好きになっていく

大人になってから少しずつそばを食べるようになっていった。地元のそばに慣れたころ他地区で食べてみたら、あまりの違いに驚いた。普段食ているそばとはまるで別物だ。なんかお化粧でもしたかのような色白なそばが小洒落た器に乗っている。大根おろしもそれほど辛くない。こんなそばがあれば子供の時から食べられたのにと思った。どうやら知らない内に俺は越前そばの本流の中にいたようだ。もちろん他県の人には異論があるだろうが、福井のそばは硬くて辛いほど通好みということになっている。
そういえば小さなころから他県ナンバーの車にそば屋の場所をよく聞かれた。そういうことだったのか。あの人たちは「そば通」だったのか。

そんな俺がゆで太郎に

ゆで太郎「野菜かき揚げ丼とそばのセット」

今日は日赤で術後検査があったため、仕事を休んだのでゆで太郎に行ってみた。前から一度行ってみようと思っていたが、家から遠いのでなかなか縁がなかった。
事前に日赤の待ち時間を利用してゆで太郎の下調べをした俺は、できるだけスムーズに注文すべく券売機に向かった。
「ここはとりあえず一番安くてお得なセットにしておこう」
そう考えた俺は「野菜かき揚げとそばのセット570円」を注文した。待つこと5分、番号を呼ばれて取りに行くとそこには小さなどんぶりにご飯が見えない大きさの野菜かき揚げが乗っていた。肝心のそばはというと、普通の大きさの器にほんの少しのそばが漂っていた。
「ありゃー、こんなんかー」
それが第一印象だった。少しというかかなりがっかりした。今日は寒かったので熱いそばにしたが、それにしても少ない。寂しい・・・。
因みにゆで太郎には「おろしそば」というメニューがない。おろしそばがないそば屋を福井県に出すなんて・・・。
「江戸切りそば」と謳ったゆで太郎のそばだが、こんなんだったのか。そもそも江戸切りってなんじゃ?そんなの聞いた事ねーぞ。

江戸切りそば「ゆで太郎」

ネットでの事前調査によると、ゆで太郎のそばはそば粉55%小麦粉45%らしい。俺に言わせればそんなもんそばじゃねー!と思う。んで食べてみた。
細い・・・。そばの味がしない・・・。つゆが濃い・・・。
結果思いっきり期待外れではあった。まあ、子どもには食べやすくて良いのだと思う。けど江戸の人はこんなそばをそばだと思ってたべているのだろうか。ところ変われば味変わるである。
もちろん食べ物を否定する気はさらさらない。むしろ地方ごとのいろんな味がその地で愛されている事を思い知った日だった。

一度福井のそばを食べにきてくださいね

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