ラグビーW杯はまだ閉幕していない!!!

第9回目にして初のアジア開催となった、世界3大スポーツ大会の一つである、Rugby World Cup。本大会だが、多くのラグビーファンの予想を上回る盛り上がりを見せている。ラグビーの日本戦の視聴率も凄まじい数字だったらしく、今までラグビーに興味がなかった方々も試合を観戦したようで、ラグビーファンとしてはとても嬉しいことである。

何より本大会が盛り上がっている一番の要因は、日本代表(Brave Blossoms)の快進撃だろう。本当にすさまじい活躍だった。
筆者も一ラグビーファンとして、日本代表を応援していたが、想像を超えるパフォーマンスを大会で発揮し、見事目標だったベスト8に食い込んだ。

日本代表がどう強くなったのか、何がキーになって予選プールを全勝で通過したのか等は、他に様々な記事が出ているので、そちらに譲りたい。また、ラグビーのルール解説も素敵な記事や動画が出ているので、そちらに譲りたい。

ちなみに、ラグビーのルール解説動画の私のお勧めは、こちらの動画。
(時間は7分17秒)

さて、この一週間、ツイッターなどで
#日本代表ロス
#ラグビーロス
などのハッシュタグを見かけることがあった。確かに日本代表が負けたことは悔しい。だがしかし、まだワールドカップは終わっていない。というか、ここからが本当に面白い試合ばかりのはずだ。

前回の2015年のW杯の準決勝、ニュージーランドVS南アフリカの試合だって、凄まじいものだった。スポーツの大会では往々にして準決勝でベストゲームが生まれることが多々ある。

そこで、以下、4か国の特徴やプレースタイル、そして注目選手を取り上げてみたいと思っている。筆者自身、noteはよく見ているのだが自分で書くのは初めてで読みにくいところがあるかもしれないが、暖かく最後まで読んでいただけると嬉しい。

**準決勝1試合目。

ニュージーランド VS イングランド

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まずは、イングランド VS ニュージーランド。

日本国内でも人気の高い名将、イングランドHCのエディージョーンズは、「この試合のために2年半準備してきた。これから詰め込むこものは何もない。」と燃えている。今大会の予選プールの組み合わせが決まった段階で、準決勝でニュージーランドとあたると想定して、対策を練っていたようだ。

実は、2003年にエディージョーンズがオーストラリア代表を率いていた時も、準決勝でニュージーランドとあたり、この時は見事勝利を手にしている。(決勝でイングランドに敗れて結果は準優勝。)
率いるチームが変わっても、準決勝でニュージーランドとぶつかるのは何かの縁かもしれない。

イングランドのキック戦略

イングランドのプレースタイルは、キック&ラッシュという、キックを蹴って自チームのフォワードを走らせて試合の主導権を握る伝統的なプレースタイルである。これに、エディー流であるボールを継続してプレーを積み重ねていくスタイルを上手く融合させたのが、今のイングランドのスタイル。

ここで以下のデータを見てみる。以下の表は、ここまでの全試合でニュージーランドとイングランドが、キックを用いて前に進んだ距離(キックゲイン)を示す値である。

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ニュージーランドが4試合平均で、キックゲインの値が625.5[m]なのに対して、イングランドは、892.25[m]だ。イングランドはプール戦で一番の対抗馬のフランスと対戦していないため平均の値があがっていることを考慮しても、大きな数値だ。
今大会、ダブル司令塔の役割を担っている、ジョージ・フォード(スタンドオフで先発)と、オーウェン・ファレル(インサイドセンター)のスペースの使い方やキックが、どこまでニュージーランドを揺さぶることができるか楽しみだ。

ゲインライン突破から見る強さ

次が、ニュージーランド。
大会前は少し調子を落としており、世界ランク1位の座も、今年10年ぶりに2位に陥落した。(その後すぐ1位に返り咲いたが。)それもあり、ラグビー評論家やラグビーファンの中で「優勝はオールブラックスで確実だろう」という人は少なかった、皆が「今回の大会は、どこが優勝するかわからない」と言っていたのだ。
しかし、先週行われたアイルランドとの準々決勝はちょっと桁違いの強さであり、筆者も非常に驚いた。たった2ヶ月程度でここまで調子を戻せる、オールブラックスのウィニングカルチャーのようなものを感じてしまった。

そんなニュージーランドのアタックの肝は、どのポジションの選手でもトライをとれることを可能にするオフロードパスだ。このプレーは、日本VSスコットランド戦で稲垣選手が決めた素晴らしいトライで使われたこともあり、この言葉を聞いた人は多いだろう。ここで、「ゲインライン」という単語を使って説明したい。ゲインラインとは、以下の図に示すように、
スクラム・モール・ラックの中央を通って、ゴールラインに平行すると想定される線 である。

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このゲインラインを突破して、陣地を多く獲得するのがラグビーの攻撃のセオリーである。そして、ニュージーランド代表が試合でゲインラインを割った数がすさまじい。以下が、準決勝まで残った4チームのゲインライン突破の数である。

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なんと、平均値は、59.5回。
彼らの得意なオフロードパスと、他チームが真似できない圧倒的なメンバー間の意思疎通。彼らは仲間の位置を確認していなくても、「あいつはきっとここにいる」と思ってオフロードパスをし、実際にそこに仲間選手がいるのだ。これが何回も決まると、イングランドもきつい戦いを強いられる。

イングランドと、ニュージーランド。お互い攻撃に強みがあるが、その内容は異なる2チーム。この死闘、楽しみにしたい。


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