小説「お告げ」



小さな国があった。暑い国であった。
その国は戦争に負けてしまった。勝てるはずもなかったのだ。
物資がなくて、バナナしかなかった。
でも、その国ではバナナは邪悪な精霊が宿るものだと思われていたから、誰もバナナを食べなかった。身につけもしなかったし、だからみんな裸で暮らしていた。
若者ナブタは飢えていた。親兄弟も飢え死にした。
ナブタは運を天に任せ、バナナを食べようとした。見つかったら死罪だし、死ぬよりはましだとバナナを食べようとしたその時、神のお告げを聞いた。
バナナを食うと死ぬぞ!
ナブタは死んだ。バナナを食ったからだ。

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