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「ありがとう」と「ごめんね」を使おう

毎年この時期になると、子ども向けの講座で「ありがとう」「ごめんね」を伝え合うワークを実施する機会が増えます。

年度の振り返りというだけでなく、自分の行動と内面をつなげ、それをことばで表現する機会を作ってほしいからです。子どもに限らず大人もこの2つの言葉を誰かに伝えてみると、意外と簡単でないことに気づきます。

家庭では、家族同士が互いにネタを探して伝え合ってみてください。
会社組織では、役職を越えて職員同士が個人として伝え合ってください。
学校でも、先生がまず子どもたちに向かってこの2つの言葉を伝えてあげてください。その後に子どもたち同士で伝え合う場をつくりましょう。
(※本来であれば、校長や教頭から教職員へ、そして先生から子どもへ、子どもから親へ、親から学校へ、という流れができると理想なのですが!)

ネタはこじつけになってしまっても構いません。節目に気持ちを伝え合うことを習慣化する目的で気軽に実施してみてください。

最近、いくつかの会場で実施したときの例を紹介します。
(いずれも小学校低学年、その親、教員など)
・お母さんへ「この前あばれてごめんなさい、もうあばれないようにする」
・お母さんへ「ゲームをほしがって困らせてごめんね」
・お父さんお母さんへ「もんくを言ってごめんね」
・いもうとへ「この前、○○のおはしをおとしちゃってごめんね」
・お父さんへ「うちで絵をかいてくれてありがとう」
・ママへ「ママの料理がおいしくてありがとう」
・大介さん(筆者)へ「いつも楽しい講座をやってくれてありがとう」
・父から息子へ「車洗うの手伝ってくれたてありがとう」
・父から娘へ「いつも学校へ行ってくれてありがとう」
・母から息子へ「朝、ねぼうしてごめんね」
・母から息子へ「朝のしたくを手伝ってくれてありがとう」
・母から娘へ「2年生を無事過ごしてくれてありがとう」
・母から子どもたちへ「いつも健康でいてくれてありがとう」
・家族みんなへ「いつも私(母)のわがまま聞いてくれてありがとう」

10年ほど前は、子どもたち同士で伝え合う場面が多かったと記憶しています。現在は、友人よりも家族に対して「ありがとう」「ごめんね」を言いたくなる傾向にあるようですね。
学校への訪問講座で実施する際にも家族を対象にコメントしている子が多く見られますが、子どもが親を強く意識し、求めているということかな。

◎取り組む際のヒント
小学生に実施する場合は、最近の場面から考えるよう助言すると取り組みやすいでしょう。
中学生は、振り返る期間に幅を持たせましょう。先に、終了した行事などを皆で振り返る時間を取り、その後で個々の話題に取り組めばイイ場面を思い出す助けになるでしょう。
高校生には、自分の立てた目標や進路、部活動の場面などと絡めて考えてもらうと良いでしょう。単に「○○してくれてありがとう」だけでなく、「おかげで○○の気持ちになれた」「おかげさまで○○がうまくいきました」などつなげるよう促し、厚みのある文章を引き出しましょう。

さて、私自身はどうでしょうか。

「ごめんね」については、たくさんあります。特にこの一年は、お断りする仕事がいくつも生じてしまい、悪いことをしたなという思いがあります。
そんな皆さんには、「うまく対応できなくてごめんね。でも頼ってくれてありがとうね。」と伝えたい。

「ありがとう」については、私を頼ってくれる人に向けて使うことが多いです。ダイジョブに相談に来る人や、講座を受講してくれる人たち・・・。
「僕に相談してくれて、頼ってくれて、ありがとね。」「講座を楽しんでくれてありがとう、学んでくれてありがとう。」と。
私の仕事は一般のサービス業とは異なり、ご利用ありがとうございます、なんて言ったことはありません。

見直してみよう
学校の先生や、医療や福祉関係の先生方、その他サービス業の関係者のみなさんは、「頼ってくれてありがとう」と言ったことはありますか?
学校で先生からありがとうと言われても・・・。
受診先で、「おだいじに」の代わりにありがとうと言われても・・・。
ありがとうというフレーズが似合わない業界でも、しっくりくる「ありがとう」の言い方はないものでしょうか。
共通する意味として、「頼ってくれて」ということばになりませんか?

もしこの言葉が上手く言えたら、相手との関係において何か大きな成果を生み出すかもしれませんよ!

家庭では、意味もなく家族のご機嫌取りに「ありがとう」を使ってしまい、「何が?」と冷たく返された、と嘆いた人を何人も知っています。
ごめんねもそうですが、思ってもみないことを簡単に言わないことです。
ただのあいさつとしてのフレーズに終わらないよう、毎回、意味を考えながら言うべきかもしれません。照れくさいけれど、伝えたい、今しかない、という覚悟と勇気で、気持ちをのせて・・・。

人それぞれ使うタイミングや込める意味も異なることば。
上手に使えば、まるで魔法のようにリズムと優しさがのっかり、人とのやりとりがスムーズに進むかもしれません。

子どもに「感謝しなさい」「謝りなさい」などと言う必要はありません。
大人がきちんと使っていれば、子どもは使い方を自然に吸収するでしょう。

「ありがとう」「ごめんね」は、まほうのことば。
活用法にこだわってみてください。

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