シェア
「具体的」という、即興詩です。
「火星」という即興詩です。
「金曜日」という即興詩です。
「共振」という即興詩です。
珈琲 存在論的な違和感を 受肉した他者としての もう一人のわたしが 珈琲に浮かんでいる 淡い水色の音のない マグカップが 静けさを際立たせては シンクに吸い込まれていく 苦味と酸味と甘み 喉に沁み込んでいく そういえばこの世界も そのような味がする それ その 無意味な 指示代名詞の羅列に この命 指し示されて 未来の葬列に並んでいる カップを空にして 揺蕩う追憶も空にして 深めの呼吸をしては 少し目が覚めた気分になった
ー音速ー 燃え上っていた 薔薇の棘が刺さったまま 土踏まずはすでに 駈け出していた 給水塔に登り 天辺で叫ぶ 叫び慣れていないから 声帯から血が出る 焦がれるように 噛み付くように 動物との境目を 軽々と超えた 音速の残骸の静けさに 心音が跳ねる 椋鳥の羽ばたきに 冷えた珈琲が沸騰する 逆さまになった 地球を抱えて 芝生色の空と 空色の大地 逆さまの十字架を見た きみが不在の神の 留守番をしている 150㎝の天使だとしても