ラルの星 6月1日


ラルは、他の人が見えない物が見える。

ラルが宝物にしているパチンコ玉ぐらいの
小さな銀色の石がそうだ。

昨年の秋、早朝カーニバルでのお店で、
父親に買ってもらった物だ。

見えないにもかかわらず、父親は値段の
付いている透明な物にお金を払い、娘に
プレゼントした。

見えないにもかかわらず、店員も値段を
付け、カーニバルに来ていた父娘にその
透明な石を売り渡した。

ラルは喜び、友達に見せびらかした。
「へー、ラル、それすごい綺麗ー」

見えないにもかかわらず、友達もその
石を大絶賛した。

ラルはその石に『リリー』と名付け、
宝箱におさめている。

今もリリーは宝箱の中でキラキラと
銀色に輝いている。


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