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十三、5月上旬

2021年5月上旬

 土曜の夕方、《いよいよまん防指定地域に入っちゃうね》とのメールをもらう… 我が街にもマンボー・ブーム到来!… ウーッ!… 感染防止協力金ももう第何弾か… マンボーNo.いくつか…。そんな情報もう出てんの?… ネットで探してようやく見つけた… 来週水曜からとな… ふむ…。さっそく来週のレコード・イベントの作戦を練る…。やり方としては2つ… その①… 酒類提供も自粛とのこと… お客さんたちにもマスクしてもらって、アクリル板でセパレートして… 世間の決まりの中で… 世の中の下のディースターンス♪… ノンアルコールで〈営業〉しながらイベントをやる…。その②は… このところもずっとシャッター半分下ろしたまま〈休業中〉という体裁にしちゃってるし… 週末も… そんな感じでコソコソやる…。

 DJも含めて人数が多そうだったり、常連さん以外の人も来るようだったら①かな… 内輪で小さくやるなら②でもいいかな…。で結局… アンダーグラウンドな感じで… スピークイージーでいこうと… だって禁酒法の時代だぜ… オレたちは民衆の歴史主義者だから… 教科書に出てこないような… 正義の歴史主義じゃない… ちょうど100年後に復活だ… 10数年も続いた合衆国修正憲法… 禁酒法だ!… 今回のは〈法〉じゃないみたいだけど… そんなことするとむしろ悪がハビコるぞ… 歴史で経験済み…。自粛を要請する措置ってなんなんだ?… 重点措置と緊急事態宣言との違いは?…  誰にも分からん… 日本国民の誰も明らかにしようともしない… 法だろうが要請だろうが措置だろうがカンケーないってこと… この国では… 〈宣言〉が弱い気がしちゃうのは、平和都市宣言みたいなのが何の効力もなかったからなのか… へっ… こっちはアングラだぜ… スピークイージー宣言だ!…。

 酒類の提供がダメ、ホームパーティーも路上もダメ、持ち込みもダメ… 〈場の提供〉もダメときた… 法で縛れないなら金で… 協力金で… もちろん貰えるお金は貰いますけど… こっちが気にしてんのは医療崩壊で… 医療体制どうなってんだ!… 医療も結局のところ法制で、全く信用なんてできない… 現実なんかより金で… タテ割りで… 目的は長寿なんだか管理されたケンコーなんだか… それとも医療技術の進歩とそのための経済なんだか… 確かに人類のビョーキとの闘いについては大いなる意義はあった… だけど… 何にしたってキレイごとで縛れば縛るほどうまくいかない… その中で頑張ってくれてる医療現場の人たち… 昔はうちにも看護師のお客さんがたくさんいて… 準夜勤があった頃… 酒呑みでタバコ好きの女の子たち… みんな悪のことをよく分かってた… 彼女たちは天使だったな… 看護師さんたちもルールが厳しくなって…。

 こういう時にお酒が矢面に立つってのも面白いもんで… マスクだって結局みんな大人しく着けてんのは… 人嫌いなんだよ… オッサンの臭い息とか… 近寄りたくもない… こっち来んな!… どんなビョーキ持ってるかも分からんぜ… 他人なんて信用してない… 他人の拒否… マスクの時代になって… むしろ堂々と拒否できる… 他人嫌いを隠すこともなく… 大気の汚れ… 浮遊物… 見えない小さなものに対する恐怖… 大気さえ信用してない… 中国から黄砂が飛んでくる!… 何が混じっているか分からん… 花粉なんて今や極悪人…。

 でお酒だ… 酔っ払いが嫌いなんだ… 酒飲みなんて百害あって… 十利ぐらいはあると思うんだけど… いや五利ぐらいかな… お酒なんて怠惰の骨頂… みんな頑張ってんのに… 努力してんのに… 酒飲んでんのか!… 飲んでる場合か!… って努力の証として禁酒を言い渡す… お酒を取り締まれない県には補助金は出しませーん… 国に泣きついてくるなんてオキナワらしくもない… 政権与党の本音… 隠してた嫌悪がうすうす表に出ちまう… 嫌悪嫌悪嫌悪…。嫌悪を取り締まろうとすればその分だけ悪が漏れ出るんだよ… 極悪が… 網の目に引っかからない小さな悪が… こっちはその嫌悪を商売にしてんだ… 〈ちょっとした悪〉を… 怠惰で、酒臭い、人間!… その裏を見てんだよ… 嫌悪すべきは自分だけキレイぶってるような輩の方だ… 大きな悪から逃れたつもりで… 排除したつもりで… 除菌したつもりで… さも努力してんでしょうね… 努力は美徳で… 裏では汚れにマミれて…。

 マスクを強要する根拠があるのか文書開示を請求した人がいるらしいが… 根拠なし!… もちろん医学的にコロナウィルスが存在するかしないか、なんて言ってるわけじゃない… 行政的な根拠が出せない… 笑っちゃうね… 法も作れない… 法なんてそんなもん… 現実に対処するには時間がかかる…。じゃってんで法じゃないもので縛る… 法治国家か!… 無法だ… 無法国家か… そんなの前からそうだ… 知ってるわ!… 法なんて政治家が率先して守らないんだから… 時間差を利用して身辺に利益供与をして… 自分たちで作っといて… 網の目を… 獲物を狙った漁網… すり抜ける小魚… 目に見えにくい悪… 見えない小さな悪… お前はウィルスか!… 抜け道はいくらでもある… アウトローなんだよ… 生きるってことは… で、抜け道を探す… 権力者を見習って… こっちだって網の目をかい潜る… オレたちだって権利ぐらい持ってる… 生きる権利ぐらいは… ウィルスだって生物として生きる権利ぐらいは… お酒を飲む権利があるかは知らんけど…。

 日曜んなって… 何人かが気になって来てくれる… 《マンボーどうすんの?》… 抜け道は… 家でお酒飲むことまでは禁止されてない… 自分の店で自分で勝手に飲むのはオッケーでしょ… 〈提供〉って、〈自分に提供〉っていう解釈もあり得るのか?… 辞義は〈さし出して相手の用に供すること〉… 広辞苑第二版によれば… 相手ね… それにホームパーティーもダメってことは… 友達と集まって飲むのもマズい… となると… スタッフが来て仕事してる… またはそのための会議中… スタッフが勝手に自分で注いで飲んでるのはオッケーだよね… うちの客人たちはみんな何らかのイベントを主宰してくれてて… 忙しい時には手伝ってもくれて… 来客あったら《いらっしゃい!》とか言ってくれて… スタッフみたいなもの… っていうかほとんどスタッフ… 給料は未払い… 売り上げに応じて… いつか払うよ… 売り上げが出たらね… 雇用契約は… 文書ないけど口頭で交わしたってことで…。

 〈スタッフOnly〉… これだ!… ボビー・ブルー・ブランドも歌ってたじゃないか… 80’s南部ソウルの名曲… 入場料は要らない… ブロークンハートだけ持ってくればいい… 悲しみと孤独の仕事のために… 仕事道具はブロークンハートで…。それさえあれば会議もできる… 政治もそうあってほしいもんだね… オレたちは常に会議中… 平時はつまんない世間話も多いけど… むしろ今は… こんな困難な時代には… いつだってみんなそれぞれの困難をテーマにしてる… 大事な話… 現実のヒリヒリした困難をみんな感じて… それを持ち寄って… いつだって大事な話をしてる… 民主主義としては… 僕らは街場の民主主義をやってる… いい時代だ… いい時代になってきたな…。

 《そんなこと言って、カンケーないんでしょ?変わらずフツーにやるんでしょ?》… そういう風に言われると… カンケーないわけじゃあないんですよ!… やはり情勢を気にしながら… ややビビりながら… 〈休業〉のテイでやるのは一緒なんだけど…。最近のアメリカのアジアヘイト… 向こうに住んでる妹がいて… 国際結婚のハーフの甥っ子… こっちからすればアメリカ人に見えるけど… 向こうではアジア人に見られる… 両親は自分たちで選んだことだけど… 子供は自分でそれを選択したわけではなく…  混血であることのメリットもあるかもしれないけど… やはり怖いと言えば怖い… 不安…。 自分で選んだはずのことに対する覚悟と、無垢で守られるべきである者と… 安穏として飲んでる客人たちを前にして… なんかあったときに僕は… 迎え入れてしまったこの客人たちを守れるのだろうかと… 客人は無垢なのか?… それにしたって迎え入れたということは店を管理している自分の責任で… 場を提供してていて… こういう状況で… 今後のマンボー下で… ある意味戦時下… 非常事態下で… 不安… だんだん胸が苦しくなってきて… ドアを閉めに行った…。

 いつも開けっ放しのドアを… 開店以来閉めたことのないドアを… 来るもの拒まずで… 変えたくない部分と変えざるを得ない部分と… でも変わらず同じであることを自動的無意識的に期待されて… まあ期待通りになんてできないんだけど… それを前提にして動く… 受け身の客体としての客人を… 今までどおりに守ることはできない… 共同の主催者として… 〈ちょっとした悪〉をやっている共犯者になってもらわなきゃならない… 《そんなつもりじゃなかった》とか言われるような人は味方にできない… 守れない…。他所のお店の噂… 酒屋の配達から店の営業状況が伝わるとか… 自分も他所で噂されているかもしれない… 《みんな他所でうちの話しないでね!》… ケータイの電話番号を交換したりして… 顧客の管理なんてしてなかったから… 《連絡してから来てね》とか伝えて…。みんな帰って… 胸の痛みがしばらく治らなかった… オレも小心者で… ビビっちゃってて…。

 〈優先順位〉を考える… 家でひとりで缶ビールを飲むより… ちゃんと洗浄された生ビールを飲みたい… ノンアルコールでもお店で飲みたいか… 家かお店か… 一人か複数か… お酒かノンアルか… その二極対立ではなく… お酒を飲みながら誰かと話す、という第三軸がある… これは弁証法なのか?… お酒の否定から始まる弁証法… お酒という合法ドラッグを処方しながら/されながら話すということ… これはカウンセリングなのか?…。イベントを催してDJすることの優先順位は?… 多くの人数を集めることなのか… 少なくても… 一人でもいいのか?… 私の意見としての優先順位は… 少ない人数でもやりたいことを… やれる範囲でやる… そういうことだと思ってる… 以前から…。この時代の… この情勢の中での優先順位を考えたときに、政治や常識やフツーであることは… それは無視できない… それらを考慮に入れながら…  気にしながら参考にしながら… 自分がどのように処していくかのモノサシになる… それに対する対抗… それに対する少数派のやり方を探っていく…。戦わない… いざという時には戦わなきゃならないかもしれないけど… できるだけ戦いを避ける… 車に轢かれないように道路を歩く… 轢かれたら運転手が悪いんだろうが… 怪我をするだけ時間の無駄… ケーサツ沙汰になるだけ… 労力… 命の無駄だ…。

 戦いたいヤツはルールや法律を盾にして戦えばよい… しかしそのような戦い方は決して正義ではない… そのような戦い方をして無惨に敗れていった先人たちがどれだけいるか!… それを美化するしかなかったのだけど… 後世の受け手としては… でもそんな美化を自動的に美意識にしてしまってはダメだ!… 逃げ方を… 今の時代の逃げ方を考えなきゃいけない… もし戦わなきゃならなくなったら… 今の時代の戦い方をしている人たちに習わなきゃいけないから… この時代に勝ち目のない戦いをしている人たちにリスペクト… それは決して無駄じゃない!… 逃げ方と戦い方と、それらはお互いにセットで… どちらか得意な方をやるしかない… そこで内ゲバなんてしてはいけない!… 優先順位をもう一度考えろ!… マルチタスクをシンプルタスクにして…。

 ビビりながら… 虚勢を張らず… ヤンキーも真面目も… 保守か左翼か… 愛国も地元愛も… 正義もルール主義も… 同じ戦いをしてるはずなんだけど… 同じ罠にハマっていく… 考えろ!… 落ち着いて!… 相手はルールでも法律でもない… 正義ですらない!… 相手は悪だ… 世界はそもそも悪が基準で… だけど悪は我々自分の中にもいて… 悪は友で… 悪を駆逐してはいけない… 正義を標榜しているヤツらの悪が… 悪を隠そうとしている正義が…。もしかしたら悪をも受け入れてる自分たちもいけないのかもしれない… 70年代ぐらいまでの時代劇みたい… 探偵ドラマも… 悪を描けた頃の… テレビにヤラれた… 庶民を叩くわな… これは内ゲバ… 内ゲバを避けようとして外角を狙ったんだけど結局インサイドの打ちやすいコースに入ってしまった、失投みたいな内ゲバなんだ…。

 数々の酒場の選択肢を持っていた飲み人たちよ… しばしの別れ!… 酒場の無垢の自由さは失われたのだ… 昭和の無垢な酒場は… あの頃は良かったね… 真っ直ぐストレートで勝負できる時代ではもうない… 変化球を含めた選択肢の多さを取ってきた、受け身としての自由さ… 打てるフリしてあえて凡打… 酔い人としてのゲリラ的な戦い方… 勝たない… けど負けないやり方…。その中で〈ひとつ〉でも共犯者になれる店を持つこと… あるいは場… 勝負とは同じルールで戦える共犯者… スポーツの勝ち負けも、戦争の勝ち負けも…。選択肢の多さよりもその〈ひとつ〉が価値を持ちうる… 勝ちでも負けでも… ストレートでも変化球でも…。多くの選択肢は、自分の選択眼を鍛えるためであったのか… それとも手段を多く持つということに価値を置いたのか… 多いことのメリット/デメリット… リスクヘッヂ… 幅は広がる… 客観に逃げられる… 幅が広いことで自分の軸を感じられる気がして…。

 しかし古き良き無垢さなど… 昭和平成などいよいよ無効… いい時代の先達たちの専売特許もそろそろ無効… 逆に選択肢が少ない状況になると… 自分の軸の同定が取れなくなる… 自分のために〈多さ〉を利用した… 〈多さ〉のおかげで逃げていられた… その〈多さ〉がなくなったとき… どうする?…。もう一度メリットを見ればいい… 優先順位を… 自分にとっての… それは保守なのか?… それとも極左なのか… どっちでもないアナーキズムか… それともそんなイデオロギーなんかではなく… 自分にとっての既成概念でもなく… 流動的… 決まってない… もう一度流動的に… 真ん中あたりに… 自分を揺らがせて… どちらからもやや真ん中を目指して… でも真ん中なんてなくて… 真ん中からちょっとズレて… ズレるぐらいがちょうどいい… ズレるよねだいたい…。

 嘆くな!… メリットはまだある… 胸の痛みが… 痛みは残る… 原因が去っても… その痛みによって次の対処が生まれる… ホントのことを言うな!… しかし嘘をついてはいけない!… お酒なんて〈提供〉してない… アルコール検出されたとしても家で飲んできたんじゃね…。庶民が嘘を良しとしてこなかったことを政治権力は利用したんだ… 庶民のちょっとした〈義〉を利用して… その〈義〉がむしろ庶民を縛ってて… 確かに〈義〉を使ってこの列島社会はなんとかこの千年ぐらいやってきたわけだけど… 権力はそれを利用する… 真面目なヤツらはその縛りに加担してしまうんだ… 無意識に… 無考慮に… 太平洋戦争後もそうだ… テンノーを生殺しにして… 日本国民の忠義年功序列をうまく利用した… まんまとやられた… 第二次ベビーブーマーの自分なんかも… その二次障害で… スポ根とかにハマって… センセーに殴られて… 軍国主義かよ… 被害者などと言うつもりはない… 進んでやったんだから… 良かれと思って…。

 バブルとかもよく分かんなかった… その頃まだ子供で… それが当たり前だったから… 後悔なんてしようがない… だけど時間がかかった… 気づくまでに… やっと40数年かかって… コロナは福音かも… 現実の欺瞞に… ようやく気づくことができるようになった… 教育ってのは時間がかかる…。子供のことを想うなら… この現実の社会に生きる子供たち… 嘘のつける子供に育てなきゃなんない!… 嘘を言えるためには本当のことを知らなければならない… 本当のことが分からなければ嘘に気づけない… 本当のことって何なのか… そんなこと言える大人がいるのか!… クソッ… 大人になったって分からねえんだよ!… 大したこと言ったヤツなんて誰もいないんだ… 文学者だってロックヒーローだって哲学者だって… 科学者も政治家もゲージュツカも… 宗教家も… キレイなところしか… 表層しか見てもらえない… 仏教のエッセンスぐらいは… 本当のことには悪が含まれてんだよ… 〈ちょっとした悪〉が… 人が生きるってことには…。

 でも嘆くな!… いや嘆いてもいいんだけど… まだどっかに逃げ道はある… 抜け道は… それを探してくんだ… 僕らは… まあ言っとくと… この店にある… ちょっとした抜け道が… ここに来てる人たちは… 僕の客人たちは… 分かってる… そう言っとこう… 少数精鋭だから… まあメンバーズオンリーだから…。悪いことしてるとまでは言わない… そんなに悪人ではない… 〈ちょっとした悪〉いことをしてるだけ… 僕ら〈ダメ男〉として… ダメ人間とまでは言ってない… ちょっとしたダメさを持ち寄って… それ以上の… それ以下の?… 悪を制御する… 悪をもって悪を制す… 〈ちょっとした悪〉を自らの中に認めないと… 排除したら… 切り捨てたら心が病むんだ… なぜなら心には悪が含まれるから… 悪を排除したつもりで人間の持っている善のようなものまで一緒に切り捨ててしまう… 戦争も差別も…。

 悪にも優先順位があるんだ… それを間違えちゃいけない… 何でも除菌して… 集団ワクチンで悪を切り捨てた気になって… まあそれも悪への対処… 現実的には仕方ない… ちょっとした毒を体内に取り込んで… とっくに毒にマミれてるさ… 現代人など… 悪にマミれ切って… 悪の中でどうやって生きていけばいいのか… この場に及んでキレイごとの方を選ぶのか… 悪とキレイごとの間で… その二元論の間で… その真ん中あたりを目指す… ど真ん中のストレートがシュート回転… っていうか速い球なんか投げられなくて… 山なり… 打たれたり打ち取れたり… 全然真っ直ぐじゃない… ストライクさえ入らない… 手元が酔っ払っちまって… 悪の含まれるキレイごとと、キレイごとに潜む悪と… それらが混濁した真ん中あたりを目がけて… コントロールが効かない… 荒れ球… 勝負にもなんねえな… ってか勝負なんかしたくないし… ケンカできないような相手とは…。

 お酒という悪… ちょっとした善… キレイに飲めたり汚く酔っ払っちゃったり… お酒ってのは善悪の含まれるメディア… 媒介… 〈メディア〉の意味はまさに中間性… お酒を取り締まるということはメディアの取り締まりなんだ… 中間性を捨てたメディアなど特に… 取り締まれるものなら取り締まってみろ!… いくらだって逃れてしまうことができる… 禁酒法の歴史を見れば… 復活する… ウィルスも… パンデミックだって治まったとしても再び… だって中間性だから… 中道だから…。どうしたって中間性は… 縄文的な… 古代の人類の子孫として埋め込まれてるんだ… その中間性が人類を司ってきたんだから…。だから媒介の場としての酒場は… 中間性をとってる以上は… 商業主義の二元論にやられ切らない以上は… その以下か… マンボーぐらいじゃ無くならない…。

 ペレス・プラードのマンボ・ブームもいつか終わる… でもそのマンボは形を変えて… アメリカのロックンロールやファンクにも繋がって… 今聴くとロックでポップなんだよ…  そうして生き永らえる… マンボ・ウィルスが… ちゃんと聴けば分かる… マンボがアメリカのブラック・ミュージックに与えた影響が… 日本の歌謡曲にも…。私の手元には”In Japan”と名のついたアルバムが2種類あって… 二度目の来日の1960年ライブ盤では「さくらさくら」や「浜千鳥」を… もう一枚は全曲歌謡曲のマンボ・カバー… 軟弱な商業ラテンとの向きもあるかもしれないが… ムード・インストの一線を超えた面白いマンボ・アレンジになっていて… 昭和歌謡に含まれているちょっとしたラテン性をデフォルメ… 発症させてて… 要するに… マンボ・ウィルスに感染させてるんだ… マンボの適応力… いや感染力…。

 僕らもウィルスみたいなもんで… だいぶ攻撃性の弱いウィルスだけど… そのうち消えるさ… 止めたいやつは辞めちまえ… どうぞお好きに!… ちょっと酒場が減ってくれた方が今後の商売が楽になるかもしれない… っていうか自分も辞め時を見失ったかも… でも僕が辞めたとしても誰の得にもならない… あまりにも雑草で… 毒にも薬にもならない… お酒だって結局… 取り締まったって…。

<参考音源>
Perez Prado and his Orchestra “Mambo No.5”, “Mambo No.8” (RCA Victor) 1950年頃 、“プラード・イン・ジャパン”(日本ビクター)1960年、“ペレス・プラード・イン・ジャパン“(日本ビクター)1970年頃
Bobby Bland “Members Only” (Malaco) 1985年

大源太ゲン

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