マガジンのカバー画像

晴読雨読

61
晴レノ日モ雨ノ日モ、私ハ本ヲ読ム
運営しているクリエイター

2020年5月の記事一覧

#2 日常を生きる(『ひと』著:小野寺史宜)

コロナの話題が世間を席巻するようになってからもう早いもので1ヶ月以上がたってしまったことになる。緊急事態宣言が発令されて以来、家の外に出ることがなんだか不謹慎なことのようになってしまった。そんな中で、やはり一人暮らしともなると人と関わりをもてないことが寂しく感じる。 とはいえ、人々は今の状況をうまくとらえつつ、ほかの人とのかかわりを持つすべを見出しつつある。その代表的な例が、テレビ会議による飲み会なのだが、どうしてもいまだになれることができない。それはうまく言葉で言い現わ

#1.  あしたが来ること(『昨夜のカレー、明日のパン』著:木皿泉)

どうにも外出規制の結果、家に閉じこもりがちになり、本や映画と向き合う時間がこれまでより増えたことで以前よりも涙脆くなってしまった気がする。 そんな中読んだ本の中の一冊が、木皿泉さんが書かれた『昨夜のカレー、明日のパン』という本。読んでいるうちに、本に書かれたことばがじわじわと自分の中に広がっていく。 木皿泉さん、どうもどこか既視感を覚えるなと思っていたら以前日テレ系でやっていた『野ぶたをプロデュース』というドラマの脚本を書かれていた人らしい。正確には、夫婦で一緒にやっ