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防水+通気対策で腐らない家をつくる ②防水事故の意外な多発地帯

協力:日本住環境株式会社


雨漏りの7割超を占める、軒ゼロ住宅

ご存知でしたか?雨漏りの7割超は、軒の出がない箇所で起こっています。
 

デザイン性の高い軒ゼロ住宅の人気により、軒の出が無い形状が増えていますが、軒の出が少ないために軒裏換気の施工が難しく、対策が不充分なことが多いようです。それにより、高い頻度で雨漏りが発生することに。
 
特に棟(水上側)の納まりが良くないと、強い風雨の際に雨漏りが発生する危険がありますので注意が必要です。

■軒ゼロ住宅の雨漏りチェックポイント

軒ゼロ住宅では、特に棟(水上側)に注意が必要です。
軒裏換気部材の中には水上側には使用できないものもありますので、慎重に検討しましょう。

■軒裏換気が不充分だと結露発生にもつながる

また換気が不充分だと小屋裏の結露発生にも繋がります。

下図のように軒裏換気がないと、室内の熱気や湿気が排出されず、小屋裏に結露が発生してします。

<軒裏換気なし 概念図>

しかし軒裏換気から湿気と熱気を排出することができれば、結露を防ぐことができます。


<軒裏換気あり 概念図>

このように、軒裏換気は軒ゼロ住宅の雨漏りと結露のリスクを左右する非常に重要なポイントです。施工が難しい部分ではありますが、しっかりと対策することが必要です。

保険事故発生部位の約16%を占めるバルコニーの事故 

<住宅保証機構 保険事故発生割合より引用>

あまり気にしていないけど、意外と事故が発生している箇所。
それはバルコニーです。
特に手すり壁のパラペットは間違った施工による事故がおきやすく、注意が必要です。
 
 下図は、パラペットの間違った施工例です。

このような施工をすると、通気対策と漏水対策に不安がある状態となり、事故が発生しやすくなります。

<通気と漏水が不安な状態 概念図>


手すり壁のパラペットは通気と防水の両立が難しい箇所ですが、住宅瑕疵担保責任保険の施工基準では、防水と通気の両立が求められています。

※住宅瑕疵担保責任保険 設計施工基準 (一部抜粋)

第8条 5 手すり壁等は、次の各号による防水措置を施すものとする。
(2)防水紙は、手すり壁等の下端から張り上げ、手すり壁等の上端部で重ね合わせることとする。
(4)上端部に笠木等を釘やビスを用いて固定する場合は、釘又はビス等が防水層を貫通する部分にあらかじめ防水テープやシーリングなどを用い止水措置を施すこと。
(5)外壁を通気構法とした場合のパラペットは、外壁の通気を妨げない形状とすること。


つまり、防水と通気を両立していないと、事故が起こった場合に施工基準を満たしていない、と判断される恐れがあるということです。

また、住宅瑕疵担保責任保険では結露に起因する事故は保証対象外であるため、特に結露を防ぐための通気対策は重要です。
 

これからは、防水と通気を両立した施工を心がけましょう。

<パラペット施工 概念図>

以上、防水事故の意外な多発地帯である、軒ゼロとベランダの手すりパラペットをご紹介しました。


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