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映像作品感想

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映画中心の感想集です
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2023年6月の記事一覧

映画感想「ラブライブ!サンシャイン‼︎The School Idol Movie Over the Rainbow」(Filmarksより)

熱狂的ファンではないもののTVシリーズを全話追った事もあり、劇場に赴いた。 三年生を見送った、Aqoursの残り6人。 だが統廃合される先ではよく思われておらず、さらに卒業旅行中の三年生と連絡が途絶えたと聞かされて…。 やはり今作もメインはライブシーンであり、ファンサービスの趣が強い映画。 相変わらず大切なシーンをすっ飛ばすクセがあるのはもうラブライブ流とでも言うべきか。 新曲は既存の曲になかった試み、遊びが見受けられPV仕立ての映像は彼女たちの魅力に溢れている。 スト

映画感想「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 NEXT SKY」(Filmarksより)

ニジガク一年ぶりの新作アニメ。 最推しのせつ菜、二代目の声を聴いておこうと鑑賞に赴いた。 尺的にもテレビ1話の内容だったが、温かいキャラしかいないニジガクの良さがよく出ていて満足度は高かった。 新キャラアイラの物語と思わせて、ドラマの中心は栞子。真面目で一生懸命なゆえに周囲とのズレを感じてしまうキャラが「変わる」のではなく、そんな自分を受け入れる、というのがこの作品らしい。 短さゆえにアイラとのライブが準備から本番まですっ飛ばされているのが勿体無いし、歩夢との出会いや向こ

映画感想「名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)」(Filmarksより)

遅ればせながら、同僚の薦めで鑑賞。 実はコナン知識は殆ど無く、昨年のONE PIECEに近い状態で映画館に飛び込んだ。 思ったより「アクション物」なんだなという印象で、シンプルな追跡劇、救出劇として楽しむことが出来た。テーマになっているのは昨今のAIをはじめとする技術の発達、それに踊らされてしまう人間の諍いだと感じた。何もかもが便利になり、世界中と繋がる技術。それは素晴らしいものだが悪用のリスクも付きまとい、科学の力で守られなければ生きていけない海の中は人間にとって恐ろし

映画感想「劇場版 はいからさんが通る 後編〜花の東京大ロマン〜」(Filmarksより)

何気に初めて、原作をラストまで映像化した作品だとか。 前編に続き駆け足で、退屈しない代わりに紅緒さんが尻軽に見えてしまう問題点が浮かぶ後編。 思い出すのは激動の時代を生き抜いた女性の生涯を描いた人生ドラマ、風と共に去りぬでありスカーレットと紅緒さんが似ているなという感想。 主軸は恋愛物語だが、緊迫したシーンにギャグを盛り込む持ち味がいかなる時もユーモアを忘れるべからず、という教訓とも受け取れる作品。 40年以上前の作品だが普遍性が高く、王道ゆえに感動的なラストだった。

映画感想「劇場版 はいからさんが通る 前編〜紅緒、花の17歳〜」(Filmarksより)

急遽後編を観に行く事になり、配信で前編を視聴した。 昔のTVアニメを再放送で観ていたこと、原作もかいつまみ読んでいたこと、など話の筋は大方知っていたが、新しく映画化されたのを知らなかった。 前後編で原作を追ってる為に駆け足だが登場人物の心の動きは丁寧に描かれているので雑な印象はない。 物語が初見でも無理なく入っていける点と、70年代ギャグのノリをそのまま現代アニメでやっているのはかえって新鮮。 後編まで観て、改めて評価したい。

映画感想「スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース」(Filmarksより)

スパイダーバースシリーズ2作目、3部作の中間だが、悩めるヒーロー、スパイダーマンの真髄を描く秀作だった。 前作でスパイダーマンとなったマイルスだが、家族との関係が歪になっており、別次元のグウェンも同様に悩んでいた。グウェンはスパイダーマン達の元締めともいえる次元に誘われるが、マイルスへの想いが平穏を壊してしまう…。 アニメでなければ出来ない表現、アニメでやる意義を存分に見せつけながら、物語はシンプルに進んでいく。今なら実写でも可能だろうが、よりぶっ飛んでいる。イレギュラー

映画感想「スパイダーマン3」(Filmarksより)

ライミ版最終作、前作に続けて鑑賞。 二つの顔を使い分け充実の日々を送るピーターだが、友人ハリーとの関係に亀裂が入ったまま。 その頃、叔父・ベンを殺害した男が脱獄し人に非る者へと変貌を遂げていた…。 爽快なアクション物ではあるが、「復讐心」というテーマに沿ったヒューマンドラマであると感じた。「悪意」が身を滅ぼすという描写に重ね、心のコントロールがいかに難しいかを訴えている。 前作でもスパイダーマンを捨てたピーターの変貌が見所だったが今回は真逆の変わりよう。 ここまで揺れる主

映画感想「スパイダーマン2」(Filmarksより)

約二年前の鑑賞記録より。 スパイダーマンの活躍と大学生としての日常が両立できず苦悩するピーターが、己の生き方を問いかけていく物語。 ヒーロー物として実にオーソドックスでありながらスピーディーで退屈させない展開、アクションの見応えも珠玉のもの。何度車が飛ぶのか。 葛藤する若人ピーターが一度はスパイダーマンを辞めるも、再起するまでの心の流れが実に見事。火災現場で英雄的行為を成すものの、生身での限界を突きつけられ復活を決意する。 ヒロインMJとのすれ違いは上手いが、結局そこに帰

映画感想「スパイダーマン」(Filmarksより)

21年前の映画だが、ヒーロー映画としてこれほどの完成度のものはこの後もないのでは、という作品だった。 まず超人的な力が必ずしも幸福に繋がる訳ではない事、目の前の綻びを看過する事で不幸に至る偶然の恐ろしさ、人間関係が崩れて行く無情といったドラマが矢継ぎ早に描かれる。 その中でピーターが人々を救い続け、伯父の言葉を胸に人々の支持を得て最後の戦いに赴く。 ずっと恋焦がれていた彼女の心を射止めるものの、同時に友人を失った悲哀から単純に愛を打ち明けられないラスト、これがヒーローのリア

映画感想「映画 Yes!プリキュア5GoGo!お菓子の国のハッピーバースデイ♪」(Filmarksより)

TV版を完走したので鑑賞。 のぞみの誕生パーティーにチョコラという少女が乱入し、追ってきたブンビーといつものホシイナー戦。その後お礼にと招かれたデザート王国は全てがお菓子で作られた、夢のような国だったが…。 前作「鏡の国」はTVシリーズ未見で観てしまったが今回は完走後。キャラをよく把握した上での鑑賞でこの映画がツボを押さえていることをハッキリ認識出来た。 この「5」は、主役5人の結束力と夢を諦めない、というメッセージを100話近いTV版で訴え続けており、堕ちた仲間が絆で救わ

映画感想「竜とそばかすの姫」(Filmarksより)

初日初回鑑賞。 細田守作品はサマーウォーズから欠かさず劇場で観ているが、前作があんまりだったので期待値は低めだった。 仮想世界「U」を舞台に、人気の有名人となったベルと悪名で有名な竜が出会い、それが現実世界とリンクしていく物語。 感想としてはこれまでの細田作品とディズニー映画の要素を混ぜたセルフパロディに近い内容。 ネット社会の問題点と利点を描き、最終的には人を結びつける奇跡を映像美と歌で描く。 竜の正体のミスリードの為だけにいるようなしのぶくんや、ルカちゃんなどサブキャ

映画感想「劇場版 美少女戦士セーラームーンCosmos 前編」(Filmarksより)

30年来のファンとして、鑑賞。 2014年から始まった21世紀版が遂に最終章に入った。 原作も読んではいたが、後編に繋ぐ引きにする為のあまりにも駆け足で飛び飛びな展開、筋こそシンプルだが状況を整理するのに頭が忙しかった。これまでも何度も地球の危機を救って来たセーラームーンだが、最強の敵はレベルが桁違いである。終始重苦しく絶望的な展開に気持ちが沈んでしまうこの前編。「後編がある」と思ってなければ見ていられないような苦難が次々にうさぎに襲いかかる。これは逆説的にキャラの美しさを

映画感想「映画 Yes!プリキュア5 鏡の国のミラクル大冒険!」(Filmarksより)

知人の勧めで鑑賞。 主人公達の「闇版」ともいえるダークプリキュア5との戦い。 個人的に「偽物」であるダーク達がビジュアル的にとても魅力的に見えた。 そしてやはり、主人公ドリームの敵ダークドリームがとても人気であるそうで。 底抜けにポジティブでダークにさえ手を差し伸べるのぞみの魅力。のぞみが起点になり5人全員が反撃に転じ、ダーク達を包み込んでいく、やがて仲間になるダークドリーム。 彼女の最期と、「大好きだから…かな」には目頭が熱くなった。 優しさと強さ。客席との一体感はプリ

映画感想「スパイダーマン:スパイダーバース」(Filmarksより)

来週末の新作に向けて、鑑賞。 実写版映画とは異なる世界観で描かれるスパイダーマンの物語。今流行りのマルチバース物として、違う次元のスパイダーマンシリーズ、とも言うべきヒーロー達が集結する。 スパイダーマン自体はこれまで何度も映画化され、誕生の物語が繰り返し描かれてきたが、これも主人公マイルスが放射能を浴びたクモに噛まれ能力を得て、ヒーローとして成長していうという大筋は同じ。ただ違うのは先に既にスパイダーマンが存在している世界で、彼はそれを継ぐ格好になるところ。近しい存在が