【モチーフ小説】エビフライ・ラプソディー
ある日の夕ご飯にソイツはやってきた。
見るからに頬張ったらサクッと聞こえてきそうな衣。
お絵かきで私がよく使うクレヨンの色だわ。
先っぽにホヨヨンと付いている尾っぽに私の乙女心はイチコロだわ。
そして何よりも、その曲線美。
これだけは、いくらお絵かき上手の私でも真似できないカーブだわね。
しっかりと目に焼き付けておかなくっちゃ。
それにしても動き出しそうなくらいイキイキとしてる。
上に乗せてもらって、すぐにでもキャベツの草原を駆け出したいわ。
やがて現れるブロッコリーの森を超えたらそこはプチトマトの丘。
頂上から眺めるキャベツの草原がとても綺麗だわ。
それからそれから・・・、あっ・・・!
ーーーおっ、食べないなら俺がいただき〜!ーーー
颯爽と空に舞い上がり、兄の口に収まっていくエビフライと私の夢。
何が起こったのか理解するのに時間がかかったわ。
「一番のお気に入りだから最後に食べようと思っていたのに!」
レストラン中に響き渡る怒号で、お返しに兄のお気に入りを横取りする私。
ーーーそれ苦手で残したんだよ〜、食べてくれてありがとうな!ーーー
どうして感謝されなくちゃならないのよ!
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