感想

やっぱり宮崎駿はすごい格が違う。
ネタバレを見ないで観たほうがいいです絶対。

ネタバレ
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あらすじはマヒトが火事で母親を亡くして引っ越し来るも、新しい母親としての叔母のナツコをどうにも受け入れられないまま奇妙なアオサギにそそのかされ屋敷の別館の謎を追っていくという感じですが

まず序盤の火事の作画がものすごい。油絵を動かしたような感じが世界の歪みと焦りを表現しているようで見入ります。フリクリプログレでも似たような表現がありましたがより精細で効果的に感じます。
ちょくちょく主観視点のカットが入ったのもジブリっぽくない表現で新鮮でした。

その後は引っ越しからの屋敷パートで流石のリアリティの高い作画ですが、弓を作ってからキリコさんと一緒に別館に行きアオサギを射ったあとからそれまでの得体のしれないホラーな雰囲気から一転。

謎の空間に落ちて一気にファンタジックな世界観になります。
ストーンヘッジみたいなので冥界か?と思いきやペリカンだのコダマみたいなの一緒に落ちたキリコさんが若くなってたり夢なのか異世界なのか判断できません。
それまでのリアリティの高い作劇やタイトルから風立ちぬのようなドラマかと思わされたのがすごく効いていてすごい。

個人的にインコの家に入れられ案内されますがなぜか皿を持っているカットから後ろ手でナイフと包丁を持っているカットで食われると気づき一気にピンチになるところが面白かったです。アニメがうまい。

その後ヒミに助けられますがここのパンを食べるシーンでこれは宮崎版不思議の国のアリスだ!と気づきました。
この前提があるかないかだけで初見の感じ方が全く違うと思ったのでとにかくネタバレ無しで見た方が良いと思いました。

そしてナツコと再開し母親として受け入れますがここは凄みがあり鳥肌ものでした。
ヒミとの間の幕間が現実と物語の境を表現していると思われます。

その後大おじいさまから石を継いでくれないかと言われますがこれは意思でありキャラクターや背景など世界を構築するものすべてだと思いました。

ここからは解釈でラストでヒミとは別の扉からそれぞれ出ていきますが、これは亡くなった母親はヒミとして別の世界で生きているのだということで
つまりストーリーとしてはマヒトが物語を通じてトラウマを克服する話です。

翻って、物語を通じて現実と向き合うというテーマが『君たちはどう生きるか』というタイトルの答えだと感じました。

宮崎駿の石を持って帰ってくれる人が一人でも多くいてくれることを願います。


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