シティボーイズ

こんばんは。

ダダ・センプチータという劇団の主宰をしております吉田有希と申します。

今日はシティボーイズについて書いていこうと思います。

おそらく僕がシティボーイズ的なるものに初めて触れたのは、松本人志の「寸止め海峡」というコントライブのビデオ映像だったと思います。

そのコントライブで脚本を担当していた三木聡さんという方のコントを観たのがシティボーイズ的なるものに初めて触れた瞬間でした。

三木聡さんは現在では映画監督の肩書きが主な方でして、シティボーイズの脚本と演出をある時期になされていた方でした。

件の寸止め海峡では「ランジェリーヤクザの男」というコントを書かれていて、とある劇団員の男が全裸にランジェリー姿のヤクザに絡まれるというコントを書かれていました。

その頭ひとつ抜けたナンセンスさ、そして設定のセンスの良さを今でも覚えております。

その後、ダウンタウンの、おそらく「ダウンタウン汁」という番組だったんでしょうか、それにシティボーイズのきたろうさんや大竹まことさんが出演しているのを観て、シティボーイズの存在を初めて認識しました。

当時、小学生だった僕は、一つ上の上級生にいじめられていて、気分が鬱屈としていたのですが、そんな時、レンタルビデオ屋で借りたダウンタウンの漫才やコントのビデオが面白く、それを心の支えに自らの命を絶たずに今まで生きていたところがありまして、そんな憧れの存在、ダウンタウンの松ちゃんが、若手時代よく観に行っていたと噂されていたシティボーイズのコントライブを、見ずして死ねるかという思いで、レコード屋でレコードを漁る人々のごとく、シティボーイズのコントライブのビデオを見漁っていたのでした。

それが大学生くらい。

当時の僕にとっては少し大人で、笑っていいのかどうなのか、ただ、「これは面白い」と確信めいたものを謎に感じつつ観ていたのでありました。

ビデオの中のシティボーイズは猟奇殺人鬼の疑いがかけられた男の家に「出て行ってくれ』と頼みに行く同じ団地の自治会のおじさん達のコントや、リストラにあったサラリーマン達が公園で「漂流商事」という架空の会社を作り仕事らしき何かをする不条理コントなど、かなり尖っていて演劇的なコントを演じていました。

そのコントたちは不条理で、どこかキュートで、だけどどこまでもおしゃれで、気取っていて、セクシーで都会的で、僕はそんなシティボーイズのコントに魅了されていました。

大学生の時は九州の福岡に住んでいたので生でシティボーイズライブを観ることが出来ず、昔、シティボーイズライブの前進となる、ラジカルガジベリビンバシステムで脚本と演出を担当されていた宮沢章夫さんのエッセイやコント台本の本を読むことで「生で見たい」という心のモヤモヤを消費していましたが、大学を卒業して上京してからは、シティボーイズライブに足繁く通っていました。

「西瓜割の棒、あなたちの春に、桜の下で始める準備を」や「燃えるゴミ」など、伝説のライブを目にして感動で涙を流しながら笑っていたのを覚えています。

特に「西瓜割の棒〜」はとにかく都会的でかっこよかった。

スーツ姿の男達が現れたかと思ったら「俺、義足なんだ」とひとりごちる。

そこから展開される不条理コントに、「かっこよー」と心躍らせていたのを覚えています。

さらにその身体不全が、当時の原発事故を連想させるところに持っていくところが憎いなーというか、当時の社会批判が根底に流れたかっこいい作りのコントだなと感じたのを覚えています。

そのライブも、それまで駐禁を切る緑のおじさんだった人が、急にバーで店主に隠語を言い、違法ドラッグを注文してキマるくだりがあったり、とにかく面白くてかっこいい作品だったのを覚えております。

「燃えるゴミ」もおもしろかった。

お爺ちゃんたちのくだらない駄弁が発展していき、いつしか「なぜ人は争うのか」という普遍的なテーマへと広がっていくくだりが面白かった。

また最後仲直りするくだりも「お爺ちゃんが喧嘩して仲直りしてる!」というので可愛くて面白かった。

「燃えるゴミ」はシティボーイズがこれまで築いてきたシティボーイズ像を自らまた演じ直す試みがとても面白かったし、ファン心をくすぐる作品だったなと感じたのを覚えています。

何よりグローブ座で、開演後、明転板つきでシティボーイズの3人が舞台に立っていたのが、「これからこの3人、この大勢のお客さんをこれでもかってくらい笑わせるんだ」と思うと、妙に感動して涙ぐんだのを覚えております。

本当にかっこよかった。

シティボーイズについて語り出すといつまで語っても時間が足りないので今日はこの辺で。

そんなシティボーイズに影響を受けた僕が脚本を担当する演劇公演が今年の5月にございます。

内容はもちろん、シティボーイズの影響下にある作品です。

というか90年代の宮沢章夫さんの影響下にある作品だと思っております。

ぜひ見に来ていただけますと嬉しいです。

そんなこんなで公演情報は下記の通りとなります。

ぜひ宜しくお願い致します。

ダダ・センプチータ
「踊れない夜の嘘つき」

日時
2024年5月
4日(土)15:00/19:00
5日(日)15:00/19:00
6日(月)13:30/17:00

会場
カフェムリウイ
(世田谷区祖師谷4-1-22-3F)

チケットご予約フォーム
https://www.quartet-online.net/ticket/yiopgqv

作・演出
吉田有希
(ダダ・センプチータ)

出演
サトモリサトル
梁瀬えみ
(演劇ユニット マグネットホテル)
(以上、ダダ・センプチータ)

尾形悟
(演劇ユニット マグネットホテル)
宇都有里紗
大村早紀

制作協力・当日運営
木村優希
(演劇ユニット「クロ・クロ」)

音響・照明
小林和葉


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