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近所のお婆ちゃんと大戦争

ONE PIECE FILM RED
見てきました🎬

少年漫画にありがちな「仲間」「戦い」的な描写も勿論あったけど1番は「夢のような世界」が正義か悪かっていう近代哲学チックなテーゼを私は感じました。

詳しくはネタバレを含むので是非劇場で見て欲しいんですけど、ウタの願う「全てが手に入る幸せだけの世界」とそれと戦う勢力のもどかしい距離感というか言語化出来ない違和感に襲われました。現実世界に当てはめるとベーシックインカムのような全国民に毎月約10万円を振り込む政策とか、近未来で起こりうる仮想現実の世界、映画でいうところのマトリックス的な。そんなものの善悪すら考えさせられました。

勿論ルフィ、シャンクスかっけぇ!!ってのが1番ですけどね。

皆さんはどうですか?
「不幸な事が全くない夢の中」

「幸せと不幸せの入り混じった現実世界」
どちらの世界に住みますか?



ダダです

家から最寄駅の通り道にお婆ちゃんが1人でやってる古着屋さんがあって、80年代の仕立てが美しい服からミンクファーからすごいものが激安で並ぶホットスポットin十三。
そのお婆ちゃんと結構仲良くていろんな話するんですよ。
こないだズボンの裾上げの依頼をされまして。
完成したズボンを今日持っていったら「欲しいのあったらお店の持って帰りぃ」とのこと。なんて愛だ。

すげぇ綺麗なネクタイがあったのでそちらを頂きました

シルク100%の玉虫色のネクタイと
こちらもシルク100%の馬のモチーフネクタイ
クソお世話になりました!って感じでおうちに持って帰って見てみると

わお。Christian Dior様ではないか。
流石に笑っちゃったよ婆ちゃん。ありがとな。



洋裁学校に通い、カーテン生地の会社で働いて退職し今は古着屋をやってるお婆ちゃん。服の知識は伊達じゃなくて、素材の知識は勿論長いこと生きてきたこともあって70年代の流行とか高田賢三や三宅一生のような日本人ブランドに愛着がある。そんな方です。

そんな方に私が今計画してる学校のコレクションの相談をしたら閉店後のお店で大討論が始まりました。




私はそのブランドで面白い素材を使いたくて
最有力候補の高級麻を使用した“日本”のコレクションを熱弁して、婆さんは店の奥から京都の西陣織やカーテン生地の膨れ織を見せてくれました。

すごく面白くて、これでこんな服が作りたい!と1人で盛り上がっていると
「でもあんた、そんな服誰が着んの?」と刺しに来ました。これが火蓋を切ったのでしょう。

「そりゃ何年も続いてる定番の形、服は誰でも作れるでしょ!でも僕たち若いデザイナーはその固定概念を受け継ぐための存在じゃないんです!まだなかった美しさや便利さを見つける為に挑戦しなきゃ行けないんです!」とかなり大袈裟に。

それでいて本音のままの言葉を返しました。

すると

「今を破壊できるのは年寄りじゃなくて若い子だからそれは頑張りや。でも人が着なきゃ意味がないわよね」と本質的な事を言われました。

「めちゃくちゃ分かります。だからこそ、10年後の人たちが服を楽しんで着れるようにたくさんの発見と発信をしたくて、だから私が見たことない素材とか教えて欲しいんです!」って返しました。改めて思うとカッコつけすぎで恥ずかしいけどまじ本音。

どうやら少しだけ納得してもらったようで
「乗れる相談があればいつでもおいでや」と言ってくれました。親友かよ。

しかしこちらも間違っていたことも多くて。例えば素材の産地やコラボできる企業探しから入っていた私ですが、「まずは作りたい形が先にあるんちゃう?せやないと右往左往してまうで」と言われて確かにぃぃいいいともなりまして。

続けて「チームでやりはるんやったらチームメイトと目指すところを話し合わなあかんのちゃうか」と。やめてくれ。図星すぎて泣けちゃう。



とまぁ大討論を繰り広げたわけですが
家に着いて討論内容を脳内で再放送して気づいたこと。

それは私が服飾を選んだ理由に行き着きまして。

例えばサッカー選手は身体能力が高い事が正解。得点を多く決める選手が正解。
例えば大食い王はラーメンを早く多く食べる事が正解なわけです。

しかしファッションに1つの正解はなくて。時代によって環境によって見る人によって決まるもので、そこに私の存在意義を感じています。

大食い王が逆にラーメンを残す事が評価されることはまず無いとしても、デザイナーがジャケットを解体してカーペットにすることは一つの正解なのかも知れないのですよ。例えが過激で、私自身ジャケットで作ったカーペットに興奮はしませんが正解が一つでは無いということだけ伝わって欲しいです。

だから色んな文化を知り人を知りそのデザイナーなりの正解を提示する事が大切なのです。


長々と持論を展開してしまいましたがどうでしょう?

貴方の人生の貴重な数分を奪えたのであれば幸いです。

ではまた^ ^

ダダ

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