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政治はなにをしてきたか

 ここ何年、あまりにもふざけたことが、大手を振るってまかり通るものだから、ニュースにはほとんど関心を持てなくなっている。なにを見ても、ほんとうなのか、フェイクなのか、どうにもぼんやりしている。にわかに信じがたいことばかりで、すべてが虚のようですらある。

 しかしときどきでてくる若者たちについての記事には、必ず目を通すようにしている。山形の大学に行くようになって、若い人たちと接する機会が増えたというのもある。身近になったとでもいうか、たとえば香港の路上に血のついた顔を警官隊に押し付けられて苦しんでいる、そんな若者に、いま目の前にいる学生の姿を無意識のうちにダブらせてしまう。彼や彼女たちが、武装した戦闘のプロたちに殴られ蹴られてもんどりを打って血を流していたら、ぼくはなにをどう感じるのだろうと、そんなことを思う。

 この「日本財団」による「18歳意識調査」は、あらゆる意味において、政治が犯してきた罪を摘発している。
 政治は、若い人たちに、なにひとつとしてビジョンも志も与えてこなかったという証左がここにある。政治はむしろ怠惰と劣情ばかりを煽り、失望と無為のうちに刹那に拘泥し、未来へのかけ橋を外してきた。
 それがこうして「18歳の意識」に、暗闇を落とすことになっている。彼ら18歳は、青臭い正義感も高い倫理観も、清々しい笑顔も持ち得ず、閉じたまなうらにただ茫とした闇を見ている。

 このことに激しく動揺し、胸を痛め、いまさらとれるはずもない、しかし重い責任のようなものを感じる。どうか政治をつかさどるひとたちにも、この同じ痛みがあらんことをと願う。
 「政治はなにをしてきたか」を、この調査結果をまえに、いまいちど問い直してもらいたい。


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