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2狼ない考察の是非

はじめに

グレーABCには2匹の狼がいる。AとBは2狼ではない。故にCは狼である。すべての仮定が正しいとするのであればこの主張は正しい。論理的な考えである。

しかし、人狼ゲームの界隈ではこの議論に争点があたることがある。ゲーム中ではなくゲームが終わった感想戦でも、だ。

2狼ない考察によって導かれる結論は間違っていない。と、常に私は考えている。
だがしかし、『AとBが2狼ではない。』という仮定に信憑性はない。ここが問題で、議論すべき点ではなかろうか。間違っているとするのであれば2狼ない考察を使うことではなく、その仮定の信憑性にあるのだ。

そんな私の考えを元にしたレギュレーションを紹介する。ぶっちゃけ、ゲームの方が楽しいからそんな論争に時間を費やしている暇はない。いや、ゲームしてるから暇なのか。

2狼無い占い師がいる村

2023年8月25日(金)昼下がりの人狼

配役 7人村
2狼無い占い師1人 霊能者1人 村人3人
人狼 2人
初日占いあり

2狼無い占い師

村人陣営 占い結果白 霊能結果白
夜時間に起きて能力を行使する。
2人選択して、その2人が2狼なのかどうかわかる。

狼と狼を選んだ場合 黒
狼と村を選んだ場合 白
村と村を選んだ場合 白

初日に狼2匹を選んだ場合にかなり狼陣営は勝ちにくそう。しかし、確率は6.7%と、そう高くない。また、昼下がりの人狼というイベントはゲーム数ではなく参加時間で料金が決定する。短めの村を複数重ねる前提での提案となった。

2狼ない考察の信憑性を保証するとどうなるのか楽しみにGMを始めた。

ゲームの展開

配役 狼 もるてん さな
2狼ない占い師 よる
霊能者 ヴォル
村人 てらちん まろ みかちゅう

※実際のプレイヤー名は伏せるがイメージしやすいように人狼ハウスのスタッフから名前を拝借。気分は湯婆婆。


0日目夜

占よる 【もるてん-まろ】 2狼ない

6.7%を引かなくて良かった。

1日目議論開始

占霊がそれぞれ1確する。
陣形の是非は今回は考慮しないのであしからず。

処刑は2狼ない位置の
【もるてん-まろ】を除いた
【さな-みかちゅう-てらちん】から選択する運びに。
前者【もるてん-まろ】をA群
後者【さな-みかちゅう-てらちん】をα群とする。

α群に置かれた3人は自分以外の2人を処刑すれば最終日には辿り着く。自分が村人であることが前提なら同じ群に人狼がいることは明白であるからだ。

その中で三者は互いにいる狼、もしかしたらA群にいるかもしれない狼について議論をする。

1日目 吊さな 噛ヴォル 生存者5名


この夜、狼は霊能襲撃を選択した。占いを襲撃した場合は霊能結果黒。つまりどこかしこも2狼ないことが確定する。一方霊能結果を噛めば残るのは2狼ない占い師。そもそも2狼がいないのだから結果は白しか出ない。この選択には狼としての合理性を感じる。


2日目議論開始

占よる 【もるてん-てらちん】2狼ない
→B群とする。

改めて全ての結果を確認しよう。
A群【もるてん-まろ】
B群【もるてん-てらちん】
完全グレー みかちゅう

ここでみかちゅうがとある主張をする。
「もるてんが人狼だと思う」
この主張は言葉以上に、初日に処刑した さな が人狼だという主張と同義になる。これは占い結果を鑑みれば明らかであろう。

一方もるてんと紐づいている まろ てらちん側の主張に耳を傾けてみる。

まろの場合 
B群の結果から【さな-みかちゅう】と吊りきれば
一人外確実に落ちる。

てらちんの場合 
A群の結果から【さな-みかちゅう】と吊りきれば
一人外確実に落ちる。

なるほど基本的には同じ立場である。
もちろん投票や議論中の行動などの要素もいくつも存在するが、2狼ない考察の信憑性が保証されているので、その他の要素についてはほぼ省略して実況する。

2人が村人であればこの主張は正しい。
そもそもてらちん目線は初日から何も情報は増えていないとも言える。

ここで2狼ない占い師のよるが取った決断は
まろ処刑であった。決断の理由については割愛する。2狼ない考察より信憑性の高いものはないからだ。村人たちはこれにすがっているのだから。

遺言での主張はこう。
まろ、てらちんの主張で合致するはずのみかちゅうを処刑しないのであれば、村全体はみかちゅうを白と評価したに等しい。言い換えればみかちゅうが白前提の処刑をしたということだ。
翌日以降はみかちゅうを処刑しないで欲しい。

なるほど、自分が村人であるという絶対的な情報を持つ人物からすれば、そんな自分より評価された人物と考えるのも妥当であろう。

信じ抜いている2狼ない考察を飛び越えた処刑をしてしまったのだ。

この言及については遺言ではなく議論中にも散見していたが、村全体はそれを飲み込んでいるようだった。みかちゅう自身も当然不満はない。
まろの立場に近かったてらちんも同様の考えを持っていたようだった。

2日目 吊まろ 噛みかちゅう

合理性を越えた襲撃

ここで、狼が動く。
ゲームの性質上、確定の村人陣営と考えられるのは
2狼ない占い師のよるである。にもかかわらず、襲撃はみかちゅうを選択した。

ゲームのルールの上では
【みかちゅう-てらちん-もるてん】の3人で残る方が怪しさを分散できるはずなのに。だ。

しかし、この記事の読者であれば容易に理由は想像できるだろう。
2狼ない占い師のよるは2狼ない位置がわかるだけで、狼がわかるわけではない。

あ!!

言い忘れてましたが、
占い結果【もるてん-てらちん】2狼ない

とまあここまで来たら必要のない情報しか出せないのである。一方、みかちゅうには以下二つの属性が備わっていた。
①『村全体は、みかちゅうは人狼ではないと合意』
②『みかちゅうはもるてんを怪しんでいる』

①を覆すことができない場合は
存在価値は狼を見つけることができない、よる、とまったく変わらない。

このことから よる、みかちゅうのどちらを襲撃しても意味は変わらないと判断できるだろう。

そこに②が付随する。
【みかちゅう-もるてん-てらちん】の3名が揃った時の投票行動はこのように予測できる。

みかちゅう→もるてん
(もるてんを怪しんでいるため)
てらちん→もるてん
(みかちゅうへの投票意思がないため)

この予測が通りであればもるてんはゲームに勝つことはできないのだ。

一方で、昨日の議論でよるは怪しんでいる位置の明示は行わなかった。確かにみかちゅう白の合意は取っていたが、【てらちん-もるてん】に対しての評価は自分が襲撃されると思い込み甘くなっていた。

そこに付け入る隙があったのだ。

実はGMのダーコムはみかちゅう白の合意が取れた時点で記録用ノートにみかちゅう襲撃を予測して記入していた。なんの意味もないがこれくらいのことは何度もプレイヤーを見てきた人狼ハウスのGMともなればお茶の子さいさいである。新宿駅でサイサイがゲリラライブをしてたのも観たことがある。

最終日議論開始

そんなわけで最終日は
【てらちん-もるてん-よる】の最終日

一斉投票によって決まる緊張の瞬間。
3・・・2・・・1・・・
決め役のよるはガキ刑事のようにてらちんを指差す


0!

のタイミングで、もるてん投票。

無事村人陣営が勝利を収めたのである。

※結構脚色しています。投票示唆などのルール違反があったわけではありませんのでお許しください。

まとめ

2狼ない占い師の結果を元に動いた村人たちの動きはいかがだったでしょうか。

2狼ないという情報に疑問を持たなかったことでスムーズな議論ができていたような気がします。

発展してテキトーな2狼ない考察をして期待した結果が出ない場合は、2狼ないの部分に誤りがある。という背理法も使えます。僕は多用してる気がしますがこれについてはまた。


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