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「再現性」とは何か考える

突然ですが、私は大の野球ファンだと自負しています。私は試合がある日はほぼ毎日DAZNでプロ野球を見て、たまに球場に足を運びます。(今シーズンはコロナウイルスの影響でまだ見に行けていませんが、早くプロ野球を現地で観戦したいと考えています。)私が贔屓にしているヤクルトの試合がある日は、試合を見て一喜一憂する毎日を過ごしています。1試合大体3時間ほどなので、貴重な時間を多分に消費してしまいます。他にもやるべきことがあるのは自覚しており、以後やるべきことをやるために自戒を込めて敢えて書かせて頂きます。今回の部員日記は、時間の浪費からの脱却を目指す法学部政治学科2年の和田宙が担当させて頂きます。

 前段落の続きとなりますが、私はプロ野球だけでなく、大学野球や高校野球、社会人野球もネットや現地で観戦し、様々な選手のプレーに魅了されています。先日、明治神宮野球場で行われた大学野球の「慶早戦」を、弊部一年生の北川とともに現地で観戦してきました。(世間一般では早慶戦ですが、もちろん「慶早戦」と呼ばせて頂きます。)

 試合は見事今年のドラフトで目玉の一人と目される最速155km/h左腕、早川隆久投手を擁する早稲田大学を下し、5-3で弊学の慶應が勝利しました。僕の最推しであり、今年のドラフト会議のドラフト1位候補である、慶應の木澤尚文投手の投球を見れることが出来てとても満足しました。特に140km/hほどのカットボールは凄まじいもので、バッターのバットに当たるはずのない軌道のボールを何球も放っていました。私はピッチャーとバッターの駆け引き、勝負を間近に感じられるため、プロアマの試合関係なく内野席で見るようにしています。これは私なりの野球観戦の矜持とも言えます。皆さんが野球観戦をする際、私は内野席をお勧めします!

 さて、ここまでの長い前置きはさておき、私が「再現性」を考えるきっかけは前述の野球と、私がプレーしているソフトテニスです。皆さんは「再現性」についてどれほど考えたことがあるでしょうか?ソフトテニスや野球に限らず、スポーツをする者は皆再現性の重要性について理解していると思います。しかし、私は再現性について少しばかり自分なりに深掘りしてみることにしました。なぜなら私のソフトテニスにおいての課題の一つとして「再現性」が挙げられると考えているからです。そして、「フットワーク」「バックハンド」「レシーブ」といった技術的な課題よりも「再現性」という課題はかなり抽象的であり、課題を解決するためにまず「再現性」を自分なりに定義してみる必要があると考えたのです。

 また野球の話に戻ってしまい申し訳ありませんが、プロ野球には再現性のすごい選手がたくさんいます。例えば、読売巨人軍のエース、菅野智之投手や、大リーグ、シカゴ・カブスのダルビッシュ有投手などはその際たる例だと思います。

菅野智之投手

NumberWeb (最終閲覧日:2020年8月25日)

ダルビッシュ有投手

d menuスポーツ(最終閲覧日:2020年8月25日)

 彼らは、球界の盟主として重圧のかかる巨人のエース、あるいは日本ハム→レンジャーズ→ドジャース→カブスと球団を渡り歩き、環境を変えながらも圧倒的な成績を残し続けています。何故、競争の厳しい世界で超一流の成績を残し続けられているかというとそれは「再現性」に圧倒的に長けているからにほかなりません。彼らのように長く一流の成績を残せる選手は、入れ替わりの激しいプロ野球でも一握りであると言えます。

 ここから「再現性」についての私の考察となるのですが、一口に「再現性」と言っても再現性は多種多様であり、再現性同士が積み重なることで新たな「再現性」が生まれると考えています。例えば菅野投手が一人目の打者であれ、ピンチであれ延々とほぼ同じ軌道、コース、スピードでスライダーを放ることが出来れば、「再現性」が高いと言えるでしょう。

 また、投手成績などの数字は捉える側の考え方や線引きの仕方にもよりますが、毎年一流と呼ばれるような成績を残していれば「再現性」が高いと言えると思います。

 更には、先発投手が試合を作ったとされる6回3失点以内のクオリティースタート(QS)を毎試合コンスタントに達成出来れば、それも「再現性」が高いと言えると思います。最後の例は野球に興味のない方には少々難しいかもしれませんが、簡単に言えば、毎試合コンスタントに成績を残せる選手と、試合ごとに上下の振れ幅が大きく、良し悪しはその日の調子しだい、といった投手、どちらが再現性が高いか、ということです。当然毎回安定した成績を残せる前者の方が再現性に長けていると言えるでしょう。

 このように再現性は多種多様ですが、プロセスとしては、どんな状況でも似たプレー(初球でも100球目でも、ピンチでもそうでなくても自らの実力を遺憾なく発揮でき、似たボールが投げられること)が出来る(再現性①)→安定的なプレー(どんな試合でも一定以上の働きをすること)が出来る(再現性②)→毎年一流の成績が残せる(再現性③)と再現性が積み重なることで、再現性の凄みは増していくものだと考えています。

 また、「再現性」と言っても、それを細分化することで全体的な「再現性」を向上させるために、どの過程の「再現性」を改善させるかも重要であると思います。ソフトテニスで言えば、「再現性」がないのはフォームなのか、試合運びなのか、状況判断なのか、はたまた相手によってプレーの質が変わってしまう部分なのか、など「再現性」のどの部分を改善すれば、プレーが改善されるのかは個々によって異なります。より勝てる選手になるためには、自らの「再現性」のどこが足りないのか自覚する必要があるということです。

 また、「再現性」を考える上で更に避けて通れないのが、「どこまでを再現とし得るか」ということです。この問題についても明確に指標的に解釈しているわけではありませんが、自分なりの答えを持っています。

 例えば皆さんは、円を描く時どのように書くでしょうか?私は中学生の時、学校では数学の授業中コンパスを使って書きなさいと言われていたためコンパスを使っていました。しかし、塾や試験(作図以外)ではフリーハンドで書いていました。無論、限られた試験時間の中で、コンパスよりもフリーハンドの方が時間を使わずに書けるため、また作図ではなく、あくまでも問題を解くために円を書いて情報を書き入れながら解くため、という合理的な理由によるものでした。さて、私はコンパスで書いた円と、フリーハンドで書いた円、「どちらも円であり、どちらも円でない」と考えています。どういうことかと申しますと、フリーハンドで書いた円はいくら上手に書こうと思っても、全く同じ円を書くことはほぼ不可能で、書けば書くほど多様な円が誕生します。またコンパスで書いた円であっても、正確に調べれば完璧な円でないことの方が多いはずです。しかし、私たちはフリーハンドで書いた円であれ、コンパスで書いた円であれ、どれらも「円」として認識しているのです。私は、フリーハンドで円を書いた時に一々「これは円ではない」と考えながら問題を解いたことはありません。あくまでも個人的な解釈ですがフリーハンドで書いた円を「円と認識し得るほどに近似している形」であれば、円と認識する人がほとんどなのではないかと考えています。テレビにも「再現VTR」というものがありますが、実際の状況を「完全に」具現化している、というよりは状況に「出来るだけ寄せていく」というものであると思います。

 これは野球やソフトテニスでも同じことが言えます。野球で例えば「150km/h、外角低め、フォーシーム」が2球連続で投げられたとしましょう。つまり、ほぼ同じコース、球種、スピード、軌道のボールが同じように投げられたとしても、それらは「同一のもの」と言えるのでしょうか?いいえ、私はそう考えません。ほぼ近似し得る球は投げられても、全く同じ球は投げることは二度と投げられないのです。ボールの回転数や回転軸、また試合の状況など、「同一のボール」を再現するためには限りなく多様な条件が付随するのです。これはソフトテニスにおいても同様のことが言えるでしょう。似たような球は打つことは出来ても、全く同じ球は二度と打つことは不可能なのです。条件を限りなく同一にしても結局、偶然誤差が生まれてしまうでしょうし、そもそも同じ状況を再現することは時の流れが一方方向のため不可能と言えると思います。「この一球は唯一無二の一球なり」とよく言われますが、この言葉はバカにできません。

 つまり、何が言いたいかと申し上げますと「再現性」とは「認識し得るほどに近似させる能力」である、ということです。この「出来るだけ寄せていく」能力が高いほど、近似したボールを投げられ、打つことができるのです。そのためには、「再現性」において邪魔と言える、「波」というものを出来るだけ排除しなければなりません。私はこの波は、「ボトムを意識する」ことで改善されると考えています。

 人間調子が良ければ、ある程度のことを遂行できる可能性が高いでしょう。自分自身のトップの状態の時は、波と言っても自らのパフォーマンスに悪影響を及ぼすことは少ないです。しかし、「ボトム」の時、自らの調子の悪い時は、自分の思い通りに物事が運ばないことがほとんどでしょう。円で言えば、ボトムの円はかなり歪な形で、円と認識できるか難しいほどであると言えます。つまり、「ボトムを上げる、自らの最低値を上げる」ことで再現性を向上できると私は考えています。毎回、安定した成績を残せる人はボトムの位置が高いので大崩れしない、ということです。

 ここまで、「再現性」について自分なりの解釈をつらつらと述べてきました。結論として「再現性は再現性の積み重ね」である、「再現性とは認識し得るほどに近似させる能力のことであり、再現性を高めるには自らの最低値を上げる必要がある」というのが私の持論です。私は再現性を高め、安定的に結果を残せる人間になるために、以上の2点を意識しながら日々の練習に励んでいきたいと考えています。また、日々の一日一日を再現性の高いものとするように、毎日必ず取り組むことを決めようと思います。そのため勝手な宣言ですが、私の課題でもある柔軟性改善のため、毎日股関節と肩甲骨のストレッチを1時間以上行うようにします!

 あくまでも自分自身の解釈のため、このnoteを読んで思ったことや感想、意見などを教えて頂けると幸いです。拙い文章ですが、最後までお読み頂きありがとうございました。

P.S. イチロー選手は毎朝カレーを食べているそうです。日常にもルーティンを取り入れることで再現性を高めているのかもしれませんね。

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