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また山に登りたいっ

というわけで、組織検査の結果が出る3月25日までの2週間は普段通りの生活をしながら過ごしました。

右足の腫れに気づいた時から一貫して痛みは感じず(これは本当に幸いでした)
日が経つにつれて少し腫れが落ち着いたようにも感じるので
炎症性(一過性)のリンパ節の腫れなんじゃないかという考えもよぎります。

10万人に3.5人というとてもまれな「がん」に自分が罹っているかもしれない
いうことが、どうもピンと来ません。

「がん」と一言で言っても、できる部位も発生頻度や悪性度もさまざまです。
婦人科(女性)領域で言うと、子宮頚がんや乳がんは決してめずらしくありません。日本では女性のおよそ10人にひとりが乳がんになると言われています。

私自身も実は10年前、30代の頃に乳がんと診断され、手術を受けました。
術後放射線治療を受け、今も継続してホルモン剤(タモキシフェン)を内服しています。

10人に1人の「がん」もあれば、10万人に1人の「がん」もあるーーー

その両方が時間差で自分の身に起こった??
ひょっとして10年前の乳がんの再発??右足だけに??

どちらにしても、私にとっては想像と理解の限界を超えていました。
今思えば、当時の私はまるで不思議な夢の世界にいるようで、
現実として捉えられていなかったかもしれません。
結果が出るまでの2週間は、なるべく「考えない」よう心がけました。

さて、いよいよ3月25日がやってきました。病理の診断が出ました。

結果は『粘液型脂肪肉腫』でした。

右太もも原発の希少がん(肉腫)で、乳がんとは関係なし。
少し専門的な話ですが、このタイプの腫瘍に特異的な異常な遺伝子(融合遺伝子)もしっかり検出されました。

粘液型脂肪肉腫は、悪性軟部腫瘍の中でも比較的放射線治療がよく効き、
また抗がん剤も併用されるケースが多いそうです。
私の場合は、できるだけ周囲の血管や神経などを傷つけず安全に手術で
取り切るため、術前に抗がん剤と放射線治療をして腫瘍サイズの縮小を図った上で
手術をすることになりました。

抗がん剤は3週に1回入院して合計3回、
放射線治療は土日祝日を除く平日に毎日通院して合計25回、約6週間です。
6月頃にオペというスケジュールになりました。
最初の入院は4月1日、抗がん剤(24時間点滴)は4月2日に決まりました。

入院に向けてのさまざまな説明書、同意書などを受け取りました。

竹中先生の詳しい説明が終わって、私は一番気になっていたことを質問しました。

「先生、私また山に登れますか?」

3年ほど前から登山を始め、週末や連休はよく日本各地の山を登っていました。
2月中旬にも、雪山にチャレンジして途中雪に足を取られて転んだり、
ラッセルをしながら9時間かけて無事下山したばかりでした(※冒頭の写真)。
私は山が大好きです。

「ガチ登山はどうかなぁ。まだ何とも言えないけれど、でもまた登れるように最善の治療をしましょう!」

希少がんの専門医(しかも大学の同級生)が、小さな相談にも応じてくれて、
安心して治療を任せられることは本当に心強かったです。

日本整形外科学会認定の希少がん(悪性骨軟部腫瘍)専門医は日本でも200名程度しかおらず、整形外科医1%に満たないそうです。
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/cancernavi/report/202311/581370.html

非常に専門性の高い分野です。
まれながんであるため、一般の方たちが適切な情報にアクセスするのが難しいのが現状だと思います。

希少がんに関する情報提供という点でも、このnote(体験記)が役立てばいいなと願っています。











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