繁盛店のホスピタリティ

25年以上前の大学生だった頃、スナックでバイトをさせてもらっていた。スナックと言っても、お刺身と煮込みがバツグンに美味しいお店で、他にも沢山食べ物のメニューがあって、そこにとても魅力的な様々な年齢と個性の女性が、まぁ、ホステス的な対応もする。ママが本当にやり手というか、面白くてパワフルで、全てのお客さんにちゃんと気配りができる人で、スタッフとの信頼関係もバツグンだった。そんなわけで、魅力的なママがいてチームワークがバッチリとれているそのお店はとても雰囲気がよく、活気があって、結果的に当時からめちゃくちゃ流行っていた。
不思議とお客さんもいい人ばっかりで、バイトの立場としてもとても楽しかった。

コンセプトは、かなり質の高い居酒屋と、家庭的(?)なスナックのハイブリッドという感じだろうか。
でも、そのコンセプトや仕組みがあったとてまぁ真似は出来ないお店だった。
コンセプトや建物など、外側はなんとかなったとしても、人、更にはチームとしてのレベルが高すぎた。

さて。

そんなお店に久々に行ってきた。
子供のサッカークラブの親の懇親会の幹事をやることになったので予約したのね。そして迎えた当日、25年も経つのにママちゃん(年齢不詳)はびっくりするほど変わらず「わー!久しぶりー!ゆーちゃーん!」w
俺がバイトさせてもらっていた頃のスタッフさんも何人かいて、とても嬉しい夜だった。

それで、あらためておっさんになって感じたこと。
やっぱり色々ちゃんとしてた。
お店がオシャレで料理が美味しくてお値段もそんなに高くない、そんなお店はもちろんいいお店なんだけど、このお店ときたら。
なにせママちゃんはじめ、スタッフさんの気遣い、段取り、対応が素晴らしいのである。
例えば飲み物を注文したらストレスを感じる前にちゃんと運んでくれる。
これ、20人くらいの飲み放題の宴会だとかなり難しいことだと思う。
料理も、ちゃんといいタイミングであったかいものが出てくる。
懇親会だから、自己紹介コーナーとか監督の挨拶とか色々あるのだけど、ちゃんと待っててくれたり、邪魔にならない対応をしてくれる。なかなか臨機応変にできないもんだと思うし、個人的にはもはや最近はお店に対してそんなの期待しなくなってるもん。

この辺の、マニュアルっぽくない、人としてのいい塩梅の気遣い。25年前からさらにさらに熟成されている感じがした。
もちろんスタッフさんも25年も前なので半分以上は変わっていたし、コロナの時はとても大変だったらしい。失われた30年、にどっぷりハマった時代だし、繁盛店を続けていくのは簡単なことじゃなかったと思う。
色んな選択肢があったと思うけど、このお店らしさみたいなものがちゃんと残っている。

チェーン店の安心感にだいぶ慣れてしまっていたけども。いや、チェーン店全然好きだけど、ちょっとそればっかりになっちゃっていたなぁと反省した。
たまには少しだけ多くお金払って、ちゃんとしたホスピタリティを味わうのも大事だと思った。忘れかけてたなぁ。

いろんな事に気付かされたり感動したりして、心から安心して会食を楽しめたし、今もちゃんと元気に大繁盛していることがとても嬉しかった。

いつまでも繁盛しててくれますように。