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ウマ娘に出せそうだから出してほしい馬

 『ウマ娘プリティーダービー』は覇権を取るかもしれない。

 競馬とオタ向けコンテンツってJRAは色々コラボとかで頑張ってるけど、実際にはそんなに親和性はないかなと思っていた。たまたま私は競馬歴もするし美少女キャラゲーもいくつかやるから興味はあったけれども、実際みんなそもそも競馬に興味あるのかなとも思ってたし。

 リリースまで3年かかったっていうのもあるし、色々なところからお叱りを受けたなんて話もあったりして、キャラクターの半分以上が90年代に活躍していた馬がモチーフ。大丈夫かなコレ……と思ったら、セルラン1位だわ、もう100万DLだわ、まさかの大爆発ですよ。すごい。

 ゲーム自体はパワプロアプリライクなんだけど、まぁキャラがヌルヌル動く。セリフ多い。かわいい。すごいね、まさに令和のスマホゲーって感じ。パワプロもチマチマ1500人以上を育成してきたわたくし(でもチムランはPFです)、これはハマらないわけないですよねってことで、ここ数日はひたすらトレーナー業に専念しております。本当によくできているので、未プレイの方は是非やってください。是・非・やってください。

 さて、先に述べたようにウマ娘は色々あって結構出せない競走馬が多いそうなんですよね。このあたりどこまで本当かとかわからないですけど、出てない馬の傾向とかを見るとまぁなんか察せられる感じです。90年代の馬が大半になってしまうのも、まぁ吉田家関連とか金子さんとかノースヒルズとかアドマイヤさんを抜いてしまうと、ここ20年くらいの競馬界って成り立たないんだなというのを痛感させられたというか。そしてその中にドラマを持ってる馬も個性豊かな馬もたくさんいるという悲しい話。ステイゴールドとか絶対このコンテンツ向けの馬だよねって競馬知ってる人ならみんな思うだろうし、それこそディープインパクトなんて競馬知らない人でも知ってるからライト層取り込むには最適だっただろうし。今後ウマ娘が無視できない存在感を放ってくれば話は変わってくるのかもしれないですが、当面は難しいのが実情でしょう。

 そこで、じゃあ逆に「(権利的に)ウマ娘に出せそうで今のところ出てきてない馬、かつなんかコンテンツにハマりそうな馬」を独断と偏見でピックアップしました。もちろん思い入れもある好きな馬ばかりです。ウマ娘は遊んでるけど競馬はあまり詳しくない……という人を極力意識して書きました。ウマ娘しか知らない方、ウマ娘に興味のある方、そしてもちろん競馬に興味のある方も是非読んでいただければと思います。

 先に謝ります。コンテンツ自体が好きじゃないという方の気持ちもわかります、挙げた馬の関係者の方で気分を悪くされた方いたらごめんなさい。


(1)テイエムプリキュア

 成績:37戦4勝
 主な勝ち鞍:阪神JF(G1・2005年)、日経新春杯(G2・2009年)

 言わずもがな筆頭ですね、テイエムプリキュア。テイエムオペラオーが出ていることからいずれ絶対出てくるとは思うんですが、むしろヤバいのは名前か。キャラクター的にはファル子(スマートファルコン)のアイドル枠か、それとも少女戦士枠みたいなのか。

 どうしても名前だけでネタ枠にされてしまうんですが、馬自体のドラマ性も凄いんですよ。競馬という血統が超重要視されるスポーツにおいて、まだサンデーサイレンスという超大種牡馬の直子が存在している時代に、父パラダイスクリーク母父ステートリードンという超地味血統にも関わらず2歳時は無敗でG1制覇(なお3着はあのアーモンドアイの母ちゃんになるサンデー直子フサイチパンドラ、後に彼女自身もエリザベス女王杯制覇)。その後長期間の低迷を経て、大逃げ馬と化して大敗を繰り返し、引退レースとして臨んだ日経新春杯。3馬身差の大逃亡劇。いやほんと、「3年間の苦労が報われるぞー!」という実況と合わせて、今見ても涙が出ちゃう。初めて万馬券取った阪神JFからずっと追いかけていたからね。

 そして勝っちゃったもんでまさかの引退撤回、からのまた連敗。「引退にケチつけないほうが良かったのでは……」と思った後のエリザベス女王杯。多分、こんなレースは2度と見ることがないと思う。必見。

 大逃げで1頭逃げ残ることはあるんですよ。ただ2頭は初めて見たよね。勝ったクィーンスプマンテも前走逃げて大敗してたからみんな侮ってたとか、ブエナビスタ・シャラナヤといった馬の末脚を警戒してみんな抑えちゃったとか、リトルアマポーラ道中で悠長に構えすぎだとかね。
 でもそんなのはどうでもよくて、テイエムプリキュアが日経新春杯で引退してなかったらこんなレースは絶対に生まれなかったと思うんです。このレースは笑いましたね。笑いながら泣いた。最高です。

 シナリオとしては新馬→ファン増やす→阪神JF→桜花賞→オークス→地方G3→日経新春杯→エリ女で行けるんじゃないですかね。実装されたら引くまでガチャ回します。多分この馬にはそのくらい勝たせてもらってる。

(2)シーキングザダイヤ

 生涯成績:30戦7勝
 主な勝ち鞍:ニュージーランドT(G2、2004年)、日本テレビ盃(G2、2006年)など、重賞6勝

 ナイスネイチャがアプリ内で3着3着騒いでいますが、この馬が現れた時にはどういうリアクションを取るのか。前人未到のG1・2着9回。史上最強のシルバーコレクターことシーキングザダイヤ。

 アーリントンC・ニュージーランドTと芝の重賞を勝ってきたものの、NHKマイルで負けた後は海外遠征を経て砂の世界へ。その後の活躍は言わずもがななんですが、もう単純に時代が悪かった(なんか次から次へと強いのが出てくるダート黄金時代でしたね)とか、馬自身もあと一歩クビ差とかハナ差とか惜しいのもあって、ちょっと勝負弱かったというか。

 2005年のジャパンカップダートとかもう勝ったんじゃないかと思ったんですけどね。11番人気なのに突っ込んできて、私の馬券は紙屑になり、3連複を当てた友人が飲み会をおごってくれました。「なんで当てたかって? 『カネ・キン・キン』のカネ馬券だよ! ガハハ!」と高笑いしていた奴の顔を私は一生忘れません。なお私は直後の阪神JFで3連複を当ててしまい、飲み会をおごり返す羽目になりました。

 ウマ娘アプリ、ダート馬少ないですよね。ホクトベガとかはいつかいいタイミングで出してくると思うんですが(あまり語れないので書かない)、ウララーとスマートファルコンくらい? オグリとかエルコンはいますが、あの辺はもう芝馬扱いだしなあ。そんなわけで、次もダート馬です。

(3)コパノリッキー

 生涯成績:33戦16勝
 主な勝ち鞍:フェブラリーS(G1、2014・2015年)、東京大賞典(G1、2017年)など、重賞13勝、うちG1/Jpn1 11勝

 シーキングザダイヤがシルバーコレクターなら、コパノリッキーはゴールドコレクターになるんでしょうか。G1最多勝は先日のアーモンドアイが達成した9勝ですが、Jpn1まで合わせると最多勝はこのコパノリッキー。その数なんと11勝。G1とJpn1の違いは説明する気がないのでリンクを飛んでね。

 その勝ち数だけでももちろん十分なのですが、ウマ娘的には話題に事欠かないのがそう、馬主様。馬主様の名前は小林祥晃さん。ご存じありませんか? ですよね。
 世間ではDr.コパと呼ばれております。

 一昔前は有名人の馬は勝てないっていうのが評判だったんですよ……それなのに大魔神はヴのつくG1馬を何頭も所有し、北島三郎はキタサンブラックなんていう超名馬の馬主になり(キタサンブラックはウマ娘化しましたね、ありがとうございます)、そしてコパさんはコパノリッキーですよ。リチャードもいるけど。

 話を戻して、コパノリッキーは最終成績だけを見たらモンスターなんですけど、初めてのG1勝利はそれとは程遠かったんですよ。2014年のフェブラリーSなんですけどね。
 その時の16頭立て16番人気、単勝272.1倍。

 よほどの穴党じゃない限りわかってくれると思うんですけどね、もう単勝100倍超えたあたりで、馬券になるとちゃんと検討するラインから外れちゃうんですよ。戦績見て、前走の着順見て「フーン、まぁないわな」ってなっちゃう。みんなそう思ってるからこんな単勝オッズなんですけど。この馬の場合は春までは確かに強かったけど、骨折して6ヵ月間出てこなくて、そのあとの2戦が全く見ごたえない感じで、さすがに故障でダメになっちゃったかなって感じだったんですが。

 それがまさかの勝利ですよ。単勝272.1倍は伝説のサンドピアリス(単勝430.6倍)に次ぐ歴代2位。サンドピアリスの時は20頭立てだったことを考えると、16頭立てなら胸を張れます。何にかは知らん。

 その後の活躍は言わずもがな。時折連敗して終わったかなと思ったらまた復活するみたいな、浮き沈みはあれど長くトップ戦線を張った名馬でした。引退レースの東京大賞典も圧巻の逃げ切りです。すごい。

 キャラクターはマチカネフクキタルと張る風水キャラに決定です。確定。シナリオとしては新馬→ヒヤシンスS(か伏竜S)→兵庫CS→(骨折イベント)→フェブラリーS→かしわ記念→帝王賞→JBC→東京大賞典かな? 負けた帝王賞は外してチャンピオンズカップ?

(4)トウカイトリック

 生涯成績:63戦9勝
 主な勝ち鞍:阪神大賞典(G2、2010年)、ステイヤーズS(G2、2012年)、ダイヤモンドS(G3、2007年)

 主な勝ち鞍を見た方はお気づきだろうか…ダイヤモンドSが2007年、ステイヤーズSが2012年という、この年月の差に…

 競走馬が競走馬として過ごせる年月は長くありません。2歳あるいは3歳にデビューした馬も、早ければ3歳、多くは5~6歳で引退します。当時圧巻のレコードで歴史上でも最強の中の1頭に挙げられるキングカメハメハは3歳秋に故障で引退し、実働は1年。翌年のダービーを制覇し、社会現象にもなったディープインパクトは4歳冬で引退。その後誕生した三冠馬オルフェーヴルは5歳で引退しましたし、2020年の三冠馬コントレイルも今年限り、4歳での引退が噂されています(というか矢作師が言ってるな)。ウマ娘もゲーム的にはどの馬も4歳で引退という形になりますね。

 競走馬の使命はパフォーマンスを示すことですが、それ以上に大事な使命として血を繋ぐということがあります。ブラッドスポーツとも呼ばれる競馬、そして競走馬は次代にさらに速い馬を生み出すことで未来を繋いでいます。
 そして、レースというのは馬への負荷が大きい。どんなに楽勝なレースだったとしても、500キロ前後もあるその体を時速60kmで走るために、その脚にかかっている負担は大きいのです。
 テンポイント、ライスシャワー、そしてサイレンススズカ。
 レース中に再起不能の怪我を負った馬は、もれなく安楽死処分となり、その時点で次代への血を繋ぐことはできません。シンボリクリスエスやディープインパクト、オルフェーヴルやアーモンドアイの引退レースなどを見てしまうと「まだまだ行ける! レースを見せてくれ!」と思うのですが、人間と違い、ピークを超えたから引退、と必ずしもならない理由は、彼ら・彼女らが次代に未来を繋がなければならないからです。

 前置きが長くなりましたが、そんな世界においてこのトウカイトリック。現役引退はなんと12歳。人間に換算すると44歳(らしいです)。44歳のオッサンと20歳(馬の4歳相当)が一緒に走ってると想像すると、いかに凄いかがわかってもらえると思います。しかも陸上競技で。しかも最後の重賞勝利は10歳のステイヤーズS。

 これはアサカディフィートと並んで最高齢、時期を考えるとほぼ11歳だからもう最高齢でいいんじゃねーかな。なお11歳のステイヤーズSも3着で、その時は乾いた笑いが出た。450kgくらいしかない小さい馬だったから、負荷が小さかったとかそういうのもあるかもしれませんね。晩年は万葉S(3,000m)→ダイヤモンドS(3,400m)→阪神大賞典(3,000m)→天皇賞(春)(3,200m)→アルゼンチン共和国杯(2,500m)→ステイヤーズS(3,600m)という、マラソンレースが黄金ローテでした。

 ぜひこの馬の実装に当たっては、留年とか理由つけて6歳くらいまでのシナリオでやらせてほしい。そして上記の黄金ローテを3周位させてほしい。スタミナ1200を達成できるのはこの馬しかいない。絶対ババァ呼ばわりされるけど……。

 あ、ちなみに父親はエルコンドルパサーです。エルコンの勝利ポーズがオカダ・カズチカのレインメーカーなので、トウカイトリック実装の暁にはぜひ内藤哲也のアブレ・ロス・オホス(↓)をやってほしいな。さすがにブシロードに怒られるかな。

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(5)エアメサイア・ラインクラフトのコンビ

 エアメサイア
 生涯成績:12戦4勝
 主な勝ち鞍:秋華賞(G1、2005年)、ローズS(G2、2005年)
 ラインクラフト
 生涯成績:13戦6勝
 主な勝ち鞍:桜花賞(G1、2005年)、NHKマイルC(G1、2005年)など、
 重賞5勝

 本当はシーザリオも入れてトリオでやりたいんだけど、シーザリオは社台+キャロットという現時点ではほぼ出演NGな組み合わせなので、ここのコンビで。エアグルーヴが出てるからエアメサイアも行けるのでは……は安直かしら。

 2005年は牝馬が華やかな年でした。桜花賞をラインクラフト、オークスをシーザリオ、秋華賞をエアメサイアで分け合った年。シーザリオはオークスを勝った後アメリカンオークスまで勝ってしまい、「ジャパニーズ・スーパースター」になってしまいました。

 この2頭、なんといっても秋華賞がアツいです。素質は早くから評価されていたものの、2頭の後塵を拝してきたエアメサイアが、早々に長距離路線に見切りをつけ、桜花賞→NHKマイルCからの連勝で変則3冠を狙ってきたラインクラフトをローズSで負かした後の再戦。最終的に直線一騎打ちとなり、エアメサイアがクビ差振り落としたところがゴール。日本に残った名牝2頭のマッチレースでした。

 エアメサイアもシーザリオも引退後も名繁殖牝馬として名を馳せました(シーザリオなんて日本のアーバンシーになるんじゃないか)が、ラインクラフトは繁殖に上がる前に急性心不全でこの世を去りました。血がつながっていれば次代でも3頭のマッチレースが見られたかもしれません。

 ウマ娘ではビワハヤヒデ・ナリタタイシン・ウイニングチケットの関係やダイワスカーレットとウオッカ(そしておそらく今後のキタサンブラックとサトノダイヤモンド)など、史実の競走馬同士の関係性を重要視しているように思うので、ぜひここのコンビも出してほしいですね……本当は、シーザリオを加えた三つ巴で……ううう……


 もっと実装してほしい馬はいっぱいいるのですが、とりあえず6頭挙げたところで長くなったのでおしまいにします。
 なんでこんなに書いてるかって? ウマ娘がメンテタイムだからだよ!!

 また長いメンテが入って、その時も熱が続いていればこんな記事を書いていきたいと思います。その際はぜひご拝読よろしくお願いいたします。

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