キモシェアハウス漂流記第三十話
キモシェアハウスに住んで1年。
人間VSコバエの戦争は春夏秋冬関係無く行われていた。
キモシェアハウスに住んですぐ、台所でタバコを吸って煙を吐くときに口を開けたらコバエが人体に入り込んだ。
その日以降休む程では無いが体調を崩した。
見つけては殺し続けるが、次の日には目視では何も変わらない量のコバエが居た。
一時キモシェアハウス内での会議により「共存」を選んだが、フランツ土岐のティーカップのティースプーンにコバエの卵を産み付けられたときに改めてキモすぎるということで再び闘いが始まった。
飯田さんはコバエを殺すスプレーを用意し、木田はめんつゆトラップを用意した。
ある程度は減ったが、ヤツらは仲間の死から学習し、その武器達も2ヶ月もすれば、もはや何の意味も持たなくなった。
三角コーナーが真っ黒になっていて水をぴゃっとかけると、その黒色全てがコバエだったとき俺の心は完全に折れた。
こんなことがあった。出先でカバンからネタ帳を取り出し、広げるとそこからコバエが2匹飛んだ。
周りの人に迷惑をかけ出したら、俺達人間ももう黙ってはいられない。
コバエを駆逐しきる為に一度年始に大掃除をした。
しかし、コバエが消えることは無く、春には俺の布団に大人のゴキブリが入りこむと言う大事件が勃発。
一難去らずにまた一難。
コバエに意識がいききった頃に、よりデカい敵が現れた。
本当に恐ろしいと人間声が出ない。足を這ったゴキブリを窓を開けて追い払った頃にはまだ春とは思えない程の滝のような汗に、皮膚が破ける程心臓の鼓動が早まっていた。
虫と闘ってもキリが無いと悟った俺は心を捨てることを選んだ。
心を捨てれば、虫への嫌悪感も感じない。
あえて台所で横になったりした。
汚い家の特に汚い部分で横になり、自分を汚らわしくすることでコバエやその他の虫のような汚いものへの耐性が付くんじゃないかと。
分かりやすく言うと、セル編でエネルギーのコントロールが難しいからずっとスーパーサイヤ人で生活する悟空と悟飯のようなことだ。
しかしそんな修行を重ねたところで意味の無い出来事が起こってしまった。
ある日の夜飯田さんが台所でタバコを吸っていたとき
「ぎゃぁぁああ!!!」
と、いった断末魔を発した。
俺と木田が台所へ駆けつけると飯田さんはガタガタ震えながらゴミ箱に指を指した。
そこにあったのはコバエの幼虫、ウジ虫のコロニーだった。
飯田さんと俺は戦意喪失。
そんな中木田は闘う漢、何かを守る漢の眼をしていた。
キモシェアハウスを作った創造主は、ここまでいってしまったキモシェアハウスのケツを自分で拭おうとしていたのだ。
そして木田はウジ虫だらけのゴミ箱を持ち上げた…
ここから先は
¥ 300
金で窒息させてくれ。