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2023年8月締め請求書のお手紙

私たちデザインモリコネクションは、陶磁器デザイナー・森正洋さんのデザインした製品の卸売を主な活動としていて、毎月、お取り扱いいただくショップのみなさまへ請求書をお送りしています。
ふと思い立って、2021年9月分から、請求書を発送する際、お手紙を同封するようにしました。その時々に思ったことなどを書いています。何を書いたか保管しておく意味もあり、noteに置いておきます。
請求書をデジタル化した方がいいんだろうけど、その場合、こういうお手紙をどういう形でつけたら良いのか、悩ましいところ。


いつもありがとうございます。
2023年8月末締めの請求書をお送りいたします。

お盆明け、ダースレイダー・プチ鹿島のドキュメンタリー映画「シン・ちむどんどん」の配信をスマートフォンで観つつ、出荷の作業をしました。本当はしっかり観たいところですが、、この映画の場合、音声が聞ければだいたいは内容が分かるので、作業しながらでも観ることができます。気になる部分は戻してしっかり観たりしつつ、最終的には3回くらい観ました。9月10日まで配信で見られるようですし、映画館でも順次公開されるので、よければどうぞ。

ちょっと前に配信で観た「劇場版 センキョナンデス」の続編で、2022年の沖縄県知事選挙をフェス的に面白がり楽しみつつ、沖縄にある米軍基地について、様々な人に話を聞いている様子が映画になっています。最後のあたりに出てくる山城博治さんのお話、ズシンときます。沖縄で起きていることは、沖縄だけの問題・課題ではなくて、私たちの問題・課題なのですね。無知・無関心のうちに誰かの不利益、誰かの人権侵害に荷担してしまっていることを、どう受け止めるか。私たちの「物事の決め方」に問題はないのか。責任の重さにうなだれてしまいますが、、このシーンでは、ダースレイダーさん、プチ鹿島さんもうなだれていて、一緒にうなだれているような気持ちになり、なんだか心強く思いました。私の住む佐賀の「佐賀空港への自衛隊オスプレイ配備」についても、もっと調べてみようと思います。


沖縄は、私の父・小田寛孝(デザインモリコネクション創業者のひとり)がずっと関心を寄せていて、毎年6月には仲間たちと沖縄を訪れたり、沖縄に関する本を集めたりしていました。離島を楽しんだり、沖縄の友人とお酒を飲んだりしながら、本土と沖縄の関係、戦争と沖縄などについても、考えていたようです。私も、高校3年の夏と29歳くらいの時に家族で行き、道の駅から嘉手納基地を見ました。

数年前の消防団の飲み会で、「沖縄はなんかいろいろ言っているけど結局補助金が欲しいんでしょ」と言っている人がいて、どんな情報に基づく意見なんだろうかと思いつつ、何も言い返さなかったことが今でも気にかかっています。いま思えば、「○○は不当に優遇されている!」という(残念ながら私たち人間にはよくある)タイプの感情、もっと言えばヘイト・差別にも繋がりかねない感情だとも考えられます。

次に同じような場面に出会うことがあれば、「沖縄振興特別措置法」第一条にある「沖縄の置かれた特殊な諸事情」ってなんだっけ?と聞いてみることにしようと思います。あるいは、「財政力指数」(地方自治体が行政を実施する上で必要となる標準的な経費に対して、どれくらいの標準的な税収があるかを示すもの)は、佐賀(0.34218)と沖縄(0.36177)で近い値で(2021年データ)、佐賀と沖縄の人口比は1.8倍で沖縄が多いけれど(2020年データ)、国庫支出金と地方交付税は1.6倍しか多くないよね?(2022年データ)と聞いてみても良いかもしれません。

*参考データ(佐賀と沖縄それぞれの県の決算書類より)

・国庫支出金(2022年)
佐賀 1,148億円
沖縄 2,398億円
・地方交付税(2022年)
佐賀 1,642億円
沖縄 2,202億円
・人口(2020年)
佐賀   80.92万
沖縄 145.7万

とはいえ、「不当に自分より優遇されている奴がいる!」という感情は、データや事実を調べたところで、変わらない可能性が高いとは思いますが・・。社会的包摂の課題でもあり、正義や公正の課題でもあり、経済の課題でもあり、すべての人がそれぞれのやり方で自分の人生の満足度(Well-being)を高められるような環境作りの課題であったり、それらいろいろでしょうけれど、悩ましいことです。

2023.8.31
デザインモリコネクション
小田寛一郎

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