6章感想、オマージュ探し③


最初に、今回も配信分のストーリーの流れ全体が、監督生が夢で見ていた部分を中心とした映画のシーンのオマージュになってるんだなって思った。

オルトの世界リセット計画だけど、
ハデスの「宇宙の支配者になる計画」とヘラクレスの初期の望み「普通になりたい」を合わせたような内容だなと思った。

映画ヘラクレスでは、メグがヒーローのヘラクレスを「彼は弱点がない」と評価する。
だが、最終的にヘラクレスの大切な人であるメグ自身が彼の弱点となって破滅へ向かう取引に応じさせてしまう。

ツイステでも、オルトは一貫してイデアを高評価しているし、無敵のケルベロスシステムも作ったイデアはファントムを完璧に管理出来ていて「弱点が無い状態」だった。
更に、実際にイデアはずっと孤独にファントムから世界の秩序を守ってきた影のヒーローだった。
しかし、オルトの兄を思うあまりの行動がイデアを巻き込んでしまい、破滅に向かわせてしまう。 


世界を守ってた筈のヒーローの大切な人が「弱点」になり、悪が支配を強めていく構図になっているのが、映画と同じだなと思った。

星の話
学園でリリアがマレウスに「この上なく美しく並ぶ6つの星」の話をするシーンはヘラクレスの序盤のシーンのオマージュ。

ハデスは、序盤で運命の女神モイラ達により
「今から数えて18年後惑星がこの上なく美しく並ぶ日がくる。それが行動を起こす時だ、凶暴なるタイタン族を解き放つがいい、さすれば全能なるゼウスもついに倒れ、ハデスお前が宇宙の支配者となろう…ただしヘラクレスと戦えば負ける」という予言を受け、邪魔するヘラクレスを排除して宇宙の支配者になる計画を練り始める。
このシーンで映る星が、リリアとマレウスの会話に出てくる一列に並ぶ星と同じ。

この星が一列になったら「行動」が始まる。
ツイステの星は2番目が少しだけずれてて一列になるまで残り時間が少ない事がわかるので、今まさに嘆きの島で「行動」が起こされようとしている…って感じがした。

映画ヘラクレスでは、ハデスがメグを傷つけない事と引き換えに、24時間だけパワーを預けろと迫る。ヘラクレスが受け入れれば「(メグが)自由の身になれて、踊ってキスして皆ハッピーに解散できる」という契約内容だった。
ヘラクレスがパワーを取り上げられ普通の人間になったタイミングで、ハデスはタイタン族を解放して宇宙の支配者になろうと暗躍し始める。
だが、メグ自身がヘラクレスを庇って怪我を負ってしまい、契約が無効になる。このメグの行動はハデスも予想外で、結果、ヘラクレスにパワーが戻る。

中編2の時にイデアが「たった24時間だけ僕らに協力してくれればいい」 と言って NDAのサインを求めるシーンがあったけど、その時に言うことを聞けば「自由になってサクッと全員ハッピーに解散」することを約束していた。
映画と順番が前後しているが、この時被験体の皆は魔力封じのチョーカーがつけられていて、力を取り上げられている状態だった。

今回配信のストーリーで、被験体が魔力を封じられていたタイミングでオルトがファントム解放計画を開始。
しかし、イデアも予想していなかったトラブル発生と共に被験体の皆の魔力封じのチョーカーが外れ、取り上げられていたパワー(魔力)が被験体達に戻る。

おそらくだけど、シナリオの流れが映画での
悪役がヒーローと取引をする→パワーゲット→予想外の出来事が起き取引無効→ヒーローのパワー復活 をオマージュしてるのかな?と思う
レオナがすぐ帰すって言ってたのに最初に言われた話と違うぞと怒ってるのも、オマージュをわかりやすくする演出かもな?と思った。


オルトが自分を探しに来たイデアに「乗って!」と魔導飛行ビークルを用意するシーン、再びイラスト付きで出てきたけどツイステの飛行ビークルはハデスの乗っている空飛ぶ馬車によく似ている。
ハデスは空飛ぶ馬車に乗ってタイタン達が封印された場所まで向かい、タイタン族を解放する為に呼びかけるシーンがある。

イデアも飛行ビークルを使い、オルトが封印されている?冥府にまで降りて、巨大な力を解放しようとしているオルトと対話してたから、ここはもし映像があるなら映画にかなり似せてるのかな?と思った

そしてここの映画でのシーンのハデスのセリフは
英語版は「Brothers!Titans!…」で、ハデスがタイタン族達に「おい兄弟!」的な語りかけをしてるが、日本語だと『友よ!〜…』と吹き替えされている。

ツイステはここをきちんと二重にオマージュしていて、
オルトはヴィルとの会話で冥府にいる「友達」を自由にすると言い
イデアは冥府に着いた時「…オルト、そこにいるの?」と自分の弟に問いかけてる。
6章ではシュラウド兄弟の二人でハデスの役割を担っているが、2回出てきたり2つの意味があるハデスのセリフを各所で兄弟それぞれに分担して言わせている。
英語、日本語(字幕ではなく吹き替え)両方知らないと気づかない部分まで作り込みがすごい。


ハデスはタイタン族を解放した後、その中の一体、サイクロプスという怪物に「特別な仕事を頼みたい」と言い、ヘラクレス討伐を命じた。サイクロプスは街に出て、ヘラクレスを探す為にまず人々を襲う。
ツイステではオルトがカローンをオートパイロットモードに変え、邪魔者を排除する為にS.T.W.Xの人間を襲わせていた。

パワーを奪われたヘラクレスはサイクロプスに一方的な暴力を受け続けていたが、師匠のフィルの応援で力を振り絞り、パワーが戻る前になんとか勝利する。そしてその後、ヘラクレスのパワーは戻る。
ツイステでは強力なカローンに監督生らが襲われそうになった時に、エペル達ををここまで導いてきたルークが身を挺して庇おうとする。
それを見たエペルが奮い立ち、ユニーク魔法が発現。無事に勝利する。これによりエペルは新しい魔法の力を手にした。
エペル、ルークにもきちんとヘラクレスのヒーローサイドのシナリオが適用されている。

映画ヘラクレスではタイタン族が解放されてからフィルが船(脱出船かな?)に乗り帰ろうとするのをメグが引き留めヘラクレスの元へ向かわせるシーンがあるが、
ツイステでもS.T.W.Xの人が施設から脱出ポートを使おうとしているところを引き留めて(恩を売ったり洗脳したりして)本部まで案内させた

今までツイステの事件は全て学園の閉鎖空間で起きていたので民間人は巻き込まれていなかった。
しかし、今回はS.T.W.Xの人間が凶暴化したカローンに襲われている。
ヘラクレスでタイタン族はギリシャの人々を襲っているのでそのオマージュかな。

被験体チームとルークチームの、それぞれが移動に必要としていたIDカードが真っ白なデザインなのはヘラクレスの相棒のペガサスが白馬だからかも?と思った


タワーにいるとされるファントム、神々の時代に封印されたもの達の名前がファントム•タイタンズ•…から始まり、クリスタル、アース、マグマの三体で、はっきりとタイタンと名付けられていた。

ヘラクレスにもゼウスが封印した原始のタイタン族というのが居る。
しかしその数は四体。ツイステと同じ氷、地震、火山、そして竜巻がいる。
「竜巻」がまだ出てきて居ないのがもしかしたらシュラウド兄弟の過去に何か関係あるなかな?

映画ヘラクレスで、力を無くしたヘラクレスがタイタン族のサイクロプスの前に出て行こうとする時に、
メグが「行っちゃダメ!命を捨てに行くようなものよ」と止めるが、ヘラクレスは制止を振り切りサイクロプスへ立向かった。

ツイステでは、冥府に向かいイデアとオルトを止めようとするNRCメンバーを、大人達が心配して止めるが、結局皆でイデアとオルトの計画を止めに行く。

今回イデアとオルトに対して皆が「暴走を止める」じゃなく「計画を止める」とずっと言っているのは
ヘラクレスではハデスが「俺の長年の計画を…」と言っているから、そこも丁寧に拾ってるのかな?と思った。 

★オルトはヴィルの言葉をきっかけに変わり、計画を練り始め、イデアを困らせる。
ハデスの計画の邪魔をするのがヘラクレス。

対ファントム用決戦アームズについて
映画ヘラクレスではハデスの宿敵、ゼウスはタイタン族と戦う時に稲妻を強靭な腕(アーム)で投げて敵を攻撃することができる。

雷霆は無敵の武器ではなくチャージが必要な武器だが、ゼウスは稲妻を投げることはできても作っているのは別の神様。
ハデスがタイタン族を解き放ちオリンポスを襲撃した際に、ゼウスの稲妻を作っている火の神へパレストスが捕まってしまい、ゼウスは稲妻を投げることが出来なくなってしまう。
回数制限つきの武器なのはこれのオマージュかな?と思う。

グリム捜索の為のチーム分け、
原作白雪姫チーム、元ネタ女王チーム、元ネタ男性ヴィランチーム(しかもレオナとジャミルは担当アニメーター同じ)でまた綺麗に別れたなぁ〜と思った。

ハデスの「俺がボス」というセリフはヘラクレスに何度か出てくる。
手下のメグに対して苛立ちながら発するシーン、一瞬オリンポスを制覇した時に笑いながら言うシーン

イデアが文句を言う被験体チームに対して言っていた「俺がボス」の他に、
今回配信分ストーリーのラストでオルトが発した「今度は僕がボスだ!あははっ」が加わり、ハデスのシチュエーション違いの同じセリフをシュラウド兄弟が各場面でオマージュした事になる。 

これまでの振り返りを交えた感想

ここにきて、皆で世界を救いに向かう!という展開になった。
一気にテーマが壮大になったけど、今回これがものすごく良かったし、なぜ5章がポムで6章がイグニなのか個人的に腑に落ちた。
ツイステのシナリオの、ヴィランをやった子が次の章で監督生を助けるヒーロー役をやるという部分がすごく好きなんだけど
ヴィル以外の4人は、自分の次にオバブロした者を助けるというヒーロー的な役割を既に行っている。
ヴィルだけ、今まさにその道の途中という状態。
ヴィルには「悪役ではなくヒーロー役をやりたかった」という望みがあった。

ディズニーの中でも、ヘラクレスという映画は“ヒーロー”をテーマにしていて
「本当のヒーローになるには?」と悩み努力する事が、ストーリーで重要な要素になっている。
ヴィルがここでシュラウド兄弟の計画を止める事が出来れば、ヴィルは紛れもなくヒーローになれる。

ディズニーで一番最初に作られた長編映画の「白雪姫」はやっぱり特別な作品だし、そのポムフィオーレの寮長がヘラクレスというヒーロー映画の世界で本当のヒーローになるかもしれない…という展開……映画ファンとしてもツイステファンとしてもすごくワクワクする。
原作オマージュとディズニー映画史へのリスペクトを強く感じるし
濃いオマージュの中でもツイステのキャラはただの人形ではなくひとりの人間として生きてるな〜って感じもしっかりして、6章のシナリオ、これまでもオマージュたっぷりだったけど
本当にどんどん面白くなっていくな〜と思った!

過去イベント「星に願いを」についての余談

星に願いをのイベントにはイデアとオルトもイベントカードが実装され、ストーリーの中でも活躍していた。星に願いをはピノキオがモチーフかなと思われる演出が色々見えたけど、6章で学園に通うオルトが「本物の子供ではない」ヒューマノイドであった事が明らかになった事で、人形だけどブルーフェアリーに命をもらったピノキオとの共通点がはっきりした。ピノキオは最後に願いが叶い本物の子供になり大好きなおじいさんと幸せに暮らすので、イベントにシュラウド兄弟が参加しているのが素敵だなぁと思った。

映画ヘラクレスではゴー•ザ•ディスタンスの曲中、流れ星が流れる。ヘラクレスはその星を眺めながら、「進むべき道が見つかりますように」と願いをかける。

また、中編で登場したスター•ローグについてもこのイベントで言及されていたので、6章で明らかになった事をふまえて星に願いをのイベントストーリーを読み返してみると、さらに映画のオマージュに気づけるなと思った。