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数字でおもしろいWEBTOONを発掘する:LINEマンガ編

 市場調査から入る慎重派です。
 現在と一部の界隈で盛り上がっているWEBTOONですが、正直なところ、今年になるまで全然読んだ事がなく、どんな作品があるのか調べた事がありませんでした。最近ではツイッターでおすすめWEBTOONが流れて来る事があり、人気作品はつかめてきました。『俺だけレベルアップな件』だとか。しかしWEBTOONの作品数はピッコマだけで1000以上、LINEマンガやそのインディーズ作品を含むと結構な数があります。俺レベだけでいいのかでしょうか? これだけの数があるのだから、まだ見ぬ面白い作品が地中深くに埋もれているかもしれません。
 そんな、面白いWEBTOON作品を読んでみたい。

 でもどうやって面白いWEBTOONを探すのか?

マンガはレビューマーケティング時代

 ジャンプ+において“いいジャン”数が公開されている事が一部の漫画家先生を戦々恐々とさせています。「少年ジャンプのアンケートシステムが公開されているようなもの」「人気がないのがバレる」「恐ろしい……」そんな声が聞こ得てきます。
 ジャンプ本誌のアンケートシステムの場合は連載漫画3作品を順位付けして投票する形ですが、ジャンプ+の“いいジャン”は好きな作品に最大10ポイントまで投票できる仕組みです。ルールは異なりますが、民主的に面白い作品が炙り出される仕組みは同じです。
 ジャンプを支えたアンケートシステムがWEB時代にアップデートされたと言ってもいいでしょう。

 そんなレビューマーケティングが広がっています。

 つまりレビューを見たら面白いマンガがわかるのでは?と言う切り口です。
 今回はLINEマンガのレビューを見ていきます。
 LINEマンガのシステムは、作品の各話ごとに♡(ハート)を1人1ポイントまで投票できます。そのポイント数は読む前に確認可能になっています。データを取り易い構造なのがLINEマンガプラットフォームの特徴なのかもしれません。

LINEマンガのハートを測定

 まず測定するのは基準点になるような作品。LINEマンガには韓国WEBTOONの三大巨頭、『神之塔』『ノブレス』『ゴッド・オブ・ハイスクール』があります。WEBTOONを勉強したいならこれらを読むのがベストかもしれないですが、すべて長期連載作品で話数も膨大にあるため大変です。
そこで♡(ハート)を測定したレビューグラフの登場です。

500話を超える長編。連載中なので、無料で読めない課金部分があり、そこはハートがダウン。
こちらも500話を超えます。完結済みで最後はハートの柱が建っています。
ゲームやアニメになった作品。序盤に大量の読者の流入があるものの、離脱も激しい。

 これらのグラフを見て思うところはたくさんありますが、今回は3作品の共通点とも言える、人気のキープ力を指標にしたらいいのではと考えました。

《人気作品=連載が長く続く=人気が落ちていない》
 こんな風に連想できると思います。

 もし、面白くない作品なら、グラフは右肩下がりに下降するのみ。面白い作品のレビューグラフは、グラフの右肩下がりが緩やか、もしくは平行を維持する。と、言う仮説です。この仮説が確かならば、レビューグラフをチェックすれば面白い作品が一目瞭然です。
 これをもとに、ここ最近の作品をチェックして周り、個人的なベスト10を選びました。
※順位は独断と偏見です。
※2022年5月時点のデータです。
※完結済の作品は省いています。
※異論は認めます! まだまだ見逃し作品があると思います。
※画像にリンクを貼ってます。

ハートグラフで良さそうなものベストテン

10位『その脇役王子、私がいただきます』

話数が少ないので10位。46話の山場のあと、どう展開するかが見ものだと思います。

9位『ナノ魔神』

これは武侠ものの中でも異質な存在。まだ話数が少ないのですが安定感があります。

8位『ランダムチャットの彼女』

人気が落ちてきたところで、113話当りの巻き返しの山場がみごと。その後は低迷ぎみ。

7位『エレキシード』

韓国三大WEBTOON『ノブレス』の原作者の新作は猫? さすがの安定感。

6位『アドニス』

121話までのキープ力がすごい。現在休載中で最後まで無料で読める作品。

5位『ある日、お姫様になってしまった件について』

序盤から人気が上がっていくタイプ。100話までに大きな山場が3か所作もできていて素晴らしい。

4位『再婚承認を要求します』

85話で一時休載になるところまで、人気がほとんど落ちない安定感。読者の数も多い。

3位『女神降臨』

大人気作品は序盤の流入が多いため右肩下がりになりがちだけれど、59話までのハートの上昇は神

2位『外見至上主義』

バグかと思いましたが、185話から始まるホームレス編がマジで神回。4話だけでも買って読むべし

1位『クレバテス』

まだ話数が少ないものの、日本のマンガ家でこれほどのキープ力があるのはすごいかも!

 キープ力をメインに選定してみたところ、女性向け作品が多くなった印象。女性向け作品はやっぱり強いなあ。と、思っていたら日本人作家で、しかも内容が青年向けの『クレバテス』を発見して、バイアスが掛かって1位にしてしまいました。『Dimension W』の岩原裕二先生の作品。実はこの作品は横読み版から作られているのですが、縦読みへのアレンジ力が素晴らしく、個人的にWEBTOON版の方が面白いと感じてしまいました。横読み→WEBTOON変換のベンチマーク作品になるのではないでしょうか。まだ話数が少ないので、今後の展開に大注目です。

 以上、読んでみたいと思えるWEBTOON作品がたくさん見つかって満足の結果でした。
 今後は、グラフが右肩下がりになる場合に角度が何度以下になると赤信号なのか? また広告などで読者を大量に獲得した際にハートの増減にどのような影響を及ぼすのかなど、深堀していけたら面白いなと思っています。

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