子宮移植したサルが出産 世界初、ヒトへの実施にも意欲

慶応大や滋賀医大などのチームは、子宮を移植したサルに子供を産ませることに世界で初めて成功したと発表した。サルは5月に生まれ、健康だという。18日に国際医学誌に掲載された。チームによると、海外ではヒトの子宮移植による出産例が約40例あるが、国内では実施例はない。チームはサルでの成功で、ヒトへの実施にも意欲を見せている。

チームはあらかじめ子宮を摘出したカニクイザルのメス、ほかのメスの子宮を移植。免疫抑制剤を使いながら、体外受精させた受精卵を子宮に戻し、妊娠させた・

子宮移植のために子宮を摘出する手術は、移植後に再び子宮を使えるように、子宮周辺の太い血管を残すなど高度な技術が必要になる。チームはヒトで実施を目指し、これまでサルで研究を続けてきた。17年に今回出産に成功したサルに子宮移植手術を実施し、18年には妊娠に成功下が、2度流産。19年12月に3度目の妊娠で発育が良好になり、出産に至った。

慶応大はヒトでの子宮移植に向け、18年に臨床計画案を日本産婦人科学会と日本移植学会に提出。4500人に1人いるとされる、生まれつき子宮のないロキタンスキー症候群の女性が対象だ。19年から国内最大の医学組織、日本医学会が倫理的な課題などについて検討を重ねており、結論を待っている状態だ。

チームの木須伊織・慶応大特任助教は「ヒトに近い動物での妊娠、出産ができ、技術的には問題はないと思う。臨床用に向けて大きなステップと考えている」と話した。