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個人的なプリキュア名言

1.はじめに

 女児向けアニメとして展開しているプリキュアシリーズ、皆さんも名前くらいは聞いたことがあると思います。主人公は中学生くらいの女の子で、メインターゲットも明らかに女児層であるため成人男性がまじまじとこれを鑑賞しているのはなかなか辛いものがありますが、よくよく内容を見てみると、中には子供向けとは思えない、大人でも深く考えさせられる台詞やシーンが散りばめられています。今回はその中でも筆者が気に入っているものを特に需要も気にせずに紹介したいと思います。

2.名言紹介

〇キリヤ(ふたりはプリキュア)

「人のことを何も知らないくせに、偉そうなことを言うな!」

キリヤ

                      東映アニメーション

 最初は、プリキュアを長期シリーズにした伝説の第一作目「ふたりはプリキュア」のキリヤ君です。彼は人間に化けてプリキュアと同じ学校に通っているいわゆる敵役のポジションですが、潜入しているうちにキュアホワイトに変身するほのかに淡い恋心を抱いてしまいます。そんな中、プリキュアではない普通の女子生徒に告白され、トラブルを起こしてしまいます。一連の流れはこれ。

1.キリヤが女子生徒に告白される。告白した女子生徒(聖子)は1人で告白に臨んだわけではなく取り巻きが2名おり、聖子の告白をほのかが応援していることを知る

2.キリヤがラブレターを破り捨てる。台詞は「僕に用はない、帰れ」と言ったのみで告白について言及していない

3.同日の昼(?)ほのかが「相手の気持ちを考えてあげて」とキリヤ側の事情を聴かずに一方的に詰め寄る。

4.キリヤは、ほのかが告白を応援する時にキリヤ側の気持ちを考えたのか逆に問いただし、口ごもるほのかに対して立て続けに上記の台詞を言う。

 この話、「迷惑な告白に対して雑に断ったことが悪いのか」という論調でキリヤが反論していますが、キリヤは告白が迷惑だったので暴言を吐いたのではなく、「ほのかが聖子とキリヤの仲を応援したこと」に対する悲しさから暴言を吐いたので、そもそも会話が噛み合っていません。「告白が迷惑だった」という理由の割には過剰な態度を取るキリヤにほのかは何かを感じ謝りますが、結局「キリヤ君の気持ちを考えずにごめん」という発想にはなるもののキリヤの気持ちの内容までには気付けませんでした。これはほのかが鈍感と言うよりもキリヤ自身が自分の気持ちに気付いていない為どうしようもないと思います。このエピソードの後も、キリヤの「ほのかへの想い」は「プリキュアVS悪陣営」の話とごちゃごちゃに混ざったりすり替わりながら進んでしまう為、いい形で成就することはありませんでした。中学生らしいと言えば中学生らしいですが、今改めて見ても、考えさせるエピソードだと思います。というか、「ぷいきゅあ~がんばえ~☆」してる幼女さんたちは、これを見て「自分の気持ちを相手に伝えるには、まず自分の気持ちを知ることが大事。」とか教訓を得たり考察したりするのでしょうか

〇ビシン(HUGっと!プリキュア)

「痛みを抱えていくつもりかよ、そんなの辛すぎるだろ!」

ビシンVSほまれ

                    東映アニメーション

 二つ目は、HUGっと!プリキュアに登場した同じく敵役のビシンです。悪の組織に所属するビシンとキュアエトワールに変身するほまれは、ハリーという人間に変身できる妖精(諸説ありますが、ポジションとしては妖精枠)に淡い思いを抱いているため、敵対関係であり恋敵でもあります。ちなみにビシンは男です。上記のキリヤのエピソードが余りにも生々しく暗かったためなのか、設定がハっちゃけていますね。 

 さてビシン登場当初は、「相思相愛のハリーとほまれを邪魔する悪役ビシン」というとても分かりやすい構図で、新井里美氏の怪演で朝っぱらから暴れまわるヤンデレとプリキュアのバトルという普通(?)の展開でした。しかし、物語が進んでいくとハリーの想い人はほまれと別にいることが判明し、戦いは「相思相愛のカップルVS邪魔者」から「失恋に整理を付けようとする少女VS気持ちに整理が付かないメンヘラ」という凄い状況になります。何が凄いって、この戦いに想い人と相思相愛になる勝者がいないからです。幼女さんたちはただ王子様と結婚するだけの物語じゃ面白くないのでしょうか?上記の台詞はその状況でビシンが発した台詞であり、恐らく、自分がハリーと結ばれないのなら、せめて誰かに共感して欲しかったのだと思います。ある意味リアリティのある感情を抱えているビシンがいるからこそ、現実に目を向けながら前に進むほまれの描写が、ご都合主義ではない生身のものになりました。負の感情に支配されたビシン、前を向くほまれ、どちらも大好きです。子供向けアニメにおいて、恋愛の成功=成就ではなく気持ちの整理にした東映アニメーションは流石です。

 以上自分が特に気に入っている名言の紹介でした。子供向け(むしろ女児向け)アニメと躊躇せず、是非ともプリキュアを見てみてください。朝の8時30分からやってます!

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