見出し画像

東京ワンダーホテル,人生は連鎖する

人生は連鎖する.紙ヒコーキとボズ・スキャグスのジョジョ(JoJo)ではじまる「東京ワンダーホテル」という実験的なドラマがありました.2004年に春夏秋冬の季節ごとに1話ずつ全4話の物語が日本テレビで深夜に放送されました.

 ニューヨークのチェルシーホテルのような,文化の生まれるホテルを東京の真ん中にに造ろうする若者たちの物語でした.虚実入り混じったユニークなドラマで,芸術家やデザイナーが本人の役で実名で登場したり,CMもこのドラマ用のものでストーリーに沿うように挿入されていました.物語のホテルも「渋谷グランベルホテル」として現実の世界で実際に建設され営業されました.

 「東京ワンダーホテル」の第3話(秋)の舞台は日光金谷ホテルでした.我が国で最初のリゾートホテルとして知られる歴史のあるホテルです.フロント近くの階段は木造で,歩くとなんとも表現できない感覚があります.

 ドラマのあらすじは,若い頃に新婚旅行で訪れた老婦人が,昼にレストランでライスカレーをオーダーしましたが,メニューにライスカレーはありませんでした.コンシェルジュはシェフにライスカレーを特別に作ってもらい対応しました.実は老婦人のオーダーは昔,亡くなった御主人と食した想い出のカレーだったのです.その日,偶然,ホテルの蔵の中で,昔のライスカレーのレシピを見つけた主人公たちが,夕食にもシェフとライスカレーを作って老婦人に出すというものでした.

 インターネット上のホテルの公式情報を確認すると,日光金谷ホテルでは,ドラマ放送の1年前の2003年にホテルの蔵の中から発見された,大正時代のカレーのレシピを再現した「百年ライスカレー」が提供されているそうです.まさに虚実入り混じった話ですね.

 日光金谷ホテルは日光の神橋の手前で,少し狭い坂道を上ったところにあります.この坂道の角には「金谷ホテルベーカリー」があります.ホテルで提供されているパンやクッキーをここで買うことが出来ます.パンの味は...私は日光に行ったときには,このベーカリー立ち寄るようにしています.明治,大正からのパン職人のこだわりの伝統を受け継いでいます.どんなに時間が流れても変わらず良いものがあるものです.

 日光はとても不思議な観光地です.東京からそんなに離れていませんが,標高の関係で気温が低く,夏の避暑地としてよい場所です.奥日光は自然豊かな温泉地です.東照宮をはじめとした歴史的な建造物もたくさんあります.不思議な地名もあります.三河さん,いったい何をここに隠したのですか.戦場ヶ原を走るリヤウインドに,時の流れが映ったような見えたのは,気のせいでしょうか.

 「東京ワンダーホテル」のエンディングテーマは佐藤竹善さんの東京シティセレナーデです,よい街づくりには,誰かが「私には東京の想い出があるから...」といえる必要があります.都市の機能だけではなく,そこに文化の流れが必要です.人々が表面的に優しくなった半面,寂しい存在になってしまったような気がします.ゆったりとした気持ちで,古いものを訪ね求めて,新しいことを考えてみませんか.

それでは,また,何時か何処かで.


Boz Scaggs Jojo HQ
https://www.youtube.com/watch?v=uUVaZG4gRJ8

Tokyo City Serenade (Arthur's Theme),佐藤竹善
https://youtu.be/rNBlSGyOsmU

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?