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ルーキーイヤー超え?NPB最強クローザー栗林良吏を分析
どうも、キュプリーヌス(@cyprinus_wrc)です。
鬼門と呼ばれる交流戦を10勝8敗と7年ぶりに勝ち越して終えたカープですが、その原動力となったのは間違いなく投手陣でしょう。今回のnoteではその投手陣の中でも、クローザーの栗林良吏を分析していきたいと思います。怪我などに苦しんだ昨季をなんとか乗り切り、今季見事に復活を遂げた栗林ですが、キャリアハイとなったルーキーイヤーを上回ることはできるのでしょうか?ルーキーイヤーのスタッツと比較しながら確認していきます。
基本成績
まずは、基本成績を他球団のクローザーと比較しながら確認していきます。
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圧倒的な成績。文句なしのトップクローザー
近年のNPB最強クローザーといえば、ドラゴンズのマルティネスが真っ先に思い浮かぶかと思いますが、今季ここまでに限っていえば、K-BB%やtRAといった投手の実力を測るスタッツで栗林が上回っており、その他のクローザーは足元にも及ばないといった形となっています。現時点では、12球団ナンバーワンのクローザーであると断言してもよいでしょう。
Pitch Type
ここからは、ルーキーイヤーと変わったところはあるのか?という視点から様々なスタッツを確認していきます。まずは投球割合です。
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より変化球中心の投球に
ストレート・フォーク・カット・カーブという球種構成自体は変わっていませんが、投球割合は大きく変化しています。ルーキーイヤーは44.2%だったストレートが31.1%と大幅に減少し、その分その他の3球種の割合が増加しています。平均球速がストレートは低下、変化球は上昇していることが影響しているのかもしれません。特にフォークはストレートを上回る36.6%となっており、今季はフォークにかなり信頼を置いていることが読み取れます。
Pitch Value
続いて、球種別の失点増減を確認していきます。
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3球種はルーキーイヤー並も、カーブはマイナスに
こちらは意外にも、全ての球種でルーキーイヤーを下回っています。これは、このスタッツが12球団の平均的な投手を基準として算出しているためだと思われます。今季は前例がないほどの超投高打低環境のため、平均的な投手のレベルがかなり上がってしまっているというわけです。それを考慮すれば、マイナスとなっているカーブ以外はルーキーイヤーと遜色ない球を投げられていると推測されます。ただ、昨季を経てブラッシュアップされたと思われていたカーブがマイナスとなっているのは意外な結果でした。
Plate Discipline
続いて、投球内容を確認していきます。
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空振り率は低下もストライク率は上昇
スイング率はゾーン内外ともに低下しており、よりスイングを仕掛けさせていないことが分かります。コンタクト率は上昇してしまっており、空振り率なども悪化していますが、ボールゾーンコンタクト率は8%低下しており、今季はボール球で空振りを奪えているようです。フォークの投球割合が増えていることもここに関係しているかもしれません。
そして、ルーキーイヤーと比べて見違えているのがゾーン率とファーストストライク率です。それぞれ8.8、8.7%上昇しており、しっかりとゾーンに投げ込めていることが分かります。これにより、見送りストライク率(CStr%)とストライク率(CSW%)も上昇しており、今季はストライクを奪うことに苦労していないことも重ねて分かります。
Batted Ball
続いて、被打球内容を確認していきます。
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打ち取った打球が増加
今季はフライ率の方が高いフライボールピッチャーとなっており、ここは明確な変化といってよさそうです。三振を多く奪うタイプの投手はフライ率の方が高くなるケースが多いですが、やはりフライは長打になるリスクが高いため、できるだけゴロ率を高くしていきたいところです。ただ、ライナー率は3.1%低下しており、安打になる確率が最も高い被打球は減らせていることが分かります。
被打球の強さに関しては、Hard%は0.6%上昇と微増していますが、Soft%が5.9%上昇とかなり増加しており、弱い打球を打たせるケースが多くなっていることが分かります。飛ばないボールの影響を受けていることも考えられますが、球威はルーキーイヤーよりも増しているのかもしれません。
Advanced
最後に、投球結果を確認していきます。
![](https://assets.st-note.com/img/1718612431636-5GlED0xlAW.jpg?width=800)
制球力が劇的に改善。NPB最強投手へと成長
ほぼ全てのスタッツが良化していますが、その中でも劇的に改善されたのが与四球率(BB%)です。13.9%→4.1%と1/3以下に低下させており、やはり制球力がかなり改善されていることが改めて分かります。これによりK-BB%も26.4%→32.7%とかなり良化しており、12球団トップの数字となっています。このスタッツはボールの影響を受けないため、飛ばないボール云々は関係なく、今季の栗林の凄さを表す数字となっています。
そして、このK-BB%に加えて被打率(AVG)、WHIP、FIP、tRAでも12球団トップの数字をマークしており、ここまでの栗林はNPBで最も攻略が難しい投手であることが分かります。
まとめ
以上、栗林のルーキーイヤーと今季の比較でした。
簡潔にまとめると、制球力が劇的に改善されたことでリーグトップクラスだったルーキーイヤーを上回り、12球団最強の投手へと変貌を遂げたという形になりました。その他ではボール球を多く振らせていること、打ち取った弱い打球が増えていることも復活の要因となっているようです。
ただ、まだシーズンは半分も終わっていません。この圧倒的な数字を143試合目まで維持し、球史に残る成績を残すことができるのか?今後も注目していきたいところです。
画像引用
データ参照
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