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防御率6.83は実力?不運?期待のドラ1常廣羽也斗を分析

どうも、キュプリーヌス(@cyprinus_wrc)です。

今、最もファーム投手陣でその登板に注目が集まっているのは常廣ではないでしょうか。大学ナンバーワン右腕と評価されてドラフト1位で入団し、本来であれば開幕ローテ入りも期待された投手でしたが、キャンプに出遅れたこともあり、未だに一軍での登板はありません。さらに、二軍でも防御率6.83と結果を残せておらず、カープファンの中には本当にドラ1で獲るような選手だったのか?と思っている方もいるかもしれません。そこで、本noteではこの防御率6.83という成績が実力によるものなのか不運によるものなのかということも含め、常廣を分析していきたいと思います。

※データは全て7/4終了時点のものになります


登板成績

まずは、ここまでの登板成績を確認していきます。

QSなしの5敗と厳しい結果に

 6試合に投げて0勝5敗、QS達成は一度もなく、期待される結果を残せた試合はここまではないと言えそうです。球史に残る投高打低環境であることも考えると、悲惨な成績と言わざるを得ないかもしれません。ただ、6月に入ってからは85球以上を投げることはできており、フィジカル面に問題はなさそうなことだけは明るい材料となっています。

Pitch Type

続いて、投球割合の確認です。

ザ・先発投手。球速は速め

 ストレート・フォーク・カーブで主に構成されており、スライダーとチェンジアップも稀に織り交ぜているようです。オーソドックスな先発タイプの球種構成と言えるでしょう。ストレートの平均球速は145.6km/hで、チームの先発投手ではハッチに次いで2番目に高い数字となっています。

Pitch Value

続いて、球種別失点増減の確認です。

全球種がマイナス。得意球は?

 防御率が6.83ということもあり、全ての球種がマイナスとなっています。得意球種がどれなのかはこのスタッツからは確認することができません。強いて言えば、マイナスが一番小さいフォークが得意球種となるでしょうか。

Plate Discipline

続いて、打席内容の確認です。

ボール球を振らせて多くの空振りを奪取

 スイング率はゾーン外が平均より高く、ゾーン内が平均より低くなっています。ボール球を多く振らせ、ストライクはそこまで振らせていないという理想的な数字となっています。コンタクト率も平均以下となっており、特にゾーン外のコンタクト率が低くなっています。ボール球は多く振らせ、当てさせてもいないことが分かります。空振り率やWhiff%も平均以上となっており、空振りはしっかりと奪えているようです。
 ただ、ゾーン率とファーストストライク率は30%台となっており、平均以下となっています。CStr%とCSW%も平均以下で、ストライクを奪うことにはやや苦労していることが推測されます。

Batted Ball

続いて、被打球内容の確認です。

捉えられた打球がかなり多め

 フライ率よりゴロ率の方が高くなってはいますが、ライナー率が13%とかなり高くなってしまっており、グラウンドボールピッチャーかと言われれば微妙なところです。Hard%は平均より14.3%も高い45.7%となっており、約半分の打球が芯で捉えられた強い打球であることが推測されます。このHard%の高さが防御率悪化の大きな要因となっていると言えるでしょう。

Advanced

続いて、投球結果を確認していきます。

K-BB%は平均以上と力量に問題はなし

 K%は平均より1.1%、BB%は0.2%高くなっており、K-BB%は0.9%平均を上回っています。K-BB%は投手の力量を測る際に重要視するべきスタッツであり、これが平均以上ならばプロ野球でやっていけるだけの力はあると見て問題ありません。とはいえ、防御率6.83と打ち込まれているのだからそんなものはあてにならないのではないかと思う方もいるでしょう。そんな方に確認していただきたいのがLOB%とDERの低さです。

大量失点には運の悪さが影響

 LOB%とは【出塁させた走者をどれだけ還させなかったか】というスタッツです。この数字が上下するのは運の影響が大きく、基本的には70%前後に収束していくと考えられており、平均も71.5%となっています。しかし、常廣はこれが61.2%と10%以上平均より悪くなっており、失点が多くなっているのは運の悪さが影響していると推測されます。

被安打増にも運の悪さが影響

 DERとは【本塁打とファールを除く打球のアウト割合】です。チームの守備力を表すスタッツであり、これが高ければ高いほどそのチームは守備が良いということになります。BABIPというスタッツを聞いたことをある方は多いのではないでしょうか?DERは逆BABIPと言い換えることもでき、飛んだ打球がヒットになる割合がBABIP、アウトになる割合がDERというわけです。BABIPは運の影響が大きいスタッツで、3割前後に落ち着くものという知識がある方ならば、自ずとDERは7割前後に落ち着いてくることも理解できるかと思います。常廣はそのDERが.591と6割を切っており、かなり運が悪く被安打が増えてしまっていることが分かります。

昨年5月のバウアー並の運の悪さ

 昨年5月、カープがベイスターズのバウアーを滅多打ちにした試合がありました。バウアーはその試合後のインタビューで「リアリー×8アンラッキー」と途轍もなく不運だったと語っていました。実際、バウアーの調子が悪いとされたこの月のDERは.548と途轍もなく低い数字になっていましたが、最終的にはこの数字は.687まで収束し、防御率も2.76と素晴らしい数字を残しました。今の常廣は、この時のバウアーのように非常に不運な状態にあると言えるでしょう。

まとめ

 以上、常廣のここまでの各種スタッツの確認でした。
 簡潔にまとめると、【空振りはしっかりと奪えており、投手能力自体に問題はないがかなりの運の悪さで結果が出ていない】ということになります。
 もちろん、異常なHard%の高さやストライクの少なさなど改善すべき点はいくつかありますが、6.83という防御率が現在の常廣の実力を反映しているとは言えません。今季中の一軍デビューは難しいかもしれませんが、ここから一気に巻き返し、秋には二軍で非常に優れた数字を残している可能性も充分に考えられます。そもそもが大学生とはいえ高い潜在能力も評価されてのドラ1指名のため、焦らず今後の成長を見守っていきたいところです。

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データ参照


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