見出し画像

チーム最強投手大瀬良大地は何故復活できたのか?

どうも、キュプリーヌス(@cyprinus_wrc)です。

ここまでセリーグ2位と躍進を続けるカープですが、そのチームの中心となっているのがリーグ最強クラスの先発陣です。そして、その中でも最も質の良い投球を続けているのが大瀬良大地です。今季は5年連続で務めていた開幕投手の座を九里に明け渡し、エースと呼ばれることもなくなるかと思われましたが、ここまでは素晴らしい投球を続けています。一体、近年苦しんでいた大瀬良は何故復活することができたのでしょうか?各種スタッツを確認していきます。


基本成績

まずは、基本成績を他の先発投手と比較しながら確認します。

被弾は0。失点阻止能力は森下以上

 tRA2.16、敗戦と被弾0はチームトップとなっています。tRAとは失点阻止能力を評価するスタッツであり、大瀬良は現時点でチームで最も失点しない投球を続けている投手ということになります。同じ登板数の森下より4.2イニング少ない投球回がやや気になるところではありますが、エースと呼んでも差し支えないような成績と言えるでしょう。

被弾0の要因を探る

 先ほどの項目で気になったのは、やはり被弾0という大瀬良らしからぬ数字です。大瀬良といえばHRを打たれることが多いというイメージを持っているカープファンは多いのではないでしょうか。この数字を残せている要因を探りたいのですが、まずは大瀬良が本当に被弾の多い投手なのかを確認していきます。

やはり被弾はやや多め

 上図はルーキーイヤー以降の大瀬良の被本塁打割合(HR%)をセリーグの平均と比較したものです。中継ぎに回った2015年こそかなり低い数字をマークしましたが、それ以外では2017,2020,2021に平均をやや下回ったくらいで、昨季までの10シーズン中6シーズンで平均より高い被本塁打割合となってしまっています。やはり大瀬良は被弾の多い投手であると言えるでしょう。

どうやって被弾を減らしたのか?

 そんな被弾の多い大瀬良ですが、何故今季はここまで被弾を0に抑えることができているのでしょうか?被弾に係る各種指標を確認していきます。
 まず、被弾に係る各種指標とはなんでしょう?打者目線で考えると、HRを放つには「引っ張って強いフライを打つ」というのが一般的な考えになるかと思います。そこで今回は、フライ率(FB%)、引っ張り率(Pull%)、強打球率(Hard%)を被弾に係る各種指標としたいと思います。

強い打球を打たせていない

 こちらも先ほどと同じく、ルーキーイヤー以降の数字となっています。今季最も目立っているのが強打球率の低さです。過去最高は中継ぎに回った2015年の29.7%でしたが、今季はそれを7.7%も下回る22%となっています。今季の大瀬良は、24歳という若さに加え出力を上げやすい中継ぎというポジションにいた2015年よりも強い打球を打たれていないのです。これは今季復活できている最大の要因といっても過言ではないかもしれません。
 また、引っ張り率も過去2番目、フライ率も過去4番目に良い数字となっており、今季は「引っ張られた強いフライ」がかなり少なくなっていると言えるでしょう。

なぜ強い打球が減ったのか?

 被弾0の要因はある程度予測がつきました。その中で目立っていたのが強打球率の低さですが、なぜ今季は強い打球が減っているのでしょうか?投球内容に関する項目のPlate Disciplineを確認したところ、あるスタッツが今季目立った数字となっていたのでそれを紹介したいと思います。

スイングをさせていない

 それはスイング率です。今季はここまでスイング率が43.4%となっており、最も低かった2017年の46.8%を3.4%も下回っています。そもそも打者にスイングをさせなければ被弾だけではなく被安打もなくなるため、これも復活の要因の1つと言えるでしょう。事実、被打率は1割台(.194)となっています。

コースギリギリへの投球が増えた?

 各種スタッツを確認していく中で、スイングをさせていない要因の1つとして、コースギリギリへの投球が増えているのではないか?と推測しました。その根拠となったのが以下のスタッツです。

 上はストライクゾーンに投げた割合であるZone%(ゾーン率)、下は与四球率(BB%)です。今季は与四球率が過去最悪となっているため、制球が悪いと思われる方もいるかもしれませんが、ゾーン率を見るとそうではないことが分かります。過去最高の与四球率だった2022年と0.2%しかゾーン率は変わっておらず、制球が荒れて四球を出しているのではなく、ゾーンギリギリを狙っているため、わずかに外れたボールが増えて四球が増えているのではないか?というわけです。

まとめ

 以上、大瀬良復活の要因を探っていきましたがいかがだったでしょうか。
 復活の要因というより被弾0の要因を探ることに重きを置いてしまいましたが、その過程で見つけた

  • 強い打球を打たせていない

  • スイングをさせていない

  • コースギリギリへの投球が増えている

という3点が復活にも関係していると私は考えています。ただ、肘の手術明けであるということと年齢を考えると、最後までこのクオリティの投球を維持できるのか?という不安要素もあります。まずは今日、交流戦5割復帰を目指してマリーンズ打線を封じ込んでもらいたいところです。

画像引用

データ参照



この記事が参加している募集

#野球が好き

11,462件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?