『地球の静止する日』核心に関しての記述あり

例によってレヴューが統合されていますが、プライム・ヴィデオで視聴。著作権切れパブリックドメイン作品。リマスターされているのでしょう、画質は良いです。

(以下、核心に関しての記述です)
宇宙人クラトゥはキリストのメタファーです。
クリーニングのタグにはカーペンター少佐としか書かれていなかったのに、彼はジョン・カーペンター(John Carpenter)と名乗ります。JCつまりJesus Christですね。また、キリスト教について多少の知識のある人なら、イエスの養父も、若いころのイエス自身も大工(carpenter)であったことはご存知でしょう。
プロデューサーのブロースタインは否定していたという話もありますが、ブロースタインがユダヤ人だからでしょう。少なくとも原作/脚本では、キリストのメタファーというのが、アメリカでは定説です。というか脚本家自身がはっきり認めてますしね。本当は分かる人にだけ分かる寓意にしたかったかったらしいですが、「ゴートは生死に対する力を持っているの?」というヘレンの問いに「それは全能の神(Almighty Spirit)だけが持つ力だ」とクラトゥが答えるシーンは宗教色が出てしまったようです。
キリストでないとすると、この宇宙人は知的で礼儀正しいが、上から目線のちょっと嫌な奴という感じもするし、最後には、「宇宙の警察官」だの「宇宙警察は核兵器を持っているが、おまえらが持つことは許さない」的なことやら「我々は直接手を下さないがロボットが地球を燃やす」だの一方的なことを言うのですから、現代に例えると、アメリカやNATO、国連などのことじゃないかとか、ロボットはドローン攻撃機だよねとかいう解釈もできるでしょう。昔はリベラル派から評価されたようですが、正直、あんまり反核反戦平和メッセージには聞こえない。
1949年にソ連が核実験が成功して、アメリカの核兵器独占状態が終わります。本作品が製作された1951年は朝鮮戦争の真っただ中、原爆が欲しくてたまらない毛沢東はスターリンに原爆製造の技術提供を要求していたと言われており、ソ連が核兵器を保有しているだけでも脅威なのに、白人でもクリスチャンでもない共産主義者まで核兵器を持つことになったらかなわんというのが本音じゃないでしょうか(個人の感想です)。

下宿屋のおばさんから「ニューイングランドのアクセント」といわれてニヤリとしたように見えるのは、演じるマイケル・レニーがイギリス人で、彼がアメリカ人を真似て喋るとアメリカ北東部の英語のように聞こえるという、ジョークでしょうか?ラジオを受信して英語を覚えた割に、英語を読めるし、筆記体まで書けるのは演出という事で。2019年8月22日に日本でレビュー済み
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