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『ラッキー』(2017)   『パリ、テキサス』(1984)のオマージュのジョン・キャロル・リンチ初監督作品

ジョン・キャロル・リンチ、アメリカ映画やドラマが好きな者にはお馴染みの、脇役(悪役が多い)専門の俳優である。今回は俳優としては出演していないのだが、TVの生命保険のCMの声はジョン・キャロル・リンチである。

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デイヴィッド・リンチの親戚でもなんでもないのだが、デイヴィッド・リンチが俳優として本作品に出演している。スタントン主演作と言うことで、デイヴィッド・リンチも快諾したそうだ。
アメリカのTVドラマのファンとしては、正直、ハリー・ディーン・スタントンよりジェイムズ・ダレンが出演していたのが嬉しかった。『タイムトンネル』『パトカーアダム30』で知られるハンサム俳優だが、『スタートレック:ディープ・スペース・ナイン』 (1998–1999)を最後に、ほぼ引退したと思っていた。彼も80代と思うが、まだまだ元気そうだ。
トム・スケリットはエイリアンでハリー・ディーン・スタントンと共演していたが、二人ともTV西部劇の端役で数知れず出演しており、他にも共演があるかもしれない。スケリットはWW2ヴェテランとしては、ちょっと若過ぎるかな。『トップガン』に海軍パイロットとして出演していたが、彼は空軍の軍歴がある。スタントンが沖縄戦で戦車揚陸艦のコックをしていたのは実話。
エド・ベグリー・ジュニアやロン・リビングストンも通好みのキャスティングだろう。リビングストン演じる弁護士役はウォルター・マッソーを意識していそうだ。
撮影中に実際に90歳になったハリー・ディーン・スタントンは、気難しいところもあって楽な撮影ではなかったようだが、ジョン・キャロル・リンチの映画愛が感じられる作品となっている。
スタントンが古いメキシコ民謡"Cancion Mixteca"を歌うのは、言うまでもなく『パリ、テキサス』(1984)のオマージュであり、映画ファンなら目頭が熱くなるシーンだ。

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ジョン・キャロル・リンチにはディーン・ストックウェル主演の映画も撮ってほしい。
ピニャータ(中にキャンディーを詰めた紙製のくす玉人形)割りがしたい。

★★★★★

2019年12月28日に日本でレビュー済み


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