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源平合戦 其の十六

壇之浦の潮の流れを知り抜いた知盛
初めてみるその流れの速さに驚く義経

「新中納言殿は朝の八時頃から戦いを始める!」
義経はそう予想した。
なぜなら、平家軍は九州側を背にした陣形で
潮は朝の八時から午後の三時までは
西から東へと流れるからだ。
その流れの勢いに乗って平家軍は
源氏勢を押しに押してくるだろう。

「その間はなんとしてももちこたえなければならない」
しかし東から西へと流れが変わるとき
そこからは源氏の猛反撃が始まるのだ。

知盛はまさか義経が潮の流れを利用した
戦術で挑んでくるとは夢にも思わず
さらに阿波の田内成良が源氏方に
この戦いの最中に寝返ったのだ。
すでに息子の教良は屋島で源氏に降伏し
父子が敵味方に分かれている。
そのことで知盛は田内成良が裏切るのでは
ないかと疑っていた。そしてそれは見事に
当たってしまったのだ。

戦況は完全に源氏の優勢がはっきりとし
それを悟った知盛は船内を掃き清め
死に支度を始めた・・・。
二位ノ尼(宗盛、知盛、建礼門院の母)は幼い
(孫の)安徳天皇とともに海に沈んで行った。

そして海上に二度と浮かんで来ぬよう
知盛は碇の綱を体にまきつけ鎧を
重ねて着ると乳母子の伊賀平内と
手を取り合い一緒に海へ沈んで行った。


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