起立・礼・着席しなくていいよ

※宇宙兄弟15〜17巻のネタバレあるので、読む方は注意を。






「上が"いつ誰を何のミッションに任命するか"なんてことは誰にも分からんことだ。俺は去年のISSミッションが初のフライトだったわけだが…ずいぶん待たされた。同期の奴らがどんどん先に選ばれる中、なぜ俺だけ選ばれないのか考え苦しんだ時期もある。なぜ俺は任命されないのか。他の奴と何が違う。何を直せばいい。デカい事に問題があるのか。じゃあそもそもなぜ俺は宇宙飛行士になれたんだ。俺はなんで今ここにいるのか。正直…教官の前でペンを落としただけでも…注意力が散漫な奴だと思われ、原点評価されるんじゃないかとビクつくことさえあった。」

「考えるのをやめたさ。目の前にある訓練や仕事をさらに増やして、それで頭いっぱいにしてやった。こういう意味ではこのNEEMO訓練は俺にはちと物足りんな。俺が本気の時は、もっとガンガン働けるぜ、ムッタよ。」


宇宙兄弟で上位を争う好きならエピソードの1つ。無性に読みたくなってしまう。

宇宙に最も近い環境を作り出せる深海での訓練を受ける事になった主人公の六太。4人1チームに分かれて訓練を行うが、チームメイトには親友のケンジもいた。いいチームワークで訓練を進めていく。だが突然、六太とケンジの結果をどちらかしか宇宙に行くことができないと告げられる。それから2人の関係は険悪になっていく。たまたま2人になった時、悩む六太にチームメイトのアンディがかけた言葉が冒頭のセリフ。それを聞いて目が覚めた六太はケンジに「先のことを考えてるのをやめて、今のこの訓練をよくすることだけを考える」と伝えた。そこから2人の関係は元に戻り、無事に訓練を終える。

自分の好きな音楽もそうだけど、「今が大事」というのはわかる。いつだって今が1番いいと思うよ。今をすっ飛ばしていきなりその先が変わるわけがない。だけど、それすらも信じられない時があるから、そりゃあ死にたくもなるよな。割と本気でね。そんな時にこんな解決方法もあったよなぁと思い出す。


さぁこれからもっと仕事を詰め込むぞと意気込んでいると、「仕事ばっかりして、たまには息抜きしないとダメだよ。今日どんなに遅くなっても待ってるからご飯行かない?気分が乗らないなら無理にとは言わないけど。」と職人さんから誘いが来た。自分に元気がないのを察知したのか、顔に出ていたのかわからないけど、こんなことは滅多にないから行くことにした。あぁ、違った。「やりたいことがないから休みなんか来ないでくれとすら思う」なんてポツッと言ってしまったんだった。最近の職人さんたちは自分の仕事の時は午前中で帰れることが多い。仕事で会う時に、Apexの話をしてたり、子育てに奔走している話をしている。楽しそうに話してたり、仕事をしているところを見ると嬉しい。誘ってくれた2人の職人さんは、自分が転職する前から一緒に仕事をしていたこともあったけど、転職することを1番喜んでくれた2人でもある。一人は何を言ったわけじゃないけど、こんな話を聞かせてくれた。「俺の若い頃は、本当に仕事ができなかった。何もしないでそこで見ててくれって言われるほどだったよ。でもそれが悔しくて。結構長い時間苦労したよ。休みも家で練習をやったし、休憩中も休まずに仕事をしたし、昼ご飯を食べたら、後の時間は1人でも仕事をした。頑張ればその分報われるわけじゃないけど、報われない時は今は我慢の時だと思ってやり続けたよ。結構苦労してるんだよ。今は我慢の時かもしれないけど、お前はこのままでいいんだよ。」今の姿からは全く想像できなかったから驚いた。それは自分が半端なことしたらそりゃあ怒るわな。というより、職人さんに自分の頑張りが届いていたとわかっただけで胸がいっぱいだった。一流と仕事するんだったらここまでやらないといけないと思う基準に、自分が120%の力でやってようやく指がひっかかる程度だから、職人さんからしたら「これぐらいやって当たり前」ぐらいにしか思われていないと思っていた。あなたは少しでもはやく帰って、少しでも長くApexをしてくれ。もう1人も、「今の年齢でこの物件を無事に終わらせれたら偉くもなるよ。できる人いないよ普通。絶対自信に繋がると思うし、頑張ってほしい。5年もあれば偉くなるしょ。だって今ライバルいる?はやく大きい物件俺にちょうだい。それで別荘建てるから。」途中から料理の味覚えていない。それで終わればいいのに、女性の店員を呼んで、「2人にも飲み物あげるから好きなの選んで」っていきなり言いはじめるし、店員さんが去ってから「やべぇ俺ら今はキモって思われたかなぁ?笑」なんて盛り上がり始めた。店員が「いただきます。ありがとうございます。」なんてテーブルに来た時は恥ずかしすぎてどんな顔していいかわからなかった。終いには会計の時に2人して「ヤバい財布にお金入ってない」なんて言うし、とりあえず自分で会計を済ませてお店をそそくさと出た。なんで感動で終わらせてくれないんだろうね。まぁ、そういうところも好きなんだけどね。2人には申し訳ないけど、さらに仕事のやる気が出てしまった。


仕事のやる気にさらに拍車がかかる。違う部署の人から「ちょっとお時間よろしいでしょうか。未来のある人にご相談があるんですけど。実はこうこうこうでして…」と相談を受けた。自分より年上の人が未来がないみたいな言い方をするんじゃない。可能性は同じで、やるかやらないかの違いだけだろ。

彼は競合他社からこの会社にやってきた営業マン。仕事にはとにかく貪欲で、楽しそうに仕事をするし、逆境になったら見返してやりたいと逆にやる気になるタイプ。迷ったら難しいほうを選ぶ。それでいて謙虚。10歳も年下の自分にもあの敬語。「休みの日に本屋で立ち読みしたらおもしくて、つい買っちゃったんですよね」と手にしているのは業界紙。そんな本あったんだ。休みの日に仕事のことを考えるなんて、もはや変態の域だ。ただ、動物園や水族館に「生き物じゃなくて他社製品見に行こう」と誘ったら喜んでついて来てくれそうではある。そんな彼が今読んでいる本は「そうか、君は課長になったのか。」だ。本当に課長になったんだから読むべきなんだろうけど、家で読むか、せめてブックカバーをつけようぜ。

ついこの間、彼が作ったデータが社内の全員にメールで送られた。自分はひどく感動した。彼の業務量と忙しさを考えると、到底業務時間内に作れるものではなかった。話をきいてみたら、やはり休みの日に作成していた。周りの反応が薄すぎたから、全員に「すぐに簡単に誰でも作れるものじゃない」とメールで返信した。あまりにも周りがわからなさすぎる。そんなこともあってか、彼は相談を持ちかけてきた。業務改善に関することだった。実は自分もやってみたいことだった。なかなかいいアイデアが浮かばずに困っていたところだった。彼の顔がどんどん曇っていく。「諦めちゃダメですよ。やりたいと思った時にやらないとダメです。これはやるべきです。めんどくさいで片付けられない仕掛けを入れてやりましょう。僕もやりますから。」と伝えた。今たくさん質問をしているのは、できない理由を見つけるためじゃない。やりたいことの共通認識を確認しているため。何も会社を乗っ取りにきたとか、何千万のシステムを導入してくれって言いに行くわけじゃないんだ。こういうのはできるかどうかじゃなくて、やりたいかどうか、面白そうかどうかで考えるべき。みんなやらないことなんだから、できなくて当たり前。それをやろうとすることに意味がある。最初の発想はもっと自由でいい。仕事しなくても生きていけるんだったら仕事なんてしてないんだし、それに大半の時間を使ってるんだから、少しでもワクワクするほうを選んでいくべき。2人でどうにもならなかったら、その問題を解決できそうな3人目を巻き込めばいい。巻き込まなくなったら2人で他の支店に行くか、会社辞めようか。

なんとなく自分と同じ匂いがする。なんとなくこの会社に来た理由もわかる気がする。自分のやる気に周りがついて来れなくて、どんなに声を出しても誰も反応してくれなかったんじゃないか?自分も周りに人はいるのに1人だと感じる時もあるから。今楽しそうに仕事してるけど、まだ物足りないって顔してるよ。でもどこかで「またここでも同じことになるのか」って思ってるでしょ。周りはめんどくさがりでやる気のない人ばっかりだから。みんながみんなとは言わないけど。やってくれそうだと思ったから自分に声をかけてくれたんじゃないの?わざわざ場所に俺しかいないタイミングで。忙しそうに見えたから声かけるの躊躇してた?だったら忙しそうに見えるってことにしておいてほしい。デカいことをやるからデカいことを言えるのか、デカいことを言うからデカいことができるのかはわかんないけど、自分の言ってることが周りには綺麗事で終わってるような気がする。そうじゃないとわかってもらうには目に見える結果が必要だし、その結果を出すためにはそれなりに時間が必要。それをわかってるからなおさら申し訳なく思うんだろうけど。でも、忙しい時にやれば嫌でもキャパは大きくなるし、本当にやるべきことなら大歓迎なんだけどね。あなたといると怖くなるんだよね。同じ会社にいるのに話が通じなくなりそうで。だからもっと頑張らなきゃっていい刺激にはなるんだけど。お互いこの先同じところ見てたら嬉しいね。一緒にされたら困るのか。きっと俺なんかよりも高いレベルでもっと遠くのことが見えてるんだろうなぁ。次の支店長はあなたみたいな人がなるべきなんだろうね。俺は球団社長によりは監督になって記者にランチ振る舞ってるほうが楽しそうでいいんだよね。あなたならランチ代を経費にしてくれそうだし。…えっ、ダメなの?そしたら支店長に他の人推薦しておくね。…まだ何かあるの?あぁ…その物件ね、ちょっと難しいのは聞いてるよ。あんまりこっち見ないでよ。あそこに暇そうにしてる人いるでしょ?…わかったよ!やるよ!そのかわり記者に振る舞うランチ代を経費するの検討してくれよ。というか言いたいことたくさんあるんだよ!あなたが難しいほうばっかり選ぶもんだから、実際にやる人めっちゃ大変なんだよ。まぁ、そのおかげで飽きたりしないんだけど。あと、似たようなことやって、なんで自分だけ「はみ出しもの」のレッテル貼られなきゃいけないの?これは納得いかない。

というのも、副支店長との面談でわかったことだ。「支店長から聞いたと思うけど、給与ランク上がってるから。東京の方では、このランクにいる人が年齢が高い人が多いから、なんでこんな若いのがこのランクに?って声があるらしい。けど、年齢で仕事してるわけじゃないからあんまり気にしないで。」

まぁ、これは気にすることない。僻みにしか聞こえない。でもやることやってこんな風にはみ出しものみたいに扱われるのはちょっとなぁ…。「東京の担当者もダメだったけど、その上の人もダメだったから、あなたも若いからダメだと思ってた」ってマイナススタートのことがあったんだけど、これに関してはどう説明していただけますか?

「支店長がすごくあなたを気に入ってるのさ。会社の上層部や役員に、オリオンと話をするだけでもいいから北海道に来てくれって言って回ってるよ。」

人を観光名所みたいに言ってくれちゃってさ。どっちかと言ったら時計台。がっかり観光名所だよ。「がっかりするよ」ってわかってあえて行く楽しみ方もあるんだから、誰かがっかりするよって言っておいてくれ。

「それと今は会社の良くないところを色々変えようと思って、営業の彼と色々動いているんだよね。俺は支店長に言いたいことは言えるし、支店長にもどんどん言ってくれって言われてる。俺はいても後2年ぐらいだろうし、正直何も怖いものがないんだよね。でも彼は悩んでることがあって、彼の仕事のスピード感が半端じゃなく速くて、周りがついてこれないんじゃないかと思ってる。だからかなり躊躇してる部分がある。若いあなたはこの先も長いだろうし、力を貸してほしい。」

なんでもっとはやくに声かけてくれなかったんだっていうのもあるけど、「ついてこれないんだろうな」って思われてたのが1番悔しかった。彼の目にはまだそういうふうに写ってたのか。自分はまだまだだね。周りとは違うと思わせたいし、彼のスピードに合わせられるようにもなりたい。やりたいこともあるし、喜んでやるよ。

「あと5月からサテライトオフィスが使えるようになるんだけどさ…えっ?話聞いてなかった?これも業務改善の一画で、社長には承認もらってるから、入り浸るようには使えないと思うけど、有効活用してね。」

また自分だけ知らないこと?もっとはやく言ってよ。自分の家から15分で行けるじゃん。これは予想もしてなかった。通勤時間が短くなるのはこの上なく嬉しい。(noteにかける時間が短くなってしまうけど)


がっかり観光名所でもがっかりされたくないと思う瞬間はある。「今オリオンさんが見てる物件の仕事やって、ここお父さんがやったんだぞって子供に自慢したいんですよ」と去年から言っていた業者の出番が近づいてきた。営業担当にはその業者を使うつもりがなかったから、どうやって彼に仕事をあげることができるか頭の片隅で考えていた。

なるべく自分のせいで他の人を残業させないようにするのが自分のポリシー。中間にいるから、上流に時間がなければ必然的に下流にも時間がなくなってしまう。不可抗力な時もあるけど、できるだけ下流には時間を上げれるようにしている。特に彼の場合は時間のない中、仕事をしてもらうことが多い。転職してからも色々教えてもらったこともあるし、どこかでお返しをしなければ。「どんな数量になってもできる体制にするからやらせてくれ」とまで言ってくれてるしね。やる気のある人にやってもらうのが1番いい。まぁ考えてもダメなので、やることは一つ。「あなたにもお世話になって贔屓にしている業者がいて、仕事を振りたいのはわかります。だけど、自分にもお世話になってる人がいるので仕事を自分に割り振らせてください。ここで返せなかったら恥です。」と営業担当に頭を下げるだけ。「比率この業者にちょっと多めにしてくれたらいいよ」とのことだったので、結果3社に振り分けることに。

仕事先ではまず自分より年下のことのほうが未だに少ないし、何もわかってないクソガキにああでもない、こうでもないって言われるのは仕事とは言え、あまりいい気分じゃないはず。そのくせ家に帰って家族との時間も減らされて、(マジで自分のせいじゃない時ばっかりだよ。本当に)面白くないはず。こういう大きい仕事をしてる時に自分が力を使って「クソガキだけど、ついてきてよかったな」と思ってもらえれば嬉しい。彼には子どもに自慢できるように色々なところをやってもらうように振り分けた。ということを言わなくても彼には伝わっていた。さすが仕事ができる人は違う。なんとなく仕事がはやいだけじゃなくて、送ったメールに律儀に返信をくれる人は仕事ができる人の共通点の気がする。端から端まで大変かもしれないけど、最後まで付き合ってもらいますよ。


こんなに長々と書くつもりなかったから、最初のほうはほとんど覚えていない。仕事しすぎて、気がついたら白い天井眺めてたりしてね。「天井は白かった」ってガガーリンみたいに。人によってきっと白も見え方違うんだろうね。「家族はいないにしろ、自分の時間を大事にしろ」って何かやってくれる人いたら一生着いていっちゃうかも。とりあえずこの辺にしておこう。



自由になりたければ自分のやり方を見つけるのがはやい。ルールというか決まりごとはあるんだけど、そこにないものに関してはかなり自由度が高い。上司の背中を見過ぎたせいか、社会人とは思えないほど、好き勝手やらせてもらっている。もちろんやるべきことをやっている前提はある。割と理由のないルールとかもあったりするし、一度疑うぐらいがいいかもしれない。今疑っているのは、フレックス制なのに朝礼って必要なのだろうか?ということ。そもそも朝礼に出れないのがほとんどなのに、その上朝礼の内容を知らされないってどうなんだろうね。とにかく会社はただの箱にすぎないから、あまり会社のためって気負わないぐらいがちょうどいいし、会社には怒られるけど、会社のためって思って働いたことないな。最近の口癖は「いい仕事してるよな。あんな中途半端な仕事でお金もらえるんだもんな。いくら貰ってるんだろ」になってしまっているし、客先にも「いい仕事してますね」って皮肉で言ってしまう時もある。もう我慢しきれない。これはダメだね。自由すぎてもいけないんだけどね。


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